【サウジアラビアRC】複勝率66.7%「ノーザンファーム生産」のアルレッキーノ 前走の勝ち時計からここは通過点

貴シンジ

サウジアラビアRC ノーザンF生産馬の成績,ⒸSPAIA

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

今回は10月5日(土)に東京競馬場で行われるサウジアラビアRCについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走の内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった頭を検討対象とし、いちょうS時代やGⅢ格上げ前も含めた過去10年のデータを使用する。

重要データ:ノーザンファーム生産馬が好成績

ノーザンファーム生産馬の成績,ⒸSPAIA


サウジアラビアRCは2歳戦ということもあり使えるデータが限られているが、過去にはグランアレグリアやサリオスなど多数のGⅠ馬を輩出しており、重要な一戦であることは疑いようもない。

当レースで注目したいのは生産者のデータだ。基本的に生産者は馬を生産して馬主に売れば役目を終えるのであまりデータとしては活用できないのだが、ノーザンファーム生産馬においては生産だけにとどまらずその後の育成もノーザンファームが行うことが多いからデータとして扱いやすい。

そのノーザンファーム生産馬は【4-7-5-8】勝率16.7%、複勝率66.7%という成績。好走馬の半分以上を占めているのだから圧倒的だ。

2歳の春頃まではノーザンファーム空港、早来といった北海道の施設でトレーニングを積み、臨戦態勢がある程度整うとノーザンファームしがらき、天栄という本州の施設でトレーニングを行う。国内最高と言える設備とスタッフを備えているため、馬の素質を引き出すという点に関しても他の牧場より早いことが多い。

【ノーザンファーム生産の出走予定馬】
・アルテヴェローチェ
・アルレッキーノ
・タイセイカレント
・ヒシアマン

前走の内容:アルレッキーノの未勝利戦

アルレッキーノの前走は新潟芝1600mの未勝利戦で、結果は1着。新馬戦は圧倒的な支持を集めながら2着に負けてしまったが、国枝栄厩舎は新馬戦で仕上げきらないことが多く成績も良くないため、そこまで気にする必要はない。

前走は終始馬なりで回ってきただけで特筆すべき箇所はなかったのだが、勝ち時計1分33秒3は優秀。本馬に競ってくる馬がおらず、かつ馬なりでこれだけの好タイムを出してしまうのだから、能力に関しては言うことがない。

結果的に後続に7馬身差をつける楽勝となったが、アルレッキーノに肉薄する馬がいればもっと時計は詰まっただろう。まだまだ能力の底は見えない。競馬場が異なるため一概には言えないが、1分33秒3は例年ならサウジアラビアRCの勝ち時計に匹敵する。ここは大注目だ。


血統解説:アルレッキーノ

アルレッキーノの血統表,ⒸSPAIA


・アルレッキーノ
日本での牝祖は4代母ロイコン。父はブリックスアンドモルタル、母はチェッキーノという組み合わせ。母は現役時フローラS(GⅡ・芝10F)勝ちを含めて3勝した。

本馬は3番仔にあたるが、半兄のノッキングポイント(父モーリス)が新潟記念勝ち、半姉のチェルヴィニア(父ハービンジャー)はオークス勝ちと上の2頭はいずれも大活躍している。

本馬は3代母のハッピートレイルズ、祖母のハッピーパスを根幹として活力を見せている牝系だが、祖母のハッピーパスの枝に関しては仕上がりが早い点が魅力のひとつ。従姉妹のサブライムアンセムもフィリーズレビューを制覇し、伯父のコディーノは2歳重賞を2勝した。母チェッキーノ自身も3歳重賞勝ちの実績がある。

OP馬をコンスタントに輩出しているように打率が非常に高い点も魅力で、時としてチェルヴィニアのようにGⅠでも勝ち負けになるような大物が現れる。本馬は父にブリックスアンドモルタルをつけたが、母によく似ていて柔らかい走りが特徴的。一族の活力、特徴を見ても高速芝コースでのスピード勝負は得意。今回の舞台は適鞍とみていい。


Cアナライズではアルレッキーノを推奨

今回はアルレッキーノを推奨する。新馬戦こそ敗れはしたものの、前走の時計が秀逸で、同じだけの走りができればここも勝ち負けになる。

このレースだけでなく、暮れのGⅠや来年のクラシックという意味でも非常に楽しみな一頭であり、ここは通過点にしてもらいたい。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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