今年の凱旋門賞を制するのは? 雨馬場なら狙うはペリエ騎乗のフレンチキング

三木俊幸

2019年凱旋門賞でフレンチキングに騎乗するペリエ騎手Ⓒゲッティイメージズ

Ⓒゲッティイメージズ

今年はオープンストレッチを使用

日本馬悲願の勝利を飾るのか?10月6日(日・日本時間23時05分発走予定)、フランス・パリロンシャン競馬場では、欧州の最強馬決定戦の凱旋門賞(GⅠ・芝2400m)が行われる。

例年20頭近くの頭数が揃うことが多いが、今年は12頭と少頭数でのレースとなった。コースについては「【凱旋門賞】日本馬初挑戦から節目の50年 新たな試みとともに打倒エネイブルに挑む」を見ていただきたい。

それに加えて主催者のフランスギャロから、今年の凱旋門賞当日は最後の直線において、内側にコースが6m拡大するオープンストレッチが採用されることが発表された。改修後、初年度だった昨年は使用が見送られていたため、凱旋門賞では今年初めて使われることとなる。 そうした情報も踏まえたうえで、馬場適性の観点から今年の凱旋門賞を占っていきたい。

重馬場は避けられない

まずは過去10年の成績について振り返ってみよう。

凱旋門賞過去10年の結果ⒸSPAIA

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シャンティイでの代替開催となった2016、2017年を除くと、良馬場で行われたのが5回、残りの3回は重馬場でレースが行われた。良馬場であれば、2011年のように2:24.49という速いタイムが記録されることもあるが、雨が降って馬場が悪くなれば、2012年にソレミアが勝利した時のように、2:37.68というかなりの時計を要する馬場となるのが特徴的だ。

週中の時点では10段階中6番目のSOUPLE、日本における重馬場発表となっており、週末もスッキリしない空模様となる見込み。それだけに、各馬とも馬場に対応できるかがカギとなりそう。

内ラチから3頭目以内を通らなければ勝てない

過去10年のうちパリロンシャンで行われた8年の脚質は以下の通りとなっている。

凱旋門賞過去10年の脚質ⒸSPAIA

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先行馬が4勝、差し馬が4勝と差のない結果となった。しかし、3着以内に入った追込馬はわずかに2頭のみ。逃げ馬に至っては0となっている。加えて、馬券に絡んだ馬が直線で抜けてくる際に、内から何頭目を通ったかを表したデータも見てほしい。

凱旋門賞過去10年のコース別成績ⒸSPAIA

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8年全ての年で、内ラチから3頭目以内を通らなければ勝てないというデータが出ている。それより外を通った場合、馬券に絡んでも2着までという厳しい結果が出ている。

今年はオープンストレッチが採用され、直線に向いてから内側が開くことになるので、最内から差し馬が台頭する可能性もあるだろう。しかし結局、オープンストレッチを有効活用するのは、スタート後に好位の内目という絶好のポジションを取った馬となるのではないかと考える。

本命はエネイブルで揺るがない

今年の出走馬の枠順は以下の通り。

2019年の凱旋門賞出馬表ⒸSPAIA

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本命はエネイブル。2013、2014年に連覇を果たしたトレヴでさえ達成できなかった凱旋門賞3連覇へ挑むが、もはや死角は見当たらない。昨年勝利した時のようにいまだに先行力もあるし、今年のキングジョージ&クイーンエリザベス2世Sでは後方から差す競馬でも、抜群の切れ味と勝負根性を生かしてきっちりと勝ち切るレースができる。道悪でもパフォーマンスが衰えることはないので、逆らうのはあきらめて偉業達成の瞬間を目に焼きつけたい。

対抗はヴァルトガイスト。道悪はマイナスと言われているが、大雨が降ったロイヤルアスコットのプリンスオブウェールズSでも、クリスタルオーシャンから4馬身半差の3着なら、今回も何とかこなせるのではないかと考える。3番枠を引いたので、内で脚をためるレースができるだろう。

単穴はジャパン。前走のインターナショナルSは、高速馬場で知られるヨーク競馬場でのレースだったが、2走前のパリ大賞では、今回と同じパリロンシャンの稍重馬場で好位から抜け出す強い競馬を見せている。パワーも兼ね備えており、馬群も割ってこられるタイプなだけに、ムーア騎手が10番枠からどのような競馬をするのかがカギとなる。

日本馬ではブラストワンピースに期待したい。前走の札幌記念では、1枠から内で脚をため、直線では馬群を割ってくるレースで勝利。今回も4番枠と絶好のゲートからスタートできる。川田騎手は、昨年のイギリス遠征以降、先行させながらも脚をためる競馬を身につけた。今回こそ、その成果を発揮する時が来た。エネイブルを負かすまでは行かないかもしれないが、パワータイプで重馬場もこなせそうなので、馬券圏内になら十分、好走可能だろう。

雨馬場で狙いたいのがフレンチキング。戦って来た相手は一枚落ちるが、ピッチ走法で道悪は合っている印象を受けた。鞍上のペリエ騎手といえば、2012年の凱旋門賞で人気薄のソレミアを勝利に導いており、その時も重馬場だった。内枠から好位につけるレースができれば、大駆けがあるかもしれない。

そして最後に昨年の凱旋門賞以降、エネイブルとクリスタルオーシャンにしか負けていないマジカルまで押さえておきたい。

▽凱旋門賞予想▽
◎エネイブル
○ヴァルトガイスト
▲ジャパン
☆ブラストワンピース
△フレンチキング
△マジカル

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