【新潟記念】ハンデ52Kgで新潟芝2000mの実績もあるパルティアーモが有力。穴は芝2000mがベストのリアアメリア

山崎エリカ

2021年新潟記念PP指数,ⒸSPAIA

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新潟芝2000mは、脚質の有利不利があまりない

新潟記念は距離2000mでありながら、ワンターンコースで行われる。2000mでワンターンコースなのは、直線が日本一長い新潟のみ。新潟芝2000mはスタートから最初の3角までの距離が948m、最後の直線は658.7mもある。そのうえ平坦コースなので、逃げたい馬は昨年の2着馬ジナンボーのように、出遅れても3角までに先頭が取れるし、2018年の2着馬メートルダールのように、4角最後方からでもいい脚が長く使える馬であれば、連対圏内まで届く。

序盤から無理して行かせる必要も、後続馬が早めに仕掛ける必要もあまりなく、レースが平均ペースで流れることが多い。意外と実力通りに決まっているのがポイントだ。ただし、新潟記念はハンデ戦。ハンデ戦らしく、軽斤量馬の一発があるので、そこも視野に入れて予想を組み立てたい。

能力値1~5位馬の紹介

2021年新潟記念PP指数,ⒸSPAIA



【能力値1位 トーセンスーリヤ】
昨年の新潟大賞典の優勝馬。今年も新潟大賞典で4着と新潟芝2000mはベストと言える条件。前走の函館記念はレッドジェニアル、マイネルファンロンが競り合って前半3F34秒4、5F58秒5というかなり速い流れを、やや離れた単独3番手からレースを進めた。3角外からじわりと上がっていき、4角ではもう先頭。直線序盤で1馬身、ラスト1Fでも引き離して3馬身差の完勝だった。

前走はかなり強い競馬で、自己最高指数を記録。今回は力を出し切った後なのでどこまで余力が残っているのかという点と、トップハンデ57.5㎏が鍵になる。

【能力値2位 ザダル】
3走前の新潟外回り芝1800mの関越Sでは、メンバー最速の上がり3F32秒8をマークし勝利。プロディガルサンが大逃げを打って前半4F45秒6の速い流れを、7枠から控えて末脚を生かす競馬をした。極端な高速馬場ではなかったことを考えると、とても強く、指数も優秀だったと言える。

前走のエプソムCは馬場の内側が悪化していたため、中団列が外に広がっていく流れ。ザダルは大外枠だったが上手く中目のスペースに入り、4角では好位の直後に付けた。直線では外に出して、ラスト2Fで一気に先頭に立って重賞初制覇を達成。

最後は上手く立ち回れていたわりに、直線の進路取りがスムーズではなかったサトノフラッグにクビ差まで詰め寄られたが、昨秋の毎日王冠以来の長期休養明けの一戦だったことを考えれば上々。問題は前走で休養明けながらある程度力を出し切っており、順当に体調面が上向くかどうかだ。

【能力値3位 クラヴェル】
近2走はハンデ戦のマーメイドS、中京記念に出走。軽斤量に恵まれたこともあり、2着、3着という安定感と充実度を見せた。ともにメンバー最速の上がり3Fタイムを記録しているが、その内容は恵まれた面がある。マーメイドSはレースの上がり3Fが35秒3も要しているように、意外と馬場がタフで前が厳しい流れ。五分のスタートを切ったものの、脚を温存する選択を取って後方待機したことで、4角13番手から一気に2着まで追い上げることができた。

また中京記念ではやや出負けしたこともあり、後方待機を選択。レースはラスト4Fから一気にペースアップ。逃げたディアンドルが内を空けて直線に入ったことで内にスペースが生まれた。さらに前にいたカテドラルも外を選択したことで、内の進路ができてそこを強襲して3着。今回も前走と同じ斤量52Kg。近2走のように乗り方の工夫や展開に恵まれればチャンスありといった評価になる。

【能力値4位 パルティアーモ】
昨年9月の新潟芝2000mの2勝クラス、弥彦特別では休養明けながら1クラス上を超える指数で圧勝。斤量が軽ければオープンでも通用するレベルの指数を記録した。今年は初戦の3勝クラスを快勝。前走のメトロポリタンSは、五分のスタートから軽く促して逃げ馬の外2番手からの正攻法な競馬。ゴール手前で先頭に立ったところを外からゴールドギアにクビ差交わされたが、負けて強しだった。着実に成長している上に、今回は斤量52㎏とハンデも軽い。新潟芝2000mでも実績があるだけに、チャンスは十分と見る。

【能力値5位 ギベオン】
3走前の金鯱賞は逃げ馬不在をつきマイペースで逃げ、強豪を撃破。2018年の中日新聞杯以来の重賞制覇を果たした。近2走はマイル戦。マイラーズCも安田記念も上手く内々を立ち回っていることもあって大崩れはしていないが、ゆったりとレースを運べる芝2000mがベスト。問題はトーセンスーリヤやザダルと同じ、トップハンデ57.5㎏を背負うこと。そして安田記念以来の一戦で、明確にこのレースが勝負ではない点だ。

穴馬は昨秋のローズSの覇者リアアメリア

昨秋のローズSでは、テンの速い馬が外枠だったこともあり、最内枠とスタートの上手さを生かして楽に2番手を取り、持久力を生かして先行することで快勝した。同馬は芝1600mの新馬戦、アルテミスSを勝利したことでマイル路線を歩んだが、その時に見せたエンジンの掛かりの遅さ(後方の外から追われてラスト2Fまではジリジリとしか伸びて来ず、ラスト1Fでようやく加速するレースぶり)から、マイルの上級条件では厳しいと見ていた。実際にアルテミスS以降のマイル戦では、リアアメリアを買ったことがない。

昨秋の秋華賞は休養明け好走後でダメージが懸念された一戦。オーバーペースに巻き込まれたこともあって13着大敗を喫した。ただ次走のエリザベス女王杯では、逃げたノームコアが16着に大敗する流れを2番手で追走し、しぶとく粘って0.6秒差(7着)に善戦した。昨秋のエリザベス女王杯は、上位のラッキーライラック、サラキア、ラヴズオンリーユーはもちろん、日経賞勝ちのウインマリリン、ハイレベルのオールカマー勝ちのセンテリュオなど、強豪が集っていたことから、7着でも上々だったと言える。

3走前の中山牝馬Sは、スタミナが不足する休養明けでタフな馬場を好位の直後を立ち回って失速。近2走は距離が短く、レースの流れに乗れなかったもの。敗因が明確なだけに、距離ベストのここでの復活の可能性は十分にありそうだ。とにかくスピード不足なので、無理なく追走できるスローペースを先行する競馬が理想的だ。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示例)トーセンスーリヤの前走指数「-22」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.2秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。



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