【大阪杯】関東馬にとっては鬼門のレース データで導く「過信禁物の注目馬」
藤川祐輔
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春の中距離王者決定戦
3月31日、阪神競馬場では大阪杯(GⅠ)が行われる。中距離路線の超一線級こそドバイ遠征で不在だが、昨年のクラシックホース2頭を筆頭に実力馬が多数出走予定だ。
下馬評からも混戦模様が伺え、波乱含みの決着も十分に考えられる。人気馬にも絶対の信頼は置けず、取捨選択には注意をしたい。今回は当レースがGⅠに昇格して以降の過去7年(17~23年)のデータを基に「過信禁物の注目馬」を導いていく。
関東馬には鬼門のレース
所属別に成績を見ると、栗東所属の馬が【7-6-6-56】勝率9.3%、連対率17.3%、複勝率25.3%と馬券圏内の大半を占めている。これに対して、美浦所属馬は【0-1-1-24】連対率3.8%、複勝率7.7%と振るっていない。
美浦所属馬からはスターズオンアース(23年2着)、ダノンキングリー(20年3着)の2頭のみが馬券に絡んでいるが、両者ともに1番人気の支持を受けていた。戦前の評価を考えれば、期待に応えるパフォーマンスは発揮できなかったと言える。
また、この組には3番人気以内の馬が8頭も含まれており、前述の2頭以外は全て凡走している。エフフォーリア(22年1番人気9着)、ブラストワンピース(19年1番人気6着、20年3番人気7着)といったグランプリホースですら、当レースでは苦汁をなめている。
数々の実力馬が結果を残せていないだけに関東馬にとって”鬼門”と言えるタイトルだ。今年も多くの有力馬が関東から乗り込んでくるが評価は落とした方が良さそうだ。
父ノーザンダンサー系は苦戦傾向
種牡馬系統別に成績を分類すると、父サンデーサイレンス系の馬が【6-3-5-46】勝率10.0%、連対率15.0%、複勝率23.3%と好走馬を多数輩出している。父ミスタープロスペクター系も勝率0.0%、連対率10.5%、複勝率21.1%となっており、勝ち馬こそ出ていないが全体の好走率は良好だ。
一方で、父ノーザンダンサー系の馬に関しては【0-1-0-11】連対率、複勝率8.3%と苦戦を強いられている。唯一の好走例はペルシアンナイト(18年2着)だが、当馬には前年に皐月賞2着の実績があった。サンデーサイレンス系が優勢なクラシック、その中で距離やコース形態が類似する皐月賞での実績が、当レースでの好走に繋がっていたと考えられる。
同系統の人気馬では、ブラストワンピース(19年1番人気6着、20年3番人気7着)やサトノクラウン(17年3番人気6着)といった面々も凡走している。データを見る限りではこの系統の馬に信頼は置きにくい。
データで導く「過信禁物の注目馬」
ここまで紹介したデータをまとめると、当レースにおける不安要素は以下の通りである。
・関東馬
・父ノーザンダンサー系
これを踏まえて、今回はローシャムパークを「過信禁物の注目馬」として挙げる。
昨年はオープン昇格以降、函館記念とオールカマーを立て続けに快勝。しかし、満を持してのGⅠ挑戦となった香港Cでは8着に惨敗。ゲートで後手を踏み、本来の競馬ができなかった。今回はBコース替わり初週で、先行勢に有利な馬場が想定される。決して行き脚の良い馬ではなく、後方からの競馬となれば苦戦は免れないだろう。
また、関西圏への輸送は今回が初めてとなる。海外遠征で苦戦した事を踏まえると輸送が苦手な可能性も否定できない。帰国初戦のレースである点も含めて状態面には不安が残る。
今回取り上げた2つのデータには、上位人気想定馬ではタスティエーラも該当している。だが、タスティエーラは皐月賞で2着に好走した実績を有しており、これは父ノーザンダンサー系ながら好走した前述のペルシアンナイトと共通している。関西遠征についても既に菊花賞で克服しており、過度に評価を落とす必要はないだろう。
ローシャムパークはデータを覆すに足る実績はまだ有しておらず、輸送や出遅れといった懸念材料も存在する。上位人気に支持されるならば、馬券的な妙味は感じられない。
《ライタープロフィール》
藤川祐輔
98年生まれ、新進気鋭の若手ライター。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。以前は別媒体での執筆を行っていたが、よりデータを生かした記事を書きたいと考えSPAIA競馬への寄稿をスタート。いつの日か馬を買うのが夢。
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