【ラジオNIKKEI賞】マルゼンスキー、ツインターボも勝った伝統の一戦 波乱の3歳ハンデ重賞注目ポイント

緒方きしん

ラジオNIKKEI賞過去5年間の優勝馬ⒸSPAIA

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マルゼンスキーやツインターボも勝利した一戦

宝塚記念はクロノジェネシスが完勝。昨年とは異なる馬場状態にもかかわらず、危なげのない走りで勝ち切ったのは圧巻だった。秋には海外遠征も計画されているようで、今後の動向にも注目が集まる。

さて、いよいよ夏競馬が本格化。今週はラジオNIKKEI賞とCBC賞が開催される。ラジオNIKKEI賞は元々1952年に創設された中山4歳ステークスを前身としているレースで、1979年〜2005年にはラジオたんぱ賞として開催されてきた歴史ある重賞だ。平成初期にはシンコウラブリイ、ツインターボといった名馬を輩出、さらに遡るとスズパレード、マルゼンスキー、オンワードゼアといった名馬が勝っているレースでもある。

今年はスプリングSの2着,3着,5着,6着の馬が集合するほか、NHKマイルCで4着のリッケンバッカー、若葉Sの2着馬シュヴァリエローズなどが出走を予定している。近年も多くの活躍馬を輩出している一戦だけに、今週も引き続き見逃せない。

1番人気は4連敗中

ラジオNIKKEI賞過去5年間の優勝馬ⒸSPAIA



現在、1番人気は2016年ゼーヴィントが勝利して以降、4連敗中。かの歴史的名ステイヤー・フィエールマンすら敗れた、1番人気不遇のレースでもある。2016年も1番人気のゼーヴィントが4.0倍、2番人気のブラックスピネルが4.1倍とギリギリまで人気を争っていたが、そのブラックスピネルは5着に敗れている。

昨年の1番人気はパラスアテナ。当時は芝レースで2戦無敗、連勝中というホープであり、秋には紫苑Sで2着、秋華賞で4着と活躍した実力派だが、ラジオNIKKEI賞では4着に敗れた。かわりに8番人気バビット・7番人気パンサラッサのワンツーで、馬連は112.4倍の万馬券となった。ナカヤマフェスタ産駒のバビットはその後セントライト記念も制し、菊花賞でも3番人気となった。

2006年にレース名が現行の「ラジオNIKKEI賞」となって以降長らく、クラシック経験組が苦戦してきたが、一昨年には皐月賞で11着だったブレイキングドーンが勝利。クラシック出走組VS未出走組という構図で見ても面白い一戦だ。

祖父のリベンジを果たせるか

皐月賞・ダービーに出走できなかった素質馬が集合するラジオNIKKEI賞。遅咲きの才能のぶつかり合いになるが、今回はその中でも、2着になった馬たちのその後に注目したい。優勝馬に負けず劣らず、出世した馬が多いのだ。

2006年2着馬ソングオブウインドはその後菊花賞を制覇、2010年2着馬クォークスターはセントライト記念を制覇、2011年2着馬マイネルラクリマはオールカマーなど重賞を3勝。そして2018年の2着馬であるフィエールマンは菊花賞を制覇すると、古馬になって天皇賞(春)を連覇し、歴史に名を残す名馬となった。

その歴史の中でも面白いメンバーが揃ったのが、2007年だった。優勝したロックドゥカンブはその後も菊花賞3着、有馬記念4着など活躍。3着馬イクスキューズは引退してからは母として重賞活躍馬を複数輩出し、11着に敗れたショウワモダンは2010年の安田記念で勝利した。

そして圧巻は、2着馬スクリーンヒーローの飛躍。スクリーンヒーローは翌年、アルゼンチン共和国杯・ジャパンCで連勝し一気にGⅠホースの仲間入りを果たす。特にジャパンCでは、ウオッカやディープスカイ、メイショウサムソンといった骨太なメンバーを相手に波乱を演じた価値ある勝利だった。さらに翌年には天皇賞(秋)で2着となり、引退。すると種牡馬として大ブレイクを果たし、ゴールドアクター・モーリスらを輩出した。

そして今年、そのモーリスの初年度産駒がラジオNIKKEI賞に挑戦を予定している。1頭は3戦2勝馬ノースブリッジ、もう1頭はプリンシパルSで3着のタイソウ。出走が叶えば、祖父のリベンジを果たしたいところではないだろうか。

勝ち馬の父にも注目

2013年の勝ち馬はステイゴールド産駒、ケイアイチョウサン。8番人気のケイアイチョウサンに続き、2着に14番人気カシノピカチュウが食い込んだことで、馬連は404.6倍に。さらに3着も5番人気アドマイヤドバイで、3連単は9175.0倍の大荒れとなった。ケイアイチョウサンの全弟であるオジュウチョウサンは、その後歴史的な名障害馬として成長している。

ここ数年における勝ち馬の父を見ると、ナカヤマフェスタ、ヴィクトワールピサ、マンハッタンカフェ、ディープブリランテといった多様な名前が並ぶ。2006年の勝ち馬タマモサポートは、父のタマモクロスにとって最後の重賞馬となった。

そういう意味では、ジョーカプチーノ産駒のネクストストーリーも、面白い存在かもしれない。実績的にはやや見劣りはするものの、何と言ってもジョーカプチーノの父であるマンハッタンカフェはアロマカフェ・メイショウテッコンとラジオNIKKEI賞勝ち馬を2頭輩出している。1992年シンコウラブリイ以来となる牝馬による制覇を目指したい。

《ライタープロフィール》
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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