秋競馬開幕 菊花賞・秋華賞はトライアルレースの結果が大切
東大ホースメンクラブ
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
秋華賞はひと工夫が必要
夏競馬もいよいよ最終週となった。9月に入ると菊花賞トライアルのセントライト記念・神戸新聞杯、秋華賞トライアルの紫苑S・ローズSが行われる。4レースはいずれも牡牝三冠最終戦への切符をかけたレースだ。過去10年のデータをひもとき、菊花賞・秋華賞の好走条件を探る。
まずは秋華賞。過去10年を調べてみた。
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秋華賞はトライアルを使った馬が連対馬20頭中16頭を占めるなど中心。しかし菊花賞と違うのはトライアルで4着以下だった馬が2勝するなど活躍していることだ。
たとえ優先出走権を獲得できなくてもそれだけで見限るのは悪手と言える。以下の表はトライアルで人気を裏切った後、本番で巻き返した6頭のデータだ。
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優先出走権を得られなかった馬で馬券になった計6頭。そのうち、13年3着のリラコサージュを除く5頭は①前走と同騎手、②5番人気以内、③GⅠもしくはGⅡの連対経験あり、の3条件を満たしていた。トライアルでよもやの凡走を喫し、手頃な人気になった場合はむしろ狙い目といえる。ちなみにこの3条件を満たしていた馬は過去10年で13頭いて、該当馬は連対率31%・複勝率39%を記録。複勝回収率も100%を超えている。
神戸新聞杯で優先出走権を得た馬を順当に
続いて菊花賞。神戸新聞杯・セントライト記念に出走した馬が、本番でどのような走りを見せたか探る。下に挙げたのはトライアルに出走した馬の菊花賞成績だ。
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中でも結果を残しているのが神戸新聞杯組。3着以内に入って菊花賞の優先出走権を獲得していた馬に限ると、本番の成績は複勝率約58%を記録している。
逆に両トライアル競走で4着以下に敗れた馬の成績は【0-1-3-64】。唯一連対を果たした17年のクリンチャー(前走セントライト記念9着)は菊花賞が歴史に残る泥んこ不良馬場という特殊条件だったので例外と見ていい。結果を残すには前哨戦で3着以内を死守することが必要となりそうだ。
ダービー馬不在の年のトライアル勝ち馬は本番でも信頼
今年の菊花賞はロジャーバローズの電撃引退でダービー馬不在となり、混戦ムードの中行われることが濃厚になった。過去10年でダービー馬がトライアル・菊花賞ともに出走しなかったのは半数の5例。
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5例のうち4例に共通しているのは、トライアル勝ち馬がそのまま菊花賞も制している点。この条件下において、トライアル勝ち馬の菊花賞成績は【4-0-1-4】。4割を超える勝率をマークしており、ダービー馬がトライアルに出走した他の5例【1-1-0-5】と比較すると違いが一目瞭然だ。つまり、今年のトライアル勝ち馬は例年より、菊花賞でも信頼が置ける存在ということになる。
本番を的中させるための重要なヒントとなるトライアル競走。最後の一冠を手にするのは春のクラシックを沸かせた実績馬か、はたまた夏に力をつけた新興勢力か。激戦を期待したいところだ。
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ 約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」でも予想を公開中。
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