【福島牝馬S】過去10年1、2番人気0勝 シンリョクカ、コスタボニータらカギ握る「中山牝馬S組」を分析
勝木淳
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1、2番人気未勝利
本番・ヴィクトリアマイルの舞台である東京芝1600mと、この福島牝馬Sの福島芝1800mはコース形態で正反対に位置する。片や長い直線の末脚勝負。こちらは小回りの機動性と持久力が問われる。これを前哨戦と考えるのは難しく、むろん、ファンもそういった視線ではみていない。
むしろその前の中山牝馬Sと適性が近く、そちらとのつながりをデータ的にも意識するレースだ。ハンデ戦から別定へ、急坂から平坦へ。この二つの変化によって着順を大きくあげる馬を探せるかどうか。これが穴馬券獲得への近道ではないか。データは21年新潟施行を含め、過去10年分を使用する。
1番人気【0-4-1-5】複勝率50.0%、2番人気【0-2-1-7】複勝率30.0%で1、2番人気未勝利と難解。その分、3番人気が【4-0-0-6】勝率、複勝率40.0%と元気だ。複勝率では4番人気以内が優勢で、上位人気を連軸に手広く網を広げる作戦がよさそう。なにせ10番人気以下【1-1-5-51】勝率1.7%、複勝率12.1%と3着の半数が二桁人気であり、ゾーンは広げられるだけ広げて待ちたいレース。的中するにはひとひねりしたい。
年齢では5歳【5-6-4-44】勝率8.5%、複勝率25.4%が中心。4歳【2-4-2-44】勝率3.8%、複勝率15.4%や6歳【2-0-4-22】勝率7.1%、複勝率21.4%など、ほかの世代も悪くない。特に6歳は単複回収値211、147と高く、スピードを必要としない舞台ではベテランも一変する。
中山牝馬Sの上げ下げ
実績上位は5歳コスタボニータ。全4勝は東京、中京、阪神外回りと直線が長い舞台ばかりだが、近走は札幌、小倉で重賞3着、中山芝1800mディセンバーS2着など小回りでの好走も目立つ。中山牝馬Sでは3番人気5着と人気を裏切ったが、小回りをこなせる器用さがあり、見限れない。その中山牝馬Sは今年もこのレースを攻略するカギになる。
前走GⅢは【10-6-5-65】勝率11.6%、複勝率24.4%で、この10年、勝ち馬はすべてここから出現している。これほど極端なデータはほかに例がない。その内訳をみると、なんといっても中山牝馬S【6-6-2-51】勝率9.2%、複勝率21.5%に目がいく。上記の通り、ハンデ戦から別定、急坂から平坦といった違いしかなく、結びつきを意識せざるを得ない。
その着順別成績は1着【1-2-0-0】、2着【1-1-0-4】など好走組もいいが、6~9着【2-2-0-16】勝率10.0%、複勝率20.0%とひと桁着順に踏みとどまっていればチャンスは巡ってくる。10着以下は【0-0-0-19】だから、3着シンリョクカ、4着フィールシンパシー、5着コスタボニータら掲示板組に6着タガノパッションあたりまで候補に残る。
タガノパッションは小倉の愛知杯2着など、小回りでも差し比べになれば上位に顔を出す。勝ち味に遅い反面、堅実でもあり、混戦向きだ。
今年の中山牝馬Sは稍重で少し時計を要した。前半1000m通過1:01.5、後半800m11.3-11.9-11.7-12.6とコンクシェルが変則的な流れに持ち込み、先に作ったリードを守り切った。先行勢が仕掛けにくい形になり、番手にいたフィールシンパシー、内を立ち回ったシンリョクカは展開に惑わされた面もある。それでも末脚を使えたシンリョクカは最先着馬でもあり、評価すべきだろう。また、3、4コーナーが速くなったことで位置を下げたタガノパッションも直線で盛り返しており、悪くない。もう少し末脚勝負の形になれば着順をあげてくる。
最後に前走愛知杯【2-0-1-5】勝率25.0%、複勝率37.5%。出走例はすべて6着以下からで、ウインピクシスも13着大敗を気にしなくていい。昨年は福島牝馬Sこそ13着に敗れたが、牡馬相手の福島記念0.3差4着。1800mはクイーンS2着もあり、巻き返してもいい。ゴールドシップ産駒が大好きな、最後に時計を要する形になればしぶとい。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
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