【AJCC】格重視ならオーソクレース、穴は6歳キングオブコージ 覚えておきたいデータ

勝木淳

2022AJCCインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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上位人気堅調、先行有利

冬の中山最終日は伝統のAJCC。古くはスピードシンボリ、アカネテンリュウ、タケホープ、グリーングラス、ホウヨウボーイ、アンバーシャダイ、サクラチトセオー、メジロブライト、スペシャルウィークなど往年の名馬たちが勝ち馬にズラリ。昨年は菊花賞でコントレイルと壮絶な競り合いを演じたアリストテレスがここで重賞初制覇。そのポイントは伝統のGⅡらしく「格」にあった。ここでは過去10年間のデータから好走傾向について探っていく。


過去10年AJCC人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気【3-3-0-4】勝率30%、複勝率60%を筆頭に、2番人気【3-1-2-4】勝率30%、複勝率60%など上位人気は堅調。勝ち馬10頭中8頭が4番人気以内、複勝圏内も5番人気以内が大勢を占める。一方で7番人気が【2-1-1-6】勝率20%、複勝率40%と好調。17年タンタアレグリア、19年シャケトラの2勝。人気薄の激走も散見されるが、基本的には上位人気が強い。


過去10年AJCC年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢別の成績では、4歳【2-5-3-12】勝率9.1%、複勝率45.5%、5歳【4-1-4-20】勝率13.8%、複勝率31.0%が主力。5歳が勝ち切り、4歳が連下といった感じだが、昨年は4歳アリストテレス、ヴェルトライゼンデのワンツー。今年も菊花賞2着オーソクレースがスタンバイ。傾向通り安易に4歳馬の評価は下げられない。ベテランは6歳が【3-1-2-27】勝率9.1%、複勝率18.2%と侮れない。単勝回収値は175。単穴は6歳だろう。


過去10年AJCC脚質別成績,ⒸSPAIA


今年も年明けから先行有利な馬場状態が続く中山の芝。正月開催の最終週であっても、こういった馬場傾向は変わらないようで、先行が【7-6-2-22】勝率18.9%、複勝率40.5%と勝ち切る傾向にあり、抜群。買っていいのは中団【2-3-6-46】勝率3.5%、複勝率19.3%まで。後方【0-0-0-33】。控える公算が高い馬は手を出しづらい。

また逃げ馬は【1-0-1-9】勝率9.1%、複勝率18.2%。逃げて残ったのは15年4番人気1着クリールカイザー、18年8番人気3着マイネルミラノの2頭。中山芝外回り2200mは3、4コーナーがゆったりしており、中団までにいれば、比較的スパートをかけやすい。逃げ馬はどこまで後ろからプレッシャーを受けないかがポイント。しかしそれを意識しすぎるとオーバーペースになる。


オーソクレースを除くと混戦模様

さて、ここからは年齢別に前走クラス別成績を見ながら、AJCC好走に必要な格について考えてみたい。


過去10年AJCC4歳馬前走クラス別成績,ⒸSPAIA


まずは4歳馬から。前走クラス別成績を出すと、3勝クラス【1-0-1-2】勝率25%、複勝率50%、オープン【0-1-1-3】複勝率40%、GⅢ【0-1-1-2】複勝率50%。4歳馬ならば若さと勢いに任せて挑戦、ここでも好走というパターンはある。

一方で前走GⅠも【1-3-0-5】勝率11.1%、複勝率44.4%と好成績。やはり格は有効。このうち前走が菊花賞だった馬は【1-3-0-4】。オーソクレースの前走菊花賞2着は昨年のアリストテレスと同じ臨戦過程。この舞台はホープフルS以来の休み明けだったセントライト記念で3着。申し分ない。船橋のキャッスルトップも前走は東京大賞典。データ上、格の条件は満たした。問題は芝適性だろう。


過去10年AJCC5歳馬前走クラス別成績,ⒸSPAIA


5歳は4歳のような格下からの参戦は厳しく、前走3勝クラス、オープンだと【0-0-0-6】。やはりGⅠ【3-0-1-5】勝率33.3%、複勝率44.4%。天皇賞(秋)6着以来のポタジェが当てはまる。ただし好走例は前走GⅠ4着【2-0-0-0】、10着以下【1-0-1-3】。天皇賞(秋)以来は出走ゼロ。中山は新馬戦以来の出走で、良績は左回りまたは直線の長いコース。中山で積極的に買いたいタイプではない。

また同格の前走GⅡは【1-0-2-5】勝率12.5%、複勝率37.5%。アンティシペイトが当てはまる前走アルゼンチン共和国杯は【0-0-1-2】複勝率33.3%。好走は昨年3着ラストドラフト。同馬はアルゼンチン共和国杯2着としっかり好走しての参戦だった。アンティシペイトは格上げ初戦の前走8着。重賞好走歴がなく、ちょっと心配だ。


過去10年AJCC6歳馬前走クラス別成績,ⒸSPAIA


6歳も前走が格下の3勝クラス、オープンだと【0-0-0-10】。こちらもGⅠ【2-0-0-6】勝率、複勝率ともに25%、GⅡ【1-0-1-3】勝率20%、複勝率40%と格がモノをいう。前走GⅠ、GⅡで敗退、人気落ち、巻き返しがひとつのパターンだが、今年は見当たらない。

今年は先述の昨年3着ラストドラフトなど前走が中日新聞杯だった馬が多く出走予定。GⅢは【0-1-1-8】複勝率20%。前走が中日新聞杯だと【0-0-1-0】。19年5番人気3着メートルダールしかいない。同馬は中日新聞杯5着。今年であれば4着ボッケリーニ、5着キングオブコージが近い。

どちらも広いコース向きのイメージがあるものの、ボッケリーニは小倉大賞典2着、阪神内回り芝2000mのアンドロメダS2着など小回りが不得手なわけではない。またキングオブコージは20年春に中山で2、3勝クラスを連勝。オープン入りを決めた湾岸Sは同条件の芝2200m戦。好位から上がり33.7であっさり抜け出し、快勝。昨年は長期休養があり、秋にたった2戦。消耗が少なく、使われながら状態を戻しつつある。

2022年AJCCに関するデータ,ⒸSPAIA



ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。



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