【毎日王冠】あえての挑戦にはワケがある 伝統のGⅡを制するのは希望に満ちた3歳馬

門田光生

本命に推されたダノンキングリーⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

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これぞ神騎乗

スプリンターズSはタワーブロンドンがサマー王者の貫録を見せて優勝。今年サマー王者が勝ったということで、また一つ使えるデータが消えてしまった。

それにしてもタワーオブロンドンの騎乗ぶりは見事だった。ダノンスマッシュをマークしたのは想定内として、3角でダノンの後ろにいたはずが、直線入り口では前にいた。ダノンを外へ出せないよう、意識的にフタしたとすれば、まさに令和の神騎乗といえるだろう。

さて、今週は10月6日(日)に東京競馬場で行われる毎日王冠(GⅡ 芝1800m)の予想を。1800mの距離ということもあり、中距離とマイラーのトップクラスが激突する伝統のGⅡ戦だ。また、距離の問題で菊花賞を回避する3歳馬が出走することもあり、距離だけでなく、世代レベルの把握も大事になってくる。

毎日王冠の年齢別・前走距離別成績ⒸSPAIA

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今回も過去10年の毎日王冠のデータを抽出して分析する。まずは年齢だが、若い馬の成績のよさが分かる。特に3歳馬は、強豪の集まるのを承知で出走してくることから、自信がないわけはないということか。

ダート界ではクリソベリルが先の日本テレビ盃で古馬を一蹴。世代レベルの高さをうかがわせた。今回も3歳馬が出走してくれば積極的に狙ってみたい。

距離別で見ると、今回と同じ1800m戦を使った馬の成績がいいことが分かる。1800mはたくさんレースが組まれているが、GIは行われない。同じく非根幹距離の1400mもそうだが、これらの距離ではめっぽう強いのにGIを勝てなかった馬が過去に何頭いたことか。2009年のカンパニー以降、毎日王冠の勝ち馬が次走で天皇賞(秋)やマイルCSを勝っていないが、そのあたりが原因なのかも。

牝馬に注目

下記は性別成績である。

毎日王冠の性別成績ⒸSPAIA

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次週に府中牝馬Sという同距離・同コースの限定戦が控えているので、牝馬はわざわざこのレースに出走する必要はない。逆にいえば、ここに使ってきたということはそれなりの勝算があるということ。前章で書いた3歳馬が強いのと同じパターンといえる。

東京芝1800mの騎手成績ⒸSPAIA

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続いては東京芝1800mで好成績を挙げている騎手を調べてみた。なお、データは2015年以降、40走以上している騎手のものだが、上位3人の勝率、連対率がすさまじい。特にM.デムーロ騎手の1、2着に対して3着の少なさには驚かされる。馬連・馬単で信頼できる騎手だ。

東京芝1800mの種牡馬成績ⒸSPAIA

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最後に種牡馬。こちらも2015年以降、40走以上走っている産駒のデータだが、勝ち星は断然ディープインパクトで、2位にダブルスコア以上の差をつけている。ただ、この条件だと出走頭数も抜けているので当然か。

勝率、連対率でディープを上回っているのがキングカメハメハ。2位のヴィクトワールピサは直線の短いコース向きの産駒が多い印象だっただけに、個人的には意外だった。

好発進!ダノンキングリー

毎日王冠の好走データは以下の通り。

①3歳馬
②前走が1800m
③牝馬
④東京芝1800mと相性がいい騎手
⑤東京芝1800mと相性がいい種牡馬

となる。今回強いデータは「3歳馬」「牝馬」「ルメール、M.デムーロ、戸崎騎手が騎乗」となる。今週は凱旋門賞が行われるのでルメール騎手は渡仏、またM.デムーロ騎手は京都大賞典に騎乗。残る戸崎騎手はダノンキングリーに騎乗。まずはダノンキングリーが一歩リード。

ほかのデータをダノンキングリーに照らし合わせると、牝馬ではないが3歳馬という点でも合致。今回はこの馬が中心でいいだろう。2月に同距離の重賞(共同通信杯)を勝っているし、ここ4年の毎日王冠勝ち馬は全て1800mの重賞勝ち馬というデータも後押しだ。

相手筆頭は「牝馬」のアエロリット。これまで8回重賞で連対しているが、そのうち7回が「東京コース」か「1800m」のどちらか。昨年の勝ち馬でもあり、まさにこの馬のための重賞といって過言ではない。

あと1頭挙げるならランフォザローゼス。連対率のいい「3歳馬」で、しかも父が東京芝1800mと好相性のキングカメハメハ。厩舎も先週のGIを制して勢いづいている。

というわけで、結論は
◎ダノンキングリー
○アエロリット
▲ランフォザローゼス

となる。少頭数のレースなので今回は3頭に絞りたい。

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《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想や「最終逆転」コーナーを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。

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