【きさらぎ賞】血統マテンロウレオ、前走成績はストロングウィル、セルケト コースデータからの好走パターン

勝木淳

きさらぎ賞インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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基本的に手堅いコース

翌週から早めに春の阪神がはじまる関西圏。きさらぎ賞はひと足早い冬の終わりを告げる。つまり12月から続く中京開催の最終週にあたり、馬場状態が難しい。昨年は良馬場で2.01.0、前後半1000m1.01.2-59.8。時計を要し、馬場の外目での攻防が目立った。今年も状況は同じ。たとえスローペースであっても後半、極端に早い時計は計測されない。勝ったラーゴム、2着ヨーホーレイク、3着ランドオブリバティともに春のクラシックではスピードで見劣った。

さて、今年はどんな馬場状態だろうか。ここでは12年以降、中京芝2000m、1~3月開催の3歳限定戦77レース分のデータを使用し、傾向を探ってみたい。


過去10年同条件人気別成績,ⒸSPAIA


3歳限定の芝2000mといえば、クラシックを期待したい各厩舎の素質馬がそろう舞台。それこそ、きさらぎ賞も素質馬が集まりやすい。そういった事情もあり、1番人気は【30-12-10-25】勝率39%、複勝率67.5%と勝ち切り傾向。まず、1番人気を中心に考えたい。以下、2番人気【11-16-12-38】勝率14.3%、複勝率50.6%、3番人気【17-9-11-40】勝率22.1%、複勝率48.1%。勝率は1番人気ほどではないにしろ、複勝率は水準以上、上位人気は手堅い。4番人気は【5-12-6-54】勝率6.5%、複勝率29.9%で、以下人気通りに確率が下がる。馬券の中心は1~3番人気の中で選びたい。


血統からはマテンロウレオ

次に血統面に注目したい。3歳春の芝中距離戦といえば、ディープインパクト産駒が断然だが、このコースはやや異なる。


過去10年同条件種牡馬別成績,ⒸSPAIA


種牡馬別成績をみると、ディープインパクト【9-9-9-43】勝率12.9%、複勝率38.6%をおさえ、ハーツクライが【11-11-4-51】勝率14.3%、複勝率33.8%と着度数別トップだった。急坂があるコースで単純な瞬発力勝負にはならないからだろう。今年の出走予定馬ではマテンロウレオがいる。ホープフルS0.5差6着、このメンバーなら実績十分だ。

上位人気が予想されるダンテスヴューのキングカメハメハは【2-2-5-31】勝率5.0%、複勝率22.5%とやや勝ちきれない。またアスクワイルドモアのキズナは【2-0-0-11】勝率、複勝率ともに15.4%と極端だ。


過去10年同条件ハーツクライ産駒母父別成績,ⒸSPAIA


好成績のハーツクライ産駒について母父別の成績をみる。キングマンボ、アンブライドルズソング、キングカメハメハとハーツクライと好相性のミスプロ系が上位に並ぶ。マテンロウレオの母父はブライアンズタイム。その成績は【0-1-0-0】。意外にも1頭しか出走がない。


過去5年ハーツクライ産駒母父別成績,ⒸSPAIA


これだけだと頼りないので、17年以降5年間のハーツクライ産駒全体の母父別成績を。産駒全体ではブライアンズタイムが着度数別トップ。その成績は【29-37-30-290】勝率7.5%、複勝率24.9%。そもそも日本におけるロベルト系の代表ブライアンズタイムは産駒数も多く、ハーツクライと交配数も多い。代表産駒はタイムフライヤー。現状はダートだが、2歳時にはホープフルSを1番人気で勝った。最終週の時計を要する馬場であれば、マテンロウレオもやれそうだ。


まずは先行経験が重要

血統からマテンロウレオをピックアップしたところで、ここからは前走コースに注目して好走パターンをみていこう。


過去10年同条件前走コース別成績,ⒸSPAIA


前走コース別成績着度数別トップ5を出すと、同コースの中京芝2000mが【9-6-5-51】勝率12.7%、複勝率28.2%で首位。前走で未勝利戦を勝ったセルケトが当てはまる。


過去10年同条件前走中京芝2000脚質別成績,ⒸSPAIA


前走中京芝2000mの位置取り別成績を出すと、セルケトが当てはまる先行は【4-5-1-10】勝率20.0%、複勝率50.0%。基本的に前半がのぼり区間の中京芝2000mはペースが緩く、先行優位。前走同じコースで先行した経験を生かせる。セルケトは穴候補として面白い。


過去10年同条件前走阪神芝2000脚質別成績,ⒸSPAIA


次にエアアネモイ、ストロングウィルが該当する前走阪神芝2000mも【8-4-10-50】勝率11.1%、複勝率30.6%と有力。やはり急坂、内回り2000mは親和性がある。その位置取り別成績はエアアネモイの逃げ【1-0-0-3】勝率、複勝率ともに25.0%、ストロングウィルの先行【4-3-2-8】勝率23.5%、複勝率52.9%。前走中京芝2000mと同じく先行力を見せた馬が優位であり、いずれも有力だ。


過去10年同条件前走阪神芝2000脚質別成績,ⒸSPAIA


同じ阪神でも外回り芝1800mは【6-8-7-52】勝率8.2%、複勝率28.8%。ここはフォースクエアが該当。その前走位置取り別成績は逃げ【0-2-1-2】もいいが、上記2コースとは対照的に、中団【4-2-4-18】勝率14.3%、複勝率35.7%、後方【2-2-1-18】勝率8.7%、複勝率21.7%と差し脚にかけた馬の良績が目立つ。フォースクエアの先行は【0-2-1-14】複勝率17.6%とやや物足りない。

上記のマテンロウレオ、アスクワイルドモアなどの前走中山芝2000mは【1-2-2-54】勝率1.7%、複勝率8.5%で目立たず、ダンテスヴューの前走東京芝1800mも【1-2-1-33】勝率2.7%、複勝率10.8%。今年は前走の格を重視するか、コース経験に頼るか。その見極めがポイントになりそうだ。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。


きさらぎ賞インフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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