【レパードS】全15回で鹿毛が8勝、白毛が1戦1勝 夏の3歳ダート王決定戦を「記録」で振り返る

緒方きしん

レパードステークスに関する「記録」,ⒸSPAIA

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馬体増組が優勢、メイショウムラクモは+12kgで勝利

オリンピックで盛り上がるスポーツ界。これを機に馬術を楽しんでいる競馬ファンもいるかもしれない。競馬界も夏競馬で負けずに盛り上がりたいところ。今週はレパードSが開催される。

過去にはトランセンドやホッコータルマエ、インカンテーションらが勝利したダートの3歳重賞。2着馬にもケイティブレイブやサルサディオーネ、スーニといった名馬が並ぶ。今回はそんなレパードSの記録を振り返る。

レパードSを勝利した15頭のうち、前走から体重を減らして勝利した馬は4頭。11頭は馬体重増で勝利をあげており、そのうち6頭が2kg増となっている。

2kg増でレパードSに挑んだ馬は延べ32頭、うち13頭が掲示板内に食い込んでいる。過去の勝ち馬で馬体重の増加が大きかった順に並べると、4位が4kg増のグリムで、2位タイに8kg増のインカンテーションとアジアエクスプレス。1位は12kg増のメイショウムラクモだ。

グリムはレパードSで重賞初制覇を果たした後、白山大賞典を連覇するなど中長距離路線で活躍。交流重賞では4勝をあげた。

アジアエクスプレスはダートでデビュー2連勝の後、朝日杯FSを制覇。皐月賞でも6着と健闘した。以降はユニコーンSからダートに戻り、レパードSは2着に0秒6差をつけて快勝。ただし、このレースが現役最後の勝利となった。現在は父として重賞2連勝中のピューロマジックなどを輩出している。

インカンテーションは3歳時のレパードSだけでなく、7歳時に重賞3勝をあげるなど息長く活躍。名種牡馬シニスターミニスターの2年目産駒として、父の名声を高める走りを続けた。

メイショウムラクモは3歳の年明け初戦こそ484kgで出走したものの、そこから4戦(2勝2着1回3着1回)しているうちに470kgまで馬体減。そこから1カ月ぶりの出走となったレパードSは+12kgで挑み、道中2番手から上がり最速の脚で抜け出す好内容で3馬身差の快勝だった。

一方、馬体減の勝ち馬は全4頭。ホッコータルマエとローズプリンスダムが1kg減で、トランセンドが2kg減。最も体重を減らした馬は3kg減のクロスクリーガーだった。

ホッコータルマエとトランセンドは後にダート王者へとのぼり詰めた歴史的名馬。ローズプリンスダムは単勝66.3倍でレパードSを制し、これは今なお破られぬ歴代最高単勝オッズでの勝利となっている。

クロスクリーガーはキャリア【5-1-1-1】の強豪で、唯一の敗戦は芝のレース。ダートでは馬券圏外となったことがなく、2015年のレパードSで重賞2勝目となった。

ところが、これからというところで急性出血性大腸炎を発症。レパードSを勝った1カ月後にこの世を去った。急性出血性大腸炎はX大腸炎とも呼ばれる発生原因不明の病で、ドゥラメンテやアストンマーチャンも発症していた。


ダートでも芝でも重賞を制したハヤヤッコ

調教師別で見ると、レパードSで複数回勝利をあげている調教師は不在。東西では美浦が6勝、栗東が9勝とやや拮抗している。美浦組は1、2番人気が計3勝で、7、10、11番人気が各1勝と人気薄の活躍が目立つ。

対して栗東組は1番人気4勝で2番人気が2勝。二桁人気馬の勝利はない。ちなみに、上述した単勝66.3倍(11番人気)のローズプリンスダムも美浦の畠山吉宏厩舎の管理馬だった。

騎手別を見ても複数勝利は戸崎圭太騎手だけ。2014年にアジアエクスプレス、2016年にグレンツェントで勝利をあげている。このほか武豊騎手や岩田康誠騎手らが1勝しているが、C.ルメール騎手は2度の参戦で3着が最高。実績ある騎手の苦戦も目立つ。

M.デムーロ騎手は4戦して7着が最高で、横山典弘騎手は2戦していずれも二桁着順。川田将雅騎手も2着が2回あるが、1番人気が3頭に3番人気が2頭というラインナップで未勝利となっている。

最後に毛色を見ていくと、馬券圏内45頭のうち鹿毛が16頭で最多。栗毛と黒鹿毛の10頭を大きく引き離している。全15頭の勝ち馬で見ると傾向はより顕著で、鹿毛が8勝と過半数を占める。複数回勝利を挙げているのは栗毛と芦毛で各2勝、その他は1勝止まりだから鹿毛は圧倒的だ。

鹿毛は91頭が出走と出走回数も最多。一方、過去に1頭のみが出走してその1頭が勝利を挙げている毛色がある。2019年の勝ち馬、白毛のハヤヤッコである。

母マシュマロ、祖母シラユキヒメという白毛一族の活躍馬。2歳の夏に芝で勝ち上がり、秋からダートに転じるとダート6戦目のレパードSで重賞初制覇を成し遂げた。

その後も毎年ダートのOPクラスでは勝利を挙げながら、重賞では一歩届かない戦歴が続いていたが、6歳になった2022年に再び芝へ路線変更。初戦の日経賞で5着と好走すると、3戦目の函館記念で実に3年ぶりとなる重賞2勝目。芝では初の重賞勝利を掴んだ。

3歳馬限定のダート重賞だけあって、ここからの進路は様々。トランセンドのように世界の舞台で活躍する馬もいれば、ハヤヤッコのように芝で活躍する馬もいる。今年参戦する素質馬たちの明るい未来が楽しみでならない。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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