【宝塚記念】「前走GⅡかGⅢで連対した馬」は単回収率280% データで導く穴馬候補3頭
鈴木ユウヤ
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データで見る「穴候補3頭」
今週末の京都メインは宝塚記念。楽しかった春のGⅠシーズンもいよいよフィナーレとなる。秋春グランプリ制覇を目指すドウデュースや昨年の天皇賞(春)勝ち馬ジャスティンパレスら少数精鋭13頭が上半期の芝中距離路線を締めくくる。
例年はタフな阪神内回りと梅雨時の馬場状態が重なって波乱が起こりやすいレース。今年は京都外回り代替のためコース形態は異なるが、週末の雨予報、後述するドバイ遠征組の不振もあって、一筋縄ではいかない予感がプンプンする。様々な切り口のデータを駆使し、3頭の穴候補を導き出した。
調整難しいドバイ組よりGⅡ~GⅢ連対馬 シュトルーヴェ
まずは目黒記念の勝ち馬シュトルーヴェから。条件戦時代から素質の片りんは見せてきた馬だが、去勢手術を契機にもう一段成長。2月の3勝クラスから3連勝でGⅡも2つ制した。
宝塚記念はドバイ遠征組が人気になりやすいレースだが、冒頭で触れた通りいまひとつ振るわない。過去10年で前走がドバイだった馬は【2-1-1-11】複勝率26.7%、単回収率20%、複回収率39%。昨年のイクイノックスですら2着にクビ差の辛勝だった。輸送距離や検疫の問題もあるし、なにせドバイは3月でも日中平均気温が30度前後に達する。その後の体調維持に支障を及ぼすのは想像に難くない。
対照的に狙い目となるのが「前走国内GⅡ、GⅢで連対した馬」で【2-2-1-9】複勝率35.7%、単回280%、複回180%と妙味抜群。春GⅠを戦った余勢で出走してくるグループより、ステップアップしながらここへ仕上げてきた馬を高評価しよう。
まさに合致するのがシュトルーヴェだ。目黒記念はハンデ58.5キロの酷量を背負い、1000m通過61.9秒、レース上がり33.8秒というスローペースの前残りをただ1頭後方から追い込んできた。鞍上には名手、ダミアン・レーン騎手を配して勝負気配も十分。4連勝でGⅠ奪取のチャンスだ。
夏はやっぱり牝馬! ルージュエヴァイユ
2頭目は紅一点のルージュエヴァイユ。重賞は未勝利ながら、昨秋エリザベス女王杯2着、前走の大阪杯3着とGⅠでも好勝負になっている。
「夏は牝馬」という格言をなぞるように、6月下旬に行われる宝塚記念では牝馬優勢の傾向が表れている。過去10年で牡馬とセン馬は合わせて【6-8-5-102】複勝率15.7%、単回36%、複回62%止まりなのに対して、牝馬は【4-2-5-17】複勝率39.3%、単回130%、複回189%と圧倒的だ。
牝馬のなかでも「前走3着以内」の馬に限ると【4-1-2-6】複勝率53.8%とさらに信頼度が上がる。昨年は唯一このデータに合致したスルーセブンシーズが10番人気2着だった。
ルージュエヴァイユは昨年の府中牝馬Sで上がり32.7秒の切れ味を発揮するなど、軽くて上がりが出る馬場でこそ持ち味が生きる。2月の京都記念は良の発表とはいえ冬場の連続開催後半で馬場は荒れ果てており、この馬の舞台ではなかった。同じコースでも今の京都芝は高速決着が続いている。あとは今週末に雨が降りすぎなければ、だ。
京都芝2200mはキズナ天国 ディープボンド
最後はGⅠで2着4回、3着1回の古豪・ディープボンドを選ぶ。ジャパンCから3戦大きい着順が続いて「衰え」もささやかれたが、得意の天皇賞(春)3着でしっかり健在をアピールしてきた。
京都芝2200mの種牡馬別成績を見ると、キズナの数字が際立っている。通算成績【6-6-2-14】複勝率50.0%、単回157%、複回130%からベタ買いOKで、今年の京都新聞杯もキズナ産駒のワンツー決着だった。
さらに、キズナ産駒が「4角2番手以内」で通過してきた場合は【1-4-1-2】複勝率75.0%。今回は逃げ馬が1頭もおらず、条件戦時代までさかのぼるとカラテやローシャムパークが「ハナを切ったことがあるにはある」という程度(あとはベラジオオペラがハナ争いをしたぐらい)。ディープボンドが2番手以内で回ってくる確率は低くない。
自身もデータに漏れず当地で京都新聞杯勝ちの実績があり、京都外回りでは【1-1-2-1】、唯一の着外は菊花賞4着というコース巧者だ。ズブさを下り坂での加速で補える点で、コース形態が合っている。前々で運んでの粘りこみに期待しよう。こちらはルージュエヴァイユと反対で、雨が降るのは大歓迎だ。
<ライタープロフィール>
鈴木ユウヤ
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、X(Twitter)やブログで発信している。好きな馬はショウナンマイティとヒガシウィルウィン。
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