【宝塚記念】ドリームジャーニーとオルフェーヴル、レース史上唯一の兄弟制覇の陰に池添謙一あり

SPAIA編集部 喜畑恵太

宝塚記念を制した唯一の兄弟・ドリームジャーニーとオルフェーヴル

Ⓒ明石智子

宝塚記念史上唯一の兄弟制覇

6月28日(日)に行われる宝塚記念。今年で61回目を迎えるのだが、唯一兄弟制覇した馬たちがいる。それがドリームジャーニーとオルフェーヴルの兄弟である。2頭とも父はステイゴールド、母はオリエンタルアート。ただ、性格は全く違う。

兄ドリームジャーニーといえば宝塚記念史上、最軽量馬体重(424kg)で勝った小柄な馬だが、2009年の大阪杯でディープスカイとの見応えのある叩き合いを制したように、とにかく根性のある馬。

早くから活躍し、2歳時の2006年に朝日杯FS(GⅠ)を制覇。そこからなかなかGⅠを勝てなかったが、5歳の2009年にこの宝塚記念を制覇し約2年半ぶりに戴冠を果たした。この年、暮れの有馬記念も制し、両グランプリを制覇した。

かたや、弟のオルフェーヴルといえば、目立ったのが気性の荒さ。新馬戦は勝ったものの、気性の悪さからその後、なかなか結果が出なかった。それでも何とか皐月賞の前哨戦、スプリングS(GⅡ)を制覇し、クラシック1戦目に間に合った。

そこから史上7頭目のクラシック三冠馬となるのだが、ファンの間で今でも記憶に残っているのが、2012年の阪神大賞典ではないだろうか。道中はリズムよく走っていたが、勝負どころでまさかの逸走。故障を心配したが、そこから戻って来ての2着とファンの度肝を抜いた。

実はオルフェーヴルがドリームジャーニーの全弟になったのも奇跡的なエピソードがある。もともとこの年、母のオリエンタルアートはディープインパクトと交配していた。だが、それに失敗し、ステイゴールドを付けることに。もし、あのままディープインパクトとの種付けがうまくいっていれば、宝塚記念兄弟制覇はなかったかもしれない。

オリエンタルアート一族に池添謙一あり

この2頭に共通しているのがもう一つある。それがどちらも池添謙一騎手が乗っての宝塚記念勝利ということ。

ドリームジャーニーには、4歳の安田記念から池添謙一騎手が騎乗しているのだが、次走の小倉記念(GⅢ)は武豊騎手が乗る予定だった。しかし、武豊騎手が騎乗停止となり、再び池添騎手とのコンビが実現し、見事勝利。このチャンスを逃さなかったのが評価されたのか、国内のレースは引退するまで、騎乗を任された。

弟のオルフェーヴルにはデビューから手綱を取った。この気性の悪い馬にしっかりとレースを教え、クラシック三冠を制覇。そして、阪神大賞典時で逸走したため、平地調教再審査の制裁でリズムが狂って天皇賞・春(GⅠ)を大敗した同馬を見事、次戦の宝塚記念制覇にエスコートしてみせた。

こう見ると二頭とも、池添騎手があったからこそ、この宝塚記念の舞台で復活の勝利を挙げることができたのかもしれない。

実は、母のオリエンタルアートも池添騎手とゆかりがある。オリエンタルアートは条件馬で重賞タイトルがなく、通算成績も23戦3勝に終わっているのだが、3勝を挙げたレースは全て池添騎手が騎乗していたのだ。この一族はまさに、池添騎手があってこそ輝けたのかもしれない。

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