【天皇賞(秋)】「前走GⅠ」×「1番人気」の強データに合致 宝塚記念組ドウデュースがイクイノックスに続く

門田光生

天皇賞(秋)の前走人気別成績(過去15年),ⒸSPAIA

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明確な傾向があるレース

2024年10月27日に東京競馬場で行われる第170回天皇賞(秋)。2019、20年はアーモンドアイ、2022、23年はイクイノックスが連覇。ともに鞍上はC.ルメール騎手だが、同騎手はここ6年で5回優勝している。まさに「令和の盾男」だ(2018年は平成だが……)。

同騎手はレーベンスティールに騎乗予定だ。同馬だけでなく、好データに該当する馬を探るべく、過去15年の成績を見ていく。

☆所属
美浦8勝(14連対)、栗東7勝(16連対)。こうして並べると互角に見えるが、勝率、連対率、複勝率は、それぞれ美浦所属馬が大きく上回っている。加えて、近5年の勝ち馬はすべて美浦所属馬だった。

出走馬の所属,ⒸSPAIA


☆性別
牡馬が12勝(25連対)、牝馬は3勝(5連対)だが、勝率、連対率、複勝率はいずれも牝馬が圧倒している。

連対した牝馬を見ると、三冠牝馬アーモンドアイ(2勝)やジェンティルドンナ(2着2回)、二冠牝馬ブエナビスタ(1勝)と、そうそうたる名前が並ぶ。4頭いる3着馬にしても、ウオッカ、アエロリット、クロノジェネシス、グランアレグリアと、いずれも本レース以前にGⅠ勝利歴がある。牝馬で馬券に絡むなら、GⅠでの実績が最低条件だ。

また、このレースは2008年にセン馬に開放されているが、馬券に絡んだ馬はまだ出ていない。

出走馬の性別,ⒸSPAIA


☆年齢
3歳から5歳がほぼ横並びの好走率となっており、好走馬もほとんどがここから。6歳以上で連対したのは2009年に8歳で勝利したカンパニーだけ。今年は3歳馬の登録がないので、中心は4、5歳馬と考えていい。

出走馬の年齢,ⒸSPAIA


☆前走クラス
馬券に絡んでいるのは、前走が国内GⅠかGⅡだった馬だけ。GⅢはもちろん、海外組もすべて4着以下に沈んでいる。ただし、海外組は5頭とサンプルが少なかった。

出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA


☆主な前走
該当馬がいるローテのなかでは、前走宝塚記念組が連対率26.7%で最高。8頭の連対馬(3勝)を出している。

今年は該当なしだが、前走安田記念や日本ダービーも好走率が良いので、前走GⅠ組はプラスデータとして扱いたい。前走GⅡ組は14頭の連対馬を出しているが、うち7頭が毎日王冠で、4頭が札幌記念。古くは有力とされてきた前哨戦の京都大賞典、オールカマーからは各1頭しか連対馬が出ていない。

出走馬の主な前走,ⒸSPAIA


☆前走着順
勝ち馬15頭中、13頭が前走で3着以内だった。同4着以下は基本的には割引になるが、同9着だけは【2-1-0-12】と複数の連対馬が出ていた。

ただし、前走9着で連対したのは、2012年エイシンフラッシュ、14年ジェンティルドンナ、そして17年キタサンブラック。今年はニシノレヴナントが該当するが、実績面からは厳しいかもしれない。

出走馬の前走着順,ⒸSPAIA


☆前走着差
前走1着馬は10頭が連対しているが、0.3秒差以上で勝ち上がってきた馬は【0-0-3-7】で連対馬が出ていない。

出走馬の前走着差,ⒸSPAIA


☆前走人気
前走1番人気に支持されていた馬が10勝しており、勝率21.3%、複勝率44.7%と好走傾向。同2番人気も複勝率では40.0%と良好だが、3番人気以下になると複勝率7.6%と好走率が一気に下がってしまう。

出走馬の前走着差,ⒸSPAIA


決め手は「前走人気」

天皇賞(秋)のデータをまとめてみよう。

【好走率アップ】
A「美浦所属」
B「GⅠ勝利歴のある牝馬」
C「4歳 or 5歳」
D「前走が国内GⅠ」
E「前走3着以内 or 9着」
F「前走1番人気」

【好走率ダウン】
G「前走がオールカマー」
H「前走3番人気以下」

【連対馬なし】
I「6歳 or 7歳」
J「前走がGⅢ以下」
K「前走0.3秒差以上で勝利」

最多のプラスデータ4つを持っているのは、キングズパレス(ACEF)、ソールオリエンス(ACDE)、レーベンスティール(ACEF)の3頭。このうち、連対馬が出ていないJ「前走がGⅢ以下」に当てはまるキングズパレスは除外。このデータは【0-0-0-21】と母数も多い。

レーベンスティールは、好走率がいまひとつのG「前走がオールカマー」に該当し、これも本命には指名しづらい。一旦保留とする。ソールオリエンスはH「前走3番人気以下」に引っかかっている。同データの複勝率は7.6%と厳しい。

視点を変えて、割引材料が少ない馬に目を向ける。今回の登録馬でマイナスデータがないのは、ジャスティンパレスとドウデュース、ダノンベルーガ、リバティアイランド。ただし、ダノンベルーガ、リバティアイランドは前走海外だった。

海外組は過去15年で5頭と少ないとはいえ、すべて着外。2016年エイシンヒカリ(2番人気、12着)、22年シャフリヤール(2番人気、5着)、23年ドウデュース(2番人気、7着)といった有力馬も含まれていた点が気になるところで、本命印はつけづらい。ダノンベルーガとリバティアイランドは3番手以下とする。

ジャスティンパレスはプラスデータのCD、ドウデュースはCDFに該当。ドウデュースが持つF「前走1番人気」は、勝ち馬15頭中10頭が該当する強データで、複勝率も45%近くある。これを決め手にドウデュースを本命、同じく宝塚記念組のジャスティンパレスを2番手とする。宝塚記念で上位人気だった2頭。ちなみに、昨年は宝塚記念組のワンツーだった。

3番手以下だが、三冠牝馬が活躍しているレースでもあるので、3番手がリバティアイランド、4番手がダノンベルーガ。保留にしていたレーベンスティールは、1頭しか連対馬が出ていないオールカマー組とはいえ、連対率ゼロではないので可能性は秘めている。冒頭で書いたように「令和の盾男」ルメール騎手騎乗ということもあり、押さえておきたい。

◎ドウデュース
◯ジャスティンパレス
▲リバティアイランド
△ダノンベルーガ
×レーベンスティール

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。

今回、本命としたドウデュース。これが、何度馬名を書いても、「ドゥデュース」とか、「ドゥーデュース」とか、どれが正解なのか、いまだに悩みます。英語表記は「Do Deuce(する+テニス用語)」とのことですが、これを覚えていても、カタカナに直すと間違うんですよね。以前、ホオキパウェーブという馬がいたのですが、「ホオキパウェーヴ」や「ホウキパウエーブ」など、何度指摘しても間違って原稿を送ってきた年配の人がいました。当時は「何で直らんかね」と思っていましたが、今ならその人の気持ちがよく分かります。

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