【きさらぎ賞】シンザン記念では最も強い競馬 京大競馬研の本命はウォーターリヒト

京都大学競馬研究会

きさらぎ賞の4角3番手以内馬の成績(京都開催の過去10回),ⒸSPAIA

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スローペース多発、前で立ち回れる馬が中心

2月4日(日)にきさらぎ賞(GⅢ)が行われる。昨年までの京都競馬場改修工事も終わり、4年ぶりの京都開催となる。近年は2歳GⅠや共同通信杯にクラシック路線有力馬の多くが集まることもあり、このレースのメンバーは小粒になってきており、今年も12頭立てと少頭数の一戦となった。

以下では、本レースが行われる京都芝1800mのコース形態、世代限定中距離戦のもつレース質、そして想定される展開を踏まえて予想する。

まずは京都芝1800mのコース形態をみる。向正面2コーナーポケットから発走し、初角まで約900m。向正面半ばから緩やかな坂を上り、3コーナー入り口から4コーナーをめがけて一気に下る。基本的に初角までの距離が長いコースは先手争いが長く続くため、前潰れの展開になりがちだが、ここまで距離が長いとそうはならない。控える騎手心理が働くのか、前半のペースは落ち着きやすい。

序盤~中盤に脚を温存できた先行勢は3コーナーからの下り坂で加速をつけやすく、直線に入るまでに後方勢が先行勢とのポジション差を埋めにくい。そのため、そのまま先行勢が押し切るケースが多い。

また世代限定の中距離戦では、スローからの瞬発戦を勝ち上がってきた馬が多いため、流れが比較的落ち着きやすい。レースが持つ質として、スローペースを前目から立ち回って、速い上がりを出せる馬が有利となっている。

きさらぎ賞、4角3番手以内馬の成績,ⒸSPAIA


きさらぎ賞、上がり3位以内馬の成績,ⒸSPAIA


これは数字からも明らかであり、京都で施行されたきさらぎ賞の直近10回で、4角3番手以内の馬の成績は【6-6-2-20】勝率17.6%、連対率35.3%、複勝率41.2%、単勝回収率203%、複勝回収率113%、上がり3位以内馬の成績は【10-6-7-10】勝率30.3%、連対率48.5%、複勝率69.7%、単勝回収率243%、複勝回収率141%と非常に優秀だ。

この10戦のうち9回で「4角5番手以内かつ上がり3位以内」の馬が勝利を挙げている。スローペースからの上がり勝負を前目から位置取りの差で勝つ、というのが本レースの鉄則と言い切っていいだろう。

展開に恵まれる馬は

続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。まず先行馬はジャスティンアース、ファーヴェント、レガーロデルシエロ、ヴェロキラプトルの4頭。出走馬12頭に対して少なくはないが、前述の通り前半のペースは落ち着きやすいため、前目から立ち回れるこの4頭は展開面から恵まれる可能性が高い。ただ、レガーロデルシエロは前走1勝クラスの内容を見ても若干の能力不足感は否めないか。

ウォーターリヒトは前走400mの短縮でほぼ最後方からとなってしまったが、今回は200mの延長。ある程度前目から立ち回れる一頭だろう。

また先週までの京都芝はかなりの荒れ馬場で、どの馬も速い上がりが使えないため、この点でも相対的に前の位置を取れる馬に優位が生じていた。さらに多くの馬が荒れた内を避け、外にせり出しながら回っていたため、今週も同様の傾向が続けば外差しの馬は距離ロスが大きく、厳しい競馬を強いられるだろう。

シンザン記念の内容を高く評価

◎ウォーターリヒト
今回の小粒なメンバーでは最上位の瞬発力を持つ一頭。前走のシンザン記念は前残りの展開を後方から上がり最速、同2位の馬より0.4秒速い脚を使い、勝ち馬から0.2秒差の3着。最も強い競馬をしていた。この時は400mの距離短縮で行き脚がつかなかったが、2走前の未勝利戦は先行して勝利。今回200mの延長で再度前目から立ち回って、持ち前の速い上がりを使えれば好走は必至だろう。今回は前走同様に人気薄が想定される。オッズ妙味ありと見て本命を打つ。

◯ビザンチンドリーム
2歳戦阪神芝2000mにおいて「勝ち時計2:04.0以内」「上がり最速」「ラスト1F11.4秒以内」「2着に0.4秒差以上」で勝利した馬はビザンチンドリームを含め、ディープインパクト、アグネスタキオン、サトノダイヤモンドら6頭のみ。0.5秒差で圧勝した新馬戦は4角1、2、4番手の馬が2~4着を独占する前残りの展開の中、後方から大外を回しての勝利。上がり2位の馬より0.9秒も速い上がりで、2:01.4の走破時計を記録した。このメンバーでは間違いなく最上位の能力を秘める。本命級の扱いで馬券を組みたい。

▲シヴァース
昨年の2歳戦芝1600mにおいて「勝ち時計1:38.0以内」「ラスト1F11.1秒以内」「上がり最速」「上がり33.8秒以内」で勝利した馬はシヴァースを含め、ボンドガール、チェルヴィニア、ノーブルロジャーら有力馬7頭のみ。こちらも間違いなく高い能力を秘める。この時計を出したのが京都での新馬戦というのもプラス材料。200mの距離延長で前目から立ち回り、速い上がりを使えれば好走が期待できるだろう。

△ジャスティンアース
展開に恵まれる先行馬で、前々走の新馬戦はウォーターリヒトに先着。また、今回と同条件の前走・未勝利戦では先行して上がり最速、0.3秒差の1着。本レースでの理想とする競馬で勝ち上がった。人気薄が想定される今回は期待値がとれる一頭だ。

×ファーヴェント
レベルの高い新馬戦を勝ち上がり、前走の東スポ杯では3着。メンバー中では上位の一頭。先行力が持ち味で逆転もあり得る。

×ヴェロキラプトル
新馬戦は3、4、5、7、8、10着の馬が既に未勝利を勝ち上がり、1勝クラス、リステッドで好走する馬も出ているレベルの高いレースだった。能力は十分。先行力を生かし、展開が向いてどこまで戦えるか。

買い目は◎単勝、馬連◎-◯▲△×馬連5点、◎-◯▲△-◯▲△×3連複9点で勝負する。(花田)

▽きさらぎ賞予想印▽
◎ウォーターリヒト
◯ビザンチンドリーム
▲シヴァース
△ジャスティンアース
×ファーヴェント
×ヴェロキラプトル

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。


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