【宝塚記念】5歳馬が過去10年で最多7勝 ファン投票1位ベラジオオペラ、ドゥレッツァらが中心
勝木淳

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2週繰り上がった宝塚記念
宝塚記念は今年から安田記念直後、6月中旬に移された。ダービー後の3歳馬が出走できるよう下旬に設定されていたが、最後の参戦は23年ドゥラエレーデ。それも16年ぶりだった(07年ウオッカ以来)。
6月下旬は暑い上に春のGⅠから微妙な間隔になり、さらに出走後は夏休みが短く、秋にも響きかねない。色々な理由で嫌われがちな宝塚記念だが、最大の理由は馬場だろう。6月開催の最終週は梅雨どきでもあり、馬場の悪化が想定される。
また同時期であっても、開催2週目4日目に行われた年が直近で2回ある。21年はクロノジェネシスが連覇を決め、決着時計は2:10.9(良)、翌年も同日程で行われ、タイトルホルダーが2:09.7のレコードV。こちらも良馬場だった。この2年は、6枠から外は【0-0-0-14】とさっぱり。対して宝塚記念過去10年だと【6-3-3-54】。6勝はすべて8枠だった。
今年は開催2週目、それも6月中旬と条件替わりの変化にも注目だ。ここからは宝塚記念をデータとともに展望する。なお、データは24年京都開催を含めた、過去10年分を使用する。
まずは人気別成績から。1番人気【2-2-0-6】勝率20.0%、複勝率40.0%、2番人気【2-0-3-5】勝率20.0%、複勝率50.0%、3番人気【3-0-0-7】勝率30.0%と上位人気はほぼ互角。とはいえ、上位人気3頭での決着はなく、一角崩しもあれば、上位人気がそろって敗れることもある。
開催2週目だった2回は21年が1→7→2番人気、22年が2→5→4番人気で決着。人気の傾向は全体と変わらない。
伏兵陣は6番人気【1-1-1-7】勝率10.0%、複勝率30.0%、7番人気【1-2-0-7】勝率10.0%、複勝率30.0%や10番人気以下【0-3-3-54】複勝率10.0%と幅広い。大穴は悪化した馬場のアシストも考えられるが、中穴なら十分、狙いが立つ。
宝塚記念も有馬記念も慣れない距離、コースで行われ、適性の違いも出やすい。またシーズン末期のGⅠであり、有力馬にみえない疲れがあったなんて敗因もある。
年齢の傾向は5歳が【7-4-4-42】勝率12.3%、複勝率26.3%と断然。4歳【3-2-6-27】勝率7.9%、複勝率28.9%が続き、主力世代が強い。ベテラン勢も6歳【0-3-0-23】複勝率11.5%など突っ込んでくる可能性は残るが、2着3頭はGⅠ勝ちかGⅠ2着歴がある実績馬だった。
妙味はジャスティンパレス、ボルドグフーシュ
ファン投票1位はベラジオオペラ。大阪杯連覇、昨年宝塚記念3着は申し分なし。昨年も馬場悪化さえなければ、もっと際どかった。なにより阪神内回りで行われる今年はチャンスだ。ファン投票2位は有馬記念を勝ったレガレイラ。牝馬の優勝はクロノジェネシスの連覇を含め4頭もいる。
まず海外組からチェックする。ドバイシーマクラシックは【2-1-1-6】勝率20.0%、複勝率40.0%。3着以内【2-1-1-2】、とりわけ2着以内だと【2-1-0-0】と連を外していない。3着ドゥレッツァも有力候補といえる。菊花賞優勝、ジャパンカップ2着同着の実績を踏まえれば、体力勝負なら負けない。
国内組は天皇賞(春)【3-3-3-30】勝率7.7%、複勝率23.1%、大阪杯【2-3-2-21】勝率7.1%、複勝率25.0%(GⅡ時代【0-0-0-2】含む)に注目だ。
まずは天皇賞(春)から。1、2着【2-0-2-7】は登録がなく、3着【0-0-0-4】とショウナンラプンタはマイナス。であれば6~9着【0-2-1-8】複勝率27.3%、10着以下【0-1-0-4】から6着ジャスティンパレス、7着シュヴァリエローズ、10着プラダリアか。
ジャスティンパレスは6歳世代の実績馬であり、年齢データにも重なる。馬券には組み込みたい一頭だ。2200mならプラダリアも面白い。シュヴァリエローズは京都巧者であり、阪神に替わるのはどうだろうか。
大阪杯は1着【0-0-2-5】と勝っていない。ベラジオオペラも昨年は3着。同じ阪神内回りだけに不思議だ。3着だった2頭(もう一頭は21年レイパパレ)は大阪杯から馬体重二桁増。大阪杯激走後のリカバリーがポイントになりそうだ。ベラジオオペラは調教後の馬体重を確認したい。
好走ラインは2着【1-1-0-2】勝率25.0%、複勝率50.0%から6~9着【1-1-0-7】勝率11.1%、複勝率22.2%と幅が広い。2着ロードデルレイ、8着ボルドグフーシュが該当する。ボルドグフーシュも6歳世代の実績馬であり、侮れない。昨年2着のソールオリエンスは大阪杯7着からの巻き返しだった。今年は二桁着順に敗れている点は、引っかかる。
ちなみにデータにある鳴尾記念は今年から12月に移行。目黒記念との間隔は中2週、レース直後に登録しないといけないため、参戦は意図的でないと難しい。ドバイシーマクラシックと国内中長距離GⅠ組だけで決まらない場合、次なる手はどのレースなのか。
有馬記念以来となるレガレイラは当然有力。有馬記念の内容をみても、牝馬でも距離の守備範囲は長めで、イメージはクロノジェネシスに近い。いまや2000mは短い可能性がある。
前走日経賞は過去10年【0-0-0-1】(18年2番人気8着キセキ)だが、今年は2~4着馬が直行。とりわけ菊花賞馬アーバンシックはほぼレガレイラと同血であり、体力勝負の阪神芝2200mはハマるだろう。メイショウタバルの出方次第だが、距離短縮で序盤から急かされるような流れでなければ、後半のロングスパートで持ち味を出せる。
《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。
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