【東海S】実績、血統から本命はウィリアムバローズ 穴は複数好データに該当のタイセイドレフォン

貴シンジ

東海ステークスの年齢別成績(過去10年),ⒸSPAIA

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

今回は1月21日(日)に京都競馬場で行われる東海Sについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走の敗因」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった17頭を検討対象とし、過去10年分のデータを使用する。


重要データ:複数の好走データに合致するタイセイドレフォン

年齢別成績,ⒸSPAIA


東海Sの舞台は例年中京競馬場だが、今年は京都競馬場で実施される。中京競馬場はコーナーがスパイラルカーブになっていて差し馬は遠心力で外に振られてしまう。従ってイン差しか前々での競馬からの押し切りというわかりやすい傾向があるのだが、今回はそのデータが使えない。

注目したいのは年齢別成績。4歳【1-1-1-12】、5歳【5-3-3-25】、6歳【2-2-5-34】、7歳【2-3-1-30】、8歳【0-1-0-12】となっていて好走率は5歳馬が最も良い。また、複勝回収率は108%あり、レース全体の複勝回収率が62%であることを考えると「5歳馬」というだけで注目に値する。

ダート競走は芝よりもスタミナやタフさが求められ、その反面スピードはそこまで求められない。スピードは筋肉の柔らかさが重要な要素になっていて3歳馬や4歳馬の方が上というのが一般的だが、スタミナやタフさについてはレースの経験が重要なポイントになる。

さすがに6歳以上になってくると競走馬としての衰えもあるので成績は下降傾向にあるが、明け5歳はちょうど良いところだろう。今回5歳馬で出走を予定しているのはタイセイドレフォン、ビヨンドザファザー、レッドファーロの3頭だ。

この中で取り上げたいのはタイセイドレフォン。まず幸英明騎手が手綱を取る予定となっている。幸騎手は京都ダート1800mの成績が良く、2014年以降の3勝クラス以上では【7-5-6-35】で単勝回収率103%、複勝回収率100%となっている。また、東海Sにおいては前走みやこS組が【0-3-0-3】で複勝回収率は238%と好相性だ。

タイセイドレフォン自身の京都ダート成績は【1-1-0-2】でOPの平城京Sも勝利している。このレースは先週の門司Sを勝利したスレイマンが9着だったこともあり、レベルはそれなりに高い。また着外となったのは平安Sと前走のみやこS。平安SではヴァンヤールやハギノアレグリアスなどOPクラスでも上位の馬たちと差のない競馬をして4着。以上から能力、舞台適性はともに高いと見る。

【データから導く注目馬】
・タイセイドレフォン


前走の敗因:みやこSのウィリアムバローズ

ウィリアムバローズの前走はみやこSで結果は3着。普段は逃げか先行の競馬をしているが、このレースはスタートでやや後手を踏み1コーナーの侵入は7番手。また14番枠からの発走だったこともあって、すべてのコーナーで外々を回らされ、かなり距離ロスしてしまった。

普段と違う競馬かつ厳しい展開でも3着にきているのは実力の証で、実績はここでも最上位。今回は中10週での出走だが、中10週以上間隔を空けた場合の成績は【3-2-0-0】とオール連対。オメガギネスは強敵だが関西遠征は今回が初めて。キャリアも浅く経験の差で逆転はあるだろう。


血統解説:ウィリアムバローズ、タイセイドレフォン

・ウィリアムバローズ
日本での牝祖は祖母チッキーズディスコ。競走馬としての実績はないが、繁殖としては本馬の母で紫苑Sを勝利しているダイアナバローズ(父シンボリクリスエス)、芝中距離でJRA3勝のイチブン(父フジキセキ)などを輩出している。ファミリーとしてはスタミナ豊富で、切れずとも持続性能の高い末脚を持つ馬が多い。チッキーズディスコは、El Gran Senor、Shirley Heightsとタフな血統を塗り重ねられていて、Mill Reefの2×3という強烈なクロスも持ち合わせている。そこから持続性能とタフさを獲得しているのだろう。

本馬の場合は母父がシンボリクリスエスで、ファミリーの良さをそのまま伸ばすような母の配合に、ディープインパクト産駒の中でもスピード性能が高く硬い筋肉質なミッキーアイルをつける形。同産駒は牡馬の場合、柔らかさが足りずダートに適性が出る場合が多く、本馬もそのタイプ。またミッキーアイルはステラマドリッド牝系で、このファミリーは先行して粘り強いという特徴が顕著。アエロリットやテイエムジンソクも同様のファミリーだから想像しやすいだろう。本馬もそんな父の特徴を受け継いでいて前に行ってしぶとい。中山巧者と思われているかもしれないが、血統的には平坦な京都もこなせる。

ウィリアムバローズの血統表,ⒸSPAIA


・タイセイドレフォン
日本での牝祖は祖母マハーブ。繁殖牝馬として優秀で、ダート1200mでOP2勝のマハーバリプラム(父フジキセキ)、本馬の母でJRA4勝のデイトユアドリーム(父トワイニング)などを輩出している。孫以降の世代はさらに優秀でJRA複数勝利馬は多数。中でも小倉大賞典勝ちのヒンドゥタイムズ(父ハービンジャー、母父ディープインパクト)が出世頭だ。こちらのファミリーはウィリアムバローズとは打って変わって北米血脈で塗り固められている。マハーブの父Nureyevだけがヨーロッパ血脈でアクセントになっており、デイトユアドリームは配合のバランスが良い。

ヒンドゥタイムズの場合はディープインパクト→ハービンジャーと芝適性を2代で獲得したが、本馬の場合はトワイニング→ドレフォンだからダート特化タイプ。成績が示す通り平坦京都は合っていてベストな舞台。前走より2走前の方がきつい競馬をしていて、それでいて前走はパフォーマンスを落としているわけだから内面に敗因を求めるほかないが、もまれずにスムーズな競馬ができればここでも上位争いは可能だ。

タイセイドレフォンの血統表,ⒸSPAIA


Cアナライズではウィリアムバローズを推奨

今回はウィリアムバローズを推奨する。好走データに複数合致するタイセイドレフォンと迷うところではあったが、前走の敗因も明確で血統的にも不安がないウィリアムバローズを上にとる。タイセイドレフォンは前走の敗因が今一つはっきりしない。ただし、2走前以前の力を発揮できるのであればここでも十分上位争いの圏内だ。おそらく人気を落とすだろうから軸とまではいかずとも相手には必ずいれておきたい一頭だ。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか「競馬王」など商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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