【クイーンC】阪神JF好走ショウナンザナドゥが登場 「東京マイル」ならマピュース、レイユールの逆襲も

勝木淳

過去10年のデータから見るクイーンC,ⒸSPAIA

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上位3番人気以内堅実

過去10年、クイーンCで1分32秒台が記録されたのは一度だけしかない。2016年メジャーエンブレムの1:32.5。同馬はその後NHKマイルCを勝った。

速くて33秒台前半、遅くても34秒2。クイーンCは時計差が少ない。また、スローか平均ペースが多く、ハイペースになりにくい。

同じマイル重賞でも古馬の東京新聞杯は東京のマイル戦らしい緩みの少ない力勝負になるが、クイーンCはそこまで厳しくならない。

3歳牝馬にとって東京マイルは体力的に厳しく、序盤から飛ばす展開になりにくい。後半の脚力勝負が時計の出方に与える影響は大きい。当然、確たる末脚がないと勝負にならず、そうでなければ前半で好位置をキープする必要がある。

今年も例年通り、冬のDコースはイン・先行が優位。好ポジションを奪うか、位置取りの優位をひっくり返せる脚力が試される。

いずれにしても、将来を占う意味で、東京マイルは能力査定に適任。クロノジェネシス、アカイトリノムスメら中距離GⅠ馬を輩出しており、未来へつながる重賞でもある。データは過去10年分を使用する。


人気別成績,ⒸSPAIA


小細工無用の東京マイルとくれば、勢力図が不確かな3歳牝馬重賞であってもそうは荒れない。

1番人気【4-1-2-3】勝率40.0%、複勝率70.0%に2番人気【4-2-1-3】勝率40.0%、複勝率70.0%と上位人気が強く、数字的には3番人気【1-2-2-5】勝率10.0%、複勝率50.0%まで。

4番人気以下は凡走の割合が高く、8番人気以下は【0-0-1-77】。あっても上位7頭まで、1~3番人気が1着で、2着と3着は7番人気まで。そんな馬券が理想だろう。


キャリア別成績,ⒸSPAIA


3歳牝馬同士のレースとあって、キャリアは大切。3戦【4-3-3-22】勝率12.5%、複勝率31.3%がもっともよく、2戦【3-1-2-26】勝率9.4%、複勝率18.8%や4戦【2-2-3-24】勝率6.5%、複勝率22.6%がひとつの山となっている。

一方で1戦1勝は【1-3-1-18】勝率4.3%、複勝率21.7%と決して悪くはないものの、ただでさえ難しいキャリア2戦目で東京マイルの重賞となると、ややハードルが高い。

前走新馬1着からの好走は、前走1600m【1-3-0-12】勝率6.3%、複勝率25.0%と1800m【0-0-1-4】複勝率20.0%だけ。16年ロッテンマイヤーが京都芝1800m新馬勝ちから3着に好走した。同じパターンのマディソンガールはこれを越えてくるだろうか。


フェアリーS凡走でも見直せるレイユール

阪神JFからは4着ショウナンザナドゥ、6着コートアリシアンが出走。年明け始動戦できっちり賞金を上積みできるか注目だ。

ほかにはフェアリーS3着エストゥペンダ、赤松賞を勝ったマピュースが出走予定。その赤松賞2着でフェアリーS9着レイユールなど、クラシック出走を決めたい有力馬がそろった。


キャリア2~5戦・前走クラス別成績,ⒸSPAIA


キャリア2戦~5戦の好走ゾーンに絞って前走クラスをみると、GⅠ【2-2-4-11】勝率10.5%、複勝率42.1%やGⅢ【2-3-3-19】勝率7.4%、複勝率29.6%の好走が目立つ。

最上級の前走阪神JF組は3着以内【2-2-0-2】に対し、6着以下【0-0-4-8】。馬券圏内が目安だが、6着以下も3着なら十分あり得る。

ショウナンザナドゥの4着は【0-0-0-1】だが、3着とはアタマ差の僅差であり、好走の部類に入る。平均ラップの力勝負で好位3番手から僅差4着なら、実力は証明済みだ。

前走フェアリーSは【1-2-1-13】勝率5.9%、複勝率23.5%という成績。クイーンCほどメンバーがそろわないレースであり、凡走も多いが2着【0-2-0-1】、3~5着【0-0-0-8】、6~9着【1-0-1-4】と特徴的な成績になっている。

基本的に勝った馬は出走しないので、最先着の2着を買うか、中山適性などが原因で振るわなかった組のどちらか。3着エストゥペンダより、9着レイユールを見直すのも手だろう。

416kgの小さな馬に冬の中山はきつかった。勝負所で順位を下げるなど、流れに乗れなかったのも原因で、器用さを欠いた。赤松賞2着は前後半800m48.1-45.8の超スローペースを、直線だけで2着まで押し上げている。記録した上がり600mは33.4。東京なら末脚に賭けられる。


キャリア2~5戦・前走1勝クラス 着順別成績,ⒸSPAIA


つづいて前走1勝クラス。こちらはさらに単純で、前走1着【3-0-1-8】勝率25.0%、複勝率33.3%とさすがに1勝クラス突破が条件。あっても2着【0-1-0-3】複勝率25.0%までだ。

3着以下だと【0-0-0-18】。2勝目をあげたエンブロイダリーと、赤松賞を勝ったマピュースは候補に残る。前走1600m【2-0-0-5】に対し1400m【0-0-1-2】なので、マピュースが上か。


キャリア2~5戦・前走未勝利 人気別成績,ⒸSPAIA


前走未勝利【2-1-1-19】勝率8.7%、複勝率17.4%は人気に注目。1番人気だった馬は【2-1-1-9】勝率15.4%、複勝率30.8%で、未勝利戦では主役としてきっちり勝てることが条件だ。

過去10年のデータから見るクイーンC,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。

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