【大阪杯】ポイントは「スローペース」「先行」「持続力」 東大HCはコントレイルに太鼓判

東大ホースメンクラブ

大阪杯の位置取り別成績インフォグラフィックⒸSPAIA

前々で運ぶ馬に勝機あり

4月4日(日)に阪神競馬場で行われる大阪杯(GⅠ・芝2000m)。春の古馬・中距離王決定戦にGⅠ馬5頭を含む13頭が集結した。無敗のまま牡馬三冠を達成しこれが今年初戦となるコントレイルや昨年の最優秀短距離馬に選出されたグランアレグリアなど、輝かしい実績を持つ馬が参戦。現役最強クラスのメンバーが揃う楽しみな一戦となった。

さらに、昨年春のクラシックでコントレイルと競り合ったサリオスや、無敗のまま重賞を制覇したレイパパレなどの現4歳世代の筆頭格も出走予定。コントレイルとグランアレグリアの2強との見方が強いが、この2頭は素直に信頼してよいのか。またこの2頭を負かすことができる馬はいるのか。今週もデータを踏まえて検討しよう。

まず、当該レースにおける過去10年の傾向を分析する(2016年以前のGⅡ時代含む)。

大阪杯過去10年ラップⒸSPAIA


過去10年で前半5Fが60秒を切ったのはわずかに2回のみ。スタートしてすぐに坂を上ることもあってか前半は緩い流れで進む。後半は直線が相対的に短い内回りというコース形態のためか、ラスト5Fからゴール前の坂にかかるまで徐々に加速していくラップ構成となっている。スローペースになりやすいとはいえ、ラスト3Fでの勝負に強い瞬発力が持ち味の馬よりも、持続力に秀でた馬に分があるといえる。

位置取りでは、馬券に絡んだ馬のうち半数が4角で4番手以内であったように、前々で運ぶ馬が好走する傾向にある。特にGⅠ昇格後(17年以降)はこの傾向が顕著で、連対馬8頭のうち6頭がこれに該当している。また、近8年で6番人気以下から馬券に絡んだ5頭のうち4頭は先行していた。

過去10年の馬連平均配当金額が2,760円と荒れにくいレースではあるものの、人気薄で狙うなら先行馬ということになるだろう。対照的に後方待機勢は昔こそショウナンマイティやオルフェーヴルが好走していたものの、近年では入着がやっとといった不調ぶり。割り引いて考えたい。

中枠が安定して良績

過去5年古馬戦・阪神芝2000m枠番別成績ⒸSPAIA


次に枠番別成績をみてみる。データは過去5年の阪神芝2000m戦のうち、上半期に行われた古馬によるレースを参照している。3~5枠が好成績を残しており、単勝回収率も100%超え。中枠に収まった馬の評価を上げたい。

また、内枠成績は可もなく不可もなしといった印象を受けるが、大阪杯に限っていえば2002年を最後に1・2枠から連対した馬はいない。16年には1番人気で2枠のラブリーデイが4着に沈んでおり、割り引かざるを得ないだろう。

執筆時点でレース当日の天気予報は雨。先週の日曜日も雨が降って芝コースは一日通して稍重だった。差しが決まるレースもあったが、日曜芝レースの勝ち馬5頭のうち4頭は4角3番手以内であったように、内、先行が全くダメということもない。ここは「雨の日は先行馬有利」というセオリーに従いつつ、中枠から好位で運べる馬を中心に馬券を組み立てたい。

稀代の名馬が新たな歴史をつくる

本命にはコントレイルを据えた。三冠馬3頭がしのぎを削ったJCでは、激戦だった菊花賞の疲れからか直線で内によれていた。そんな決して万全な状態とはいえない中でもアーモンドアイの2着という結果を残し、世代を超越した能力を証明した。

近走は折り合い重視で後方からレースを運ぶことが多いが、2歳時そうであったようにある程度の位置は取れる馬。さらにホープフルSから皐月賞に直行で勝っているように久々にも不安はなく、調教の動きも抜群。今回は力を存分に出しきることができるはずだ。中枠を引いたことで条件的には完璧で、言い訳のできない状況だ。

対抗はサリオス。前走のマイルCSでは大外枠が響いて後方からレースを運ぶこととなり、結果的に上がり最速の脚を使っても届かないという何ともやりきれない形で終わってしまった。しかしそれでも入着は果たしているように決して力が劣っているわけではない。皐月賞ではHペースを先行してコントレイルに0秒1差まで迫っており、持続力も備えている。半姉であるサラキアが5歳の秋に覚醒したことからこの馬も成長力に期待だ。

ただ、2枠2番という受難の枠を引いたことで評価を下げざるを得ず、コントレイルへのリベンジはもう少し先となってしまいそうだ。

3番手にレイパパレ。抽選で秋華賞を除外されてしまったためこれが初のG1挑戦となるが、重賞を含む5戦5勝と素質は間違いなく一戦級。加えて、前々で運べる脚質もデータ的に心強い。相手のレベルが大幅に上がり、斤量利も小さくなるといった懸念はあるものの、未だ底を見せない当馬のポテンシャルに期待したい。

4番手にグランアレグリア。絶対的なスピード値では他を圧倒しているものの、距離不安に加え、阪神内回りというコースとも相性が悪そうで過信はできない。仮に中距離戦をこなす能力を備えていたとしても、一気の2ハロン延長で勝負するにはメンバーが揃いすぎた。以上のような不安要素があるなかで2~3倍台の人気となっては馬券的にも食指が動かず、抑えまでとした。

以下、相手はブラヴァス、ワグネリアンと続く。中枠から好位につけられそうな馬に印を回したが、上位層がかなり厚いため3着までとみた。

▽大阪杯予想▽
◎コントレイル
○サリオス
▲レイパパレ
△グランアレグリア
×ブラヴァス
×ワグネリアン

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。


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