【フェアリーS】中山マイルの新馬戦ラスト1F10秒8を評価 東大HCの本命はレイユール

東大ホースメンクラブ

フェアリーステークス 前走1勝クラス組の成績(過去10年),ⒸSPAIA

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混戦模様の3歳重賞

12日に中山競馬場でGⅢフェアリーSが行われる。函館2歳S2着のニシノラヴァンダ、他ではジャルディニエ、ミーントゥビーを除く13頭は収得賞金400万円の1勝馬。抽選対象が多く9頭が除外になるなど、出走馬確定までほとんど予想不可能な状態だった。今年も混戦模様となっている。

今回も過去10年のデータから検討する。1番人気が【0-2-0-8】、2番人気が【1-0-0-9】と人気通りの決着がほとんどない波乱の多いレース。データからその元凶について考察し、的中をつかみ取りたい。

昇級戦の馬を狙え

フェアリーSの前走クラス別成績,ⒸSPAIA


<フェアリーSの前走クラス別成績>
新馬戦【0-0-5-19】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率20.8%
未勝利戦【4-2-2-29】勝率10.8%/連対率16.2%/複勝率21.6%
1勝クラス【3-8-1-45】勝率5.3%/連対率19.3%/複勝率21.1%
オープン以上【3-0-2-33】勝率7.9%/連対率7.9%/複勝率13.2%
※前走地方【0-0-0-2】

前述の通り波乱がよく起きるフェアリーS。まず5番人気以内の50頭について前走クラス別で見ると「前走OP or 重賞組」が【1-0-1-15】、1勝クラス組が【2-3-1-8】、新馬戦【0-0-2-6】、未勝利戦【4-0-0-7】。「前走OP or 重賞組」が劣勢だ。

次にキャリア1戦でまだ実力が不透明な新馬戦組が苦戦している。残る前走未勝利戦、1勝クラス組は単勝回収率が100%を超え、比較的人気に応えている。では人気を限定せず、改めて全体の前走クラス別成績を見ていこう。

新馬戦組は連対例がないが、複勝率で見ると他とそん色ない。0秒3以上の着差をつけて勝ち上がった馬は【0-0-3-1】。今回はエリカエクスプレスが該当する。

最も勝ち馬が多いのは未勝利戦組。4勝全てキャリア2戦の馬だった(新馬戦負け→未勝利戦勝ち→フェアリーS)。今年はマイスターヴェルクがこのパターンにあたる。

同馬の新馬戦はレコード決着、勝ち馬ファンダムはジュニアC勝利、2着シホリーンもアルテミスS4着とハイレベル戦だった。そこから0秒7離されたのは負けすぎの感もあるが、警戒はしたい。また2、3走前で33秒台の末脚を使ったエストゥペンダも魅力はある。

1勝クラス組は前記の通り人気馬が結果を出しており、特に「前走1600m×フェアリーSで3番人気以内」だと【2-2-1-5】と信頼度が高い。レイユールは軸候補となりそうだ。人気が予想されるホウオウガイアは前走がスローペースの2000mで、新馬戦も1800m。マイル経験がないことから見送る。

また、1勝クラス組は前走で馬券に絡まなかった馬も3連対。前走で距離が長かった馬や、後ろすぎて届かなかった馬の逆転例がある。着順が悪くても内容をしっかり確認したい。

OP特別からの参戦は【0-0-0-5】。モルティフレーバー、ハードワーカーが該当する芙蓉S組は例がない。ただ、そもそも昨年の芙蓉Sはメンバーレベルが高いとは言えない(1、2着馬がホープフルSでそれぞれ7、8着)ため見送る。

重賞組は【3-0-2-29】。勝ち馬3頭はいずれも前走8着以下だった。前走2着以内からの参戦例はなく、3~5着が【0-0-1-8】と連対していない。

今回唯一の重賞好走馬ニシノラヴァンダは半年ぶりのレースかつ400mの距離延長のため消す。当レースの距離延長馬は【1-3-4-45】複勝率15.1%と振るっていない。

ミーントゥビーは前走の阪神JFが距離延長ながら中団待機で7着。18番人気の前評判は覆した。前走と同様に差す競馬なら面白い存在となるかもしれない。

同コースの新馬戦を評価

◎レイユール
新馬戦は内を突いてラスト1F10秒8という驚きのタイム、後続を0秒6ちぎって勝利した。23、24年の9月中山マイルはラスト11秒0以下のレースが複数出ていることに留意したいが、それでも10秒8以下は86年以降で他に4例しかない。

そのうち2例は走破タイムが1分38秒以上を要したスローペース、残る2例は重賞2勝馬のシックスペンスと、先日ジュニアCを勝ったファンダム。1分35秒2で勝ったレイユールも評価できる。

前走の赤松賞は上がり3F1位の脚を使ったが前を捉えられずの2着。新馬戦のように4角で先行集団にいる競馬ができれば再び突き抜ける。

◯ティラトーレ
新馬戦は番手先行から上がり3F最速という競馬で0秒5差の快勝。前走のひいらぎ賞は4着だが、先行した馬の中では勝ったデンクマールに次ぐ着順。自身の走破タイムも同日のターコイズSより0秒2速いものだった。

勿論このコースでの持ち時計は1位。1勝クラスで見せたパフォーマンスはこの馬が◎に次ぐと考え、対抗評価とした。

▲エリカエクスプレス
稍重馬場で出した前半800m46秒8、勝ち時計1分34秒7が優秀。同日、良馬場に回復してから行われた3勝クラスと0秒4しか違わなかった。

逃げて勝利した点や2着以下から勝ち上がりが出ていない点は気になるが、鞍上の戸崎騎手は過去10年でこのレース【1-2-1-3】。上手く導いてくれるのではないか。

以下マイスターヴェルク、エストゥペンダ、ミーントゥビーまで印を回す。馬券は◎軸の馬連で勝負する。

▽フェアリーS予想▽
◎レイユール
◯ティラトーレ
▲エリカエクスプレス
△マイスターヴェルク
×エストゥペンダ
×ミーントゥビー

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。


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