【札幌2歳S】今年も出るか、スター候補 最終週のタフな洋芝はハービンジャー産駒のリューベック!

高橋楓

札幌競馬場(芝)限定騎手リーディング,ⒸSPAIA,ⒸSPAIA

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前走成績に注目せよ!新馬戦、1着馬が圧倒的!

1996年4月4日。後の日本競馬界に大きな影響を与えるサンデーサイレンス産駒の牝馬が誕生した。その名は「シラユキヒメ」。勝利こそあげられず繁殖入りするわけだが、第3子の「ユキチャン」が地方交流重賞を3勝。そして第9子のブチコは母として無敗の桜花賞馬ソダシを誕生させた。すべての始まりはシラユキヒメからである。

先にも登場したソダシは昨年このレースを勝利し、その後もアルテミスS、阪神JFと破竹の連勝劇を披露した。今年はここからどんなスター候補が現れるのだろうか。

過去10年間前走レース別成績,ⒸSPAIA


過去10年間(2013年は函館開催)の成績を紐解くと、前走新馬戦組が[6-4-7-56]、でオープン組の[1-5-3-27]を大きく引き離してリードしている。

前走オープン組の内訳を見ると、クローバー賞は[1-1-2-8]で2016年にトラストとブラックオニキスがワンツーを決めた以外連対馬はでていない。コスモス賞組は[0-4-1-14]で4頭が2着に入っている。ここから連戦した馬はコスモス賞1着馬[0-3-0-3]、2・3着馬[0-1-0-4]、4着以下[0-0-1-7]となっている。今年は勝ち馬トーセンヴァンノと2着馬エーティーマクフィが出走予定。なお函館2歳S組は[0-0-0-5]で馬券に絡んだ馬はいない。

最後に前走未勝利組だが[3-1-0-22]と4頭が連対を果たしている。勝ち馬3頭はすべて新馬戦で0.2秒差以内の接戦で負けた馬だった。ちなみにその3頭はその後GⅠ戦線等で活躍するグランデッツァと、ニシノデイジー、ブラックホール。今年の登録馬ではモチベーションがこのパターンに該当する。連闘となるため不透明だが、出走してきたら要注意だ。

過去10年間前走着順別成績,ⒸSPAIA


前走着順にも注意が必要で、前走1着馬が[9-9-9-79]と圧倒的。2、3着だと[1-1-0-14]、4着以下だと[0-0-1-13]。前走の着順は予想の上で大きなウェイトを占める。ただ、今年は大半が前走1着馬というメンバーになった。

札幌巧者は誰だ!騎手部門はやはり「C.ルメール騎手」

札幌競馬場(芝)限定騎手リーディング,ⒸSPAIA


2010年から今年の8月27日までに札幌競馬場で行われた芝のレースは延べ979レース。断トツの成績をあげているのはC.ルメール騎手で[92-69-45-160]となっている。実に勝率25.1%、連対率44.0%、複勝率56.3%という成績をあげている。今年はサンデーレーシングのジオグリフに騎乗予定だ。

2位は池添謙一騎手で[54-57-54-315]、3位は吉田隼人騎手で[48-41-43-357]となっている。4位は福永祐一騎手で[46-45-30-140]で勝ち星こそ劣るものの、連対率34.9%、複勝率46.4%と立派な数字をあげている。5位は横山典弘騎手で[42-23-30-173]と続く。


ハービンジャー産駒を狙え!札幌巧者の種牡馬ランキング

札幌競馬場(芝)2歳限定種牡馬リーディング,ⒸSPAIA


次に札幌競馬場が得意な種牡馬を考えてみたいのだが、一概に得意と言っても早熟傾向の馬も晩成傾向の馬もいる。よって今回は2010年以降の札幌2歳戦における芝のレースに限定して調べてみる。

レース数は317となり、第1位はディープインパクト産駒で[21-16-9-31]。勝率27.3%、連対率48.1%、複勝率59.7%はさすがとしか言いようがない。

第2位にはハービンジャー産駒がランクインした。当該条件では[20-11-11-70]と出走回数こそ違うもののディープインパクト産駒と1勝差となっている。やはり洋芝での成績が良く、
札幌芝コース:勝率17.9%、連対率27.7%、複勝率37.5%
洋芝コース:勝率17.4%、連対率28.2%、複勝率35.6%
野芝コース:勝率9.0%、連対率17.0%、複勝率28.3%

と札幌コースとの相性は抜群だ。 以下、キングカメハメハ産駒[18-5-12-40]、ハーツクライ産駒[11-7-8-40]、ダイワメジャー産駒[10-12-10-47]と続く。

札幌競馬場(芝)2歳1800m以上限定種牡馬リーディングランキング,ⒸSPAIA


次に見方を少し変えてみたい。札幌芝コースで2歳戦が行われているのは1000m、1200m、1500m、1800m、2000mの5パターン。短距離戦と中距離戦ではランキングがガラッと変わるので、ここでは1800m以上の中距離種牡馬ランキングを見ていく。

2010年以降、札幌競馬場で行われた2歳の中距離戦は123レース。成績は以下のようになり、タイとはいえハービンジャー産駒が勝利数トップに立った。

1位 ハービンジャー産駒[14-10-10-49]
2位 ディープインパクト産駒[14-8-5-17]
3位 キングカメハメハ産駒[12-3-7-24]
4位 ハーツクライ産駒[5-3-2-21]
5位 ステイゴールド産駒[4-7-5-24]

全姉ディアドラに続け!本命はリューベック

今年の出走登録は13頭。ここから回避などが出るかもしれないが、本命はリューベックとする。

デビュー戦は函館競馬場の1800m戦を単勝1.4倍に応えて完勝。血統面を見ても、今回度々取り上げたハービンジャー産駒。全姉はクイーンSの覇者で札幌コース2戦2勝のディアドラというのも心強い。騎乗するのは絶好調の横山武史騎手。姉弟の札幌重賞制覇の可能性は十分だ。

対抗はジオグリフ。大物感あふれる内容で新馬戦を快勝したドレフォン産駒。少々乱暴かもしれないが上がり3ハロン33.3秒は同日同距離で行われたメインレース、ラインベックが勝った江の島Sの古馬たちと比較しても遜色ない。7馬身後ろに離した4着馬が次走で未勝利戦を快勝したところを見ても、決して低レベルのレースではなかった。

本年産駒デビューの父ドレフォンは米国のダート短距離戦線で活躍していただけに、似たような産駒がでるかと思ったが、ここまで産駒があげた6勝のうち3勝が1800mのレース。そして4勝は芝。やはり血統というのはどれだけ勉強しても思い通りいかず、奥が深いと痛感する。札幌巧者のC.ルメール騎手を背に逆転があっても何ら不思議ない。

三番手にはトップキャスト。新馬戦は同日同条件の3歳1勝クラスでも馬券圏内に入れてしまうタイムで完勝。3コーナーでは追いかけた馬がバテてしまい、2着に3馬身半、3着には大差をつけた。しかしながら、明らかなオーバーペースと後続を離していた内容を考慮しても、ラスト2ハロンで一気にスピードが落ちたことはやや気がかり。上位2頭を脅かす存在になり得そうなだけに、2戦連続騎乗予定の団野大成騎手のエスコートに注目したい。

◎リューベック
◯ジオグリフ
▲トップキャスト

《ライタープロフィール》
高橋楓。秋田県出身。
競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』にてライターデビュー。競馬、ボートレースの記事を中心に執筆している。

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