【桜花賞】川田将雅騎手が断トツ、妙味なら吉田隼人騎手の先行策 東大HCが阪神芝1600mを徹底分析

東大ホースメンクラブ

阪神芝1600mのコースレイアウト,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

コース紹介

今週は阪神芝1600mを舞台にGⅠ桜花賞とGⅡ阪神牝馬Sが行われる。伝統の牝馬クラシック第一戦は、阪神JFを余力十分に圧勝し最優秀2歳牝馬に輝いたリバティアイランド一強の様相を呈している。その2歳女王に、シンザン記念で牡馬相手に快勝したライトクオンタムら17頭が挑む構図だ。

当該コースの重賞は6レース。GⅠは桜花賞、阪神JF、朝日杯FSの3レース、GⅡはチューリップ賞と阪神牝馬S、GⅢはアーリントンカップが行われる。このコースの特徴を過去5年のデータから分析していこう。(使用するデータは2018年4月7日~2023年4月2日)

まずは、コース紹介。向正面の左寄りからスタートし、外回りの3コーナーまでは444mの直線。その後は緩やかに坂を下りながらコーナーを回る。最終直線は476.3m(今週と同じBコース使用時)と東京競馬場に次ぐ長さで、残り200mからは高低差1.8mの急坂が待ち受ける。大箱を生かしたワンターンの形態で比較的差しが決まりやすいコースだ。


鬼門の8枠

過去5年の阪神芝1600m・枠別成績,ⒸSPAIA


<過去5年の阪神芝1600m・枠別成績>
1枠【34-39-44-310】勝率8.0%/連対率17.1%/複勝率27.4%
2枠【36-34-39-333】勝率8.1%/連対率15.8%/複勝率24.7%
3枠【41-35-34-356】勝率8.8%/連対率16.3%/複勝率23.6%
4枠【33-33-30-392】勝率6.8%/連対率13.5%/複勝率19.7%
5枠【42-35-30-408】勝率8.2%/連対率15.0%/複勝率20.8%
6枠【37-46-41-420】勝率6.8%/連対率15.3%/複勝率22.8%
7枠【43-41-45-503】勝率6.8%/連対率13.3%/複勝率20.4%
8枠【42-41-43-552】勝率6.2%/連対率12.2%/複勝率18.6%

枠別成績では内枠の連対率、複勝率が高く、外枠、特に8枠は不振だ。昨年も1番人気に支持されたナミュールと2番人気のサークルオブライフが枠に泣いて馬券外に敗れ、結果的にはコースの内側を上手く立ち回った3頭での決着だった。

今年もここ2年同様、京都改修による変則開催の影響でBコース替わり初週に桜花賞が開催される。これにより内枠有利の傾向が強まるかと思いきや、意外にそうでもない。過去2年、桜花賞週の6レースで1枠は【0-1-3-4】と勝利がなく、2枠【1-1-0-6】単勝回収率45%に留まる。内有利のトラックバイアスでも、それを利するのは必ずしも1、2枠の馬とは限らない。

過去5年の阪神芝1600m・脚質別成績,ⒸSPAIA


<過去5年の阪神芝1600m・脚質別成績>
逃げ【42-25-27-212】勝率13.7%/連対率21.9%/複勝率30.7%
先行【127-127-115-773】勝率11.1%/連対率22.2%/複勝率32.3%
差し【108-109-114-1234】勝率6.9%/連対率13.9%/複勝率21.2%
追込【31-42-50-1047】勝率2.6%/連対率6.2%/複勝率10.5%

全体の数字では原則通りの前有利だが、GⅠに限ると逃げ【1-0-1-16】複勝率11.1%、先行【7-5-5-54】同23.9%、差し【7-11-10-98】同22.2%、追込【3-2-2-84】同7.7%と、後方待機組も十分勝負になる。もともと長い直線に急坂という設定であり、GⅠの締まったペースなら差しも届きやすくなる。また、上がり3F最速を記録した馬が【129-83-38-114】で勝率35.4%、複勝率68.7%。末脚があれば勝負できる、紛れの少ないコースだ。


川田将雅×中内田充正の黄金コンビ

過去5年の阪神芝1600m・種牡馬別成績,ⒸSPAIA


<過去5年の阪神芝1600m・種牡馬別成績>
ディープインパクト【43-40-41-257】勝率11.3%/連対率21.8%/複勝率32.5%
ドゥラメンテ【8-4-3-69】勝率9.5%/連対率14.3%/複勝率17.9%
キタサンブラック【3-3-1-15】勝率13.6%/連対率27.3%/複勝率31.8%

種牡馬別成績はディープインパクトが2位のロードカナロアに21勝差をつけてトップを独走。ただし単勝回収率は41%とイマイチで、人気になりすぎている面は否めない。桜花賞では4連覇を含む5勝を挙げていて、今年は最終世代のライトクオンタムが出走。全世代でクラシック制覇の偉業達成なるか。

昨年の女王スターズオンアースの父ドゥラメンテは、今年はリバティアイランド、シングザットソング、ドゥーラの3頭出しだ。ディープインパクトには劣るもののまずまずの成績。全8勝のうち6勝を4角7番手以下から挙げており、差す形を得意としている。今回の3頭も後方からの競馬で結果を出してきた面々で好走パターンに合致。積極的に狙っていきたい。

サンプルは少ないものの、妙味十分なのはキタサンブラック。単勝回収率は驚異の577%を記録している。今年はコナコーストとラヴェルが該当。どちらも重賞での連対歴がある確かな実力馬だ。穴を開けてもおかしくないだろう。

過去5年の阪神芝1600m・騎手別成績,ⒸSPAIA


<過去5年の阪神芝1600m・騎手別成績>
川田将雅【42-13-21-57】勝率31.6%/連対率41.4%/複勝率57.1%
武豊【12-24-11-90】勝率8.8%/連対率26.3%/複勝率34.3%
吉田隼人【9-7-4-54】勝率12.2%/連対率21.6%/複勝率27.0%

騎手別成績では、リバティアイランドに騎乗する川田騎手が、2位(引退した福永祐一元騎手)にダブルスコア近い差をつけ独走中。位置取りを問わず結果を出している。ちなみに厩舎別の勝利数トップは中内田充正厩舎であり、両者のコンビでは勝率41.0%、単勝回収率160%を記録。強力なデータを追い風に、桜花賞1番人気の連敗を「8」で止めるか注目だ。

武豊騎手は、上がり3F最速を記録した際が【6-3-3-3】で単勝回収率328%。末脚を引き出す騎乗で良績を残している。父ディープから受け継いだ極上の切れ味を武器とするライトクオンタムとは好相性だ。先週大阪杯を制した勢いそのままに前人未到の桜花賞6勝目を目指す。

ドゥアイズに騎乗予定の吉田隼人騎手は単勝回収率408%と妙味十分。特に4角5番手以内だと【6-5-1-16】で複勝率42.9%を記録している。前走クイーンCで先行して2着のドゥアイズと再びの先行策なら魅力的だ。その他ではドゥーラに騎乗予定の戸崎圭太騎手が【2-0-3-19】。騎乗機会、連対回数は少ないが、大穴での勝利があって単勝回収率618%をマークしている。

阪神芝1600mのコースインフォグラフィック,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

《関連記事》
【桜花賞】リバティアイランドに死角なし Cアナライズの相手筆頭は前走ハイレベル戦の2着馬
【桜花賞】リバティアイランドとライトクオンタムは軽視不可 ハイブリッド式消去法で浮上した穴馬候補は
「前走上がり2位以内の馬」で複勝率6割超 川田将雅騎手の「買える条件・買えない条件」

おすすめ記事