【安田記念】データではナミュールらヴィクトリアマイル組が優勢 能力ならGⅠ・7勝の香港馬ロマンチックウォリアー

三木俊幸

2024年安田記念に参戦する香港馬ロマンチックウォリアー,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

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香港から2頭が参戦

6月2日(日)、東京競馬場では春のマイルチャンピオンを決める一戦、安田記念が行われる。今年は香港からロマンチックウォリアーとヴォイッジバブルが参戦、06年ブリッシュラック以来の外国馬勝利なるかという点にも注目が集まる。過去10年のデータとともに、主な参考レースを振り返っていこう。

ヴィクトリアマイル【データ:A メンバーレベル:B】

過去10年の成績【2-4-0-10】勝率12.5%、連対率37.5%、複勝率37.5%

最多タイの2勝をマークしているヴィクトリアマイル組。22、23年とソングラインが連覇を果たしており、18〜21年までは4年連続で2着馬を輩出。最も勢いのあるローテーションと言えるだろう。

先行争いを制して逃げたのはコンクシェル、2番手にフィールシンパシーが続く展開で前半800m通過45.4というペース。道中10番手を追走していた14番人気のテンハッピーローズは、直線で外へと持ち出されると一気に差し切り、勝ちタイム1:31.8でGⅠ初制覇を飾った。

2着となったフィアスプライドは3番手の外を追走。直線半ばで一旦は先頭に立ったが、勝ち馬の切れ味に屈し、1と1/4馬身及ばなかった。それでも上位を差し・追込勢が占めた展開の中で力は示した。

ヴィクトリアマイル2着のフィアスプライド(内),ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

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ドバイターフ2着からの帰国初戦となったナミュールは8着。スタートで出遅れた影響もあって後方2番手から前を追ったが、いつもの末脚は見られなかった。前走に引き続き武豊騎手とのコンビで参戦、今回は巻き返してくるだろう。

安田記念に参戦するナミュール,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

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ダービー卿CT【データ:A メンバーレベル:C】

過去10年の成績【2-0-0-8】勝率20.0%、連対率20.0%、複勝率20.0%

15年モーリス、16年ロゴタイプが優勝。近年は成績が振るわないが、こちらも過去10年では最多タイの勝利数をあげている。

稍重で行われたレースは、2角でエエヤンがハナを奪い切って後続を8馬身ほど引き離して逃げる展開となる。直線もしぶとく逃げ粘っていたが、3番手外から運んだパラレルヴィジョンがゴール前で捉え切り3/4馬身差で勝利。勝ちタイム1:32.9で重賞初制覇を飾った。

今年に入り中山芝1600mで2連勝、勢いに乗ってのGⅠ初挑戦となる。一線級相手に瞬発力勝負となると分が悪いが、先行力や同馬を手の内に入れているC.ルメール騎手の手腕でどこまで上位争いに加われるか注目だ。

チャンピオンズマイル【データ:B メンバーレベル:A】

過去10年の成績【0-1-0-2】勝率0.0%、連対率33.3%、複勝率33.3%

チャンピオンズマイルからの参戦は3頭と少なく、勝利もないが、16年モーリスが2着に好走。残りの2頭はいずれも香港調教馬で14年グロリアスデイズは6着、16年コンテントメントは12着という結果に終わっている。

4月のチャンピオンズデーに行われた芝1600mのチャンピオンズマイル。週中から雨が続き、レース当日にも雨が降り、馬場状態は稍重(Yielding)だった。内の各馬の様子を伺いながらハナを奪ったビューティーエターナル、2番手にレッドライオンがつける展開で800m通過は48.03のスローペース。そのまま手応えよく直線に向いたビューティーエターナルが逃げ切り、1:34.52でGⅠ初制覇を飾った。

3着のヴォイッジバブルは道中3番手のインを追走。直線はレッドライオンと馬体を併せて伸びたが、勝ち馬とは0.28秒差という結果だった。昨年12月の香港マイルでは好位追走から2着となり、ナミュールやソウルラッシュらに先着、その後スチュワーズCでGⅠ初制覇を果たしている。今回のメンバーに入っても上位の能力を秘めるが、高速決着で速い上がりを求められる展開になった場合は不安が残る。

香港から参戦のヴォイッジバブル,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

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エルトンバローズは7番手からレースを進めるも、直線で伸びを欠き8着。地元香港勢の高い壁に跳ね返された。帰国後は東京競馬場に入厩して調整が進められている。昨年のマイルCSでは勝ち馬から0.2秒差の4着という実績もあるだけに、巻き返しが期待される。

高松宮記念【データ:B メンバーレベル:B】

過去10年の成績【1-0-1-9】勝率9.1%、連対率9.1%、複勝率18.2%

高松宮記念からの参戦では、20年にグランアレグリアが勝利。22年にはサリオスが3着に入っている。

雨の影響を受けて重で行われたレースは、好スタートを切った香港のビクターザウィナーが逃げ、600m通過は34.9のスローペース。2列目のインにつけていたマッドクールは、直線でぽっかり開いた最内をロスなく立ち回り、同じく内から伸びたナムラクレアの追い上げをアタマ差封じて勝利。勝ちタイムは1:08.9だった。

13番ゲートからスタートしたウインカーネリアンは2番手を追走。逃げていたビクターザウィナーが直線に向くところで、やや内を避ける進路をとったため、その分外を回ることとなったが、しぶとく粘り11番人気ながら4着に入った。1600mが主戦場で23年の東京新聞杯を勝利、今年は2着と好走。今回も気分よくマイペースで行ってしぶとさを生かしたい。

安田記念に出走予定のウインカーネリアン,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


マイラーズC【データ:C メンバーレベル:B】

過去10年の成績【1-0-4-33】勝率2.6%、連対率2.6%、複勝率13.2%

マイラーズCからの参戦は最多の38頭で、19年にインディチャンプが勝利。直近では23年にシュネルマイスターが3着に好走している。

小雨が降り、稍重で行われた今年のマイラーズC。最内枠からハナを奪ったトゥードジボンが800m通過45.6のハイペースで引っ張った。勝利したのは急遽、団野大成騎手に乗り替わったソウルラッシュ。中団の外でレースを進め、直線で一気に突き抜けた。勝ちタイム1:32.5での決着だった。

ソウルラッシュは昨秋のマイルCS2着、その後の香港マイルでは4着とナミュールと互角の力がある。マイラーズCのように道悪、ハイペースになれば勝ち切る場面があってもいい。

2着セリフォスは中団インを追走から、直線は馬群を割って1と3/4馬身差まで迫った。初の道悪に加えて、瞬発力が生かせる展開でもなかったが、勝ち馬に迫った内容は復調を感じる。

4着エアロロノア、8着コレペティトールの登録もあるが、マイラーズC組では上位2頭が抜けた存在と言えるだろう。

クイーンエリザベスⅡ世C【データ:なし メンバーレベル:A】

過去10年で出走なし

同じくチャンピオンズデーに行われたレースは、日本から遠征したノースブリッジが逃げて800m通過は48.04、向正面では最後方にいたプログノーシスが捲っていく展開。勝負所では一旦7番手までポジションを下げることとなったロマンチックウォリアーだったが、直線では大外から伸び、日本勢をねじ伏せて同レース3連覇を達成。勝ちタイムは2:01.02だった。

これまで2000m路線を中心にGⅠ・7勝をあげているロマンチックウォリアー。1600mでは4歳時に香港クラシック初戦の香港クラシックマイルで、後に香港マイルやアルクオーツスプリントを制するカリフォルニアスパングルを差し切って勝利。昨年1月のスチュワーズCでは、香港マイル戦線のトップホースであるゴールデンシックスティの切れ味には屈するも2着という実績がある。

今回のメンバーに入っても能力はトップで、大崩れすることは考えにくい。究極の瞬発力勝負になると分が悪いが、これまで幾度となく日本馬を力でねじ伏せたレースぶりを考慮すると、あっさり勝ち切る場面があってもいい。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。

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