【安田記念】グランアレグリアはアーモンドアイの二の舞か? 一番の逆転候補は4歳馬サリオス

山崎エリカ

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グランアレグリアは、昨年のアーモンドアイの二の舞になる可能性も…

昨年の春秋マイル統一王者で、今春のヴィクトリアマイルも優勝した能力値、最高値ともに1位のグランアレグリアが断然1番人気の様相だ。前走のヴィクトリアマイルでは、前々走で芝2000mを使った後の一戦らしく、出脚が悪く、やや追走に苦労し、中団からの競馬になったが、そこから内ではなく、敢えて外に誘導。直線序盤で仕掛けて4馬身差で完勝した。同馬が前走指数は、自己最高指数となる「-27」。前走同様に走れるならば、ここも優勝する可能性が高い。

安田記念出走馬のPP指数


しかし、競走馬は目一杯に走った後は疲れが残り、体調の下降線に入りやすい。昨春のアーモンドアイもヴィクトリアマイルで3着のノームコアに4馬身差の完勝だったが、安田記念では半馬身差まで詰め寄られ、グランアレグリアに2馬身半差をつけられて完敗している。

歴史的に見てもヴィクトリアマイルと安田記念を連覇した馬は、2009年のウオッカのみ。グランアレグリアが勝てば、それ以来となる。強い馬なので無印にはできないが、連覇は簡単ではないことも踏まえて予想を組み立てたい。

その他、能力値2~5位

【能力値2位 ダノンプレミアム】
昨秋の天皇賞は、アーモンドアイが自己最高指数「-29」を記録し、超ハイレベルだった一戦。レース当日は、例年のように外差し馬場だったが、初めてのブリンカー着用で挑んだ同馬は、逃げて4着に粘った。天皇賞(秋)はラスト3F目(1400-1600m)にレース最速の10秒9が計測されたように、逃げ馬には楽ではない流れ。前半ペースを落とし過ぎたせいで、2列目に早めに上がって来られてしまい、4角から一気に動いたことが致命的となったが、それでもアーモンドアイと0.4秒差なら優秀である。

休養明け好走後の反動で、前走の香港Cでは能力を出し切れなかったが、まともに走れば、今回のメンバーでも上位争いできる馬だ。ただ、ダノンプレミアムのここまでの指数の推移を見ると、昨秋の天皇賞が自己最高指数であり、マイルよりも中距離の方が良い指数を記録していることが多い。つまり、マイルではやや距離が短い。個人的には、宝塚記念のようなレースが向いていると見ている。

それだけに1分31秒前後の決着や、スローからの瞬発力比べになると、ややトップスピードが足りない面があるところが不安点。しかし、時計がかかれば普通にチャンスが出てくるし、高速馬場ならば逃げにこだわらずになるべくスローペースで運んで、ラスト2F勝負にかけるロゴタイプの安田記念優勝時のような乗り方ならば、大惑星になりうると見ている。

【能力値3位 ケイデンスコール】
3走前の京都金杯で復活の好走をすると、勢いに乗って3戦連続連対と好走。前走のマイラーズCは、ベステンダンクとフォックスクリークが競り合って強烈にペースを引き上げた中、徐々に後退して中団での追走。激流になったことで、展開に恵まれた面は否めない。しかし、他力本願だった3歳時と比べると、ある程度は前目からでも、メンバー上位の上がり3Fタイムを駆使できるようになっており、幅広いレースに対応できるようになったことは魅力。

今回も近走と同じくらいは走れそうだが、今回のメンバーが相手だと、指数の最高値が強調できない面がある。最高値の高い実績馬たちが能力を出し切れず、今回のレースの決着ハードルが下がるようならば、勝ち負けのチャンスも巡ってくる。相手の自滅待ちになりそうだ。

【能力値4位 カテドラル】
前々走の東京新聞杯、前走のダービー卿チャレンジTともに2着と勢いがある。前々走はダイワキャグニーが最内枠から無理目に出して逃げて、スローよりの平均ペースになった中、中団の内で脚を温存し、3~4角でも内目を通して、直線で外目に出すと一気に伸びて、ラスト2F目では先頭列に並びかけ、抜け出すかの好内容。しかし、内から捌いて来たカラテにアタマ差出られてゴールインを許し、惜しくも重賞初制覇を逃した。

前走はマイスタイルがスタートから押して主導権を主張し、速い流れ。前が崩れたことで展開に恵まれたが、3走前のキャピタルS時のように、勝ちに行かなければ、大崩れせずに走れる点が魅力。しかし、ケイデンスコール同様にGⅠのメンバーに入ると指数の最高値は強調できず、あくまで実績上位馬の自滅が必要。また今回のメンバーなら、前崩れの展開の後押しも欲しいところ。

【能力値5位 サリオス】
昨年の3歳クラシック、皐月賞、ダービーでともに2着。続く古馬初対決となった昨秋の毎日王冠では、トーラスジェミニがハイペースでレースを引っ張る展開を、離れた4番手でレースを運び(実質の差し)、ラスト2Fでは先頭列に並びかけ、ラスト1F過ぎで先頭に立つと、そこからは後続を引き離して3馬身差の完勝と強さを見せつけた。もしコントレイルがいなかったら、デビューから毎日王冠まで6戦6勝もありえた。

昨秋のマイルCSは、出負け&出脚が悪く後方からの競馬となり、多くの競馬ファンに「なぜあんな後方から行くの?」と叩かれたが、大外枠から前目に入って行けるだけのスタート&二の脚ではなかった。鞍上は一旦、中団外でレースを運んだものの、手応えが悪かったため、最終的にはさらに下げて後方の外目から着狙い騎乗をしただけ。無理に出して先行させていたら、5着すらなかったと見ている。おそらく休養明け好走の反動が強く出ていたのだろう。

前走の大阪杯は休養明けでスタミナが不足しているところに、直前の大雨の影響で馬場が悪化し、レイパパレイの骨を切らせて、肉を断つ逃げで、かなりタフなレースになった。それもひとつ前のレースなら理想的な内枠で、逃げる勢いで出して、レイパパレイの後ろを取ってというレースぶり。しかし、馬場内側の状態が悪化しており、最後の直線で馬場の内を選択したことが致命傷となって、5着に失速した。このように近2走の敗因はしっかりしている。サリオスは中距離でもいいが、マイルも悪くない馬。復活の好走は十分に期待できる。

穴馬は、急降下から変わり身期待のダノンキングリー

3歳秋の毎日王冠では、サリオスと全く同じ指数「-24」で優勝し、昨年の中山記念でもラッキーライラックを撃破し、毎日王冠と同等の指数を記録した実力馬。昨春の大阪杯で逃げたことがスランプの予兆だったのか、それも逃げたことがきっかけで折り合い難になったのか、昨年の安田記念から引っ掛かる様を見せるようになり、まさかの成績急下降。前走の天皇賞(秋)では殿負けと、全く競馬になっていなかった。

今回はそれから約7ヵ月の休養明けの一戦となる。この中間は初めてダートコースで追われ、追い出されての反応が鈍く、併走馬にもろに煽られていたが、ダートコースだったからの可能性もあると見ている。同馬は毎日王冠1着からマイルCS5着など、サリオスと類似する面があり、本来は中距離でもいいのかもしれないが、実力上位馬でマイルがベストという馬は、グランアレグリアとインティチャンプくらいしかいないだけに、ダノンキングリーの一発に期待してみたい。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)グランアレグリアの前走指数「-27」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.4秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。


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