【フェブラリーS】「差し」「東京・道悪実績」「速い上がり」が必要 レッドルゼル昨年より条件好転

三木俊幸

2022年フェブラリーSの馬場適性チャート,ⒸSPAIA

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逃げ切りは2019年インティのみ

2022年のJRA最初のGⅠレース、フェブラリーS。昨年の最優秀ダート馬テーオーケインズやBCディスタフで歴史的な勝利をあげたマルシュロレーヌは登録されたものの、サウジCへ。川崎記念を制したチュウワウィザードもドバイ直行でベストメンバーとはいかないものの、重賞での実績十分の馬たちが集結した。

馬場適性の観点からレースを占うにあたり、過去10年の結果と今の東京ダートコースの傾向を振り返っていこう。

過去10年の馬場状態は良馬場が9回、重馬場が1回という内訳。良馬場といっても含水率に違いがあるが、含水率が発表された過去3年は2019年が2.4%、2020年が2.6%、2021年は5.3%でレースが行われた。

そのうち最も馬場が乾燥していた2019年は1:35.6、最も水分が多かった2021年は1:34.4というタイムで決着。それでも3着内馬の上がりタイムを見ると35秒台で大きな差はなく、「35秒台の上がりへの対応」は必須で馬場が渋れば34秒台が求められるだろう。

脚質について見ると、逃げ切りは2019年インティのみで半数に当たる5回が4角7番手以下から差し切り。3着内で見ても4角4番手以内だった先行馬は8頭。馬券に絡んだ馬の26.7%しかいないというデータが残っている。

速いタイムもパワーが必要

先週末は土曜日がゴール前含水率12.6%の重馬場、日曜日は朝の時点でゴール前含水率11.8%で引き続き重馬場だったが、その後雨が降り続いたことで不良まで悪化した。

土曜日8Rに行われた2100mの4歳以上1勝クラスでは2:09.9、日曜日10Rの1400mバレンタインS(オープン)は1:22.2と速いタイムでの決着も見られた。その一方、脚質面では前残りだったり、差しが届いたりとバラバラ。

上がりタイムについてもバレンタインSはそれなりに速く、3着馬のサンライズラポールが34.5をマークしていたが、他のレースではやや上がりがかかるケースも多かった。13レースで3着内に入った39頭中、53.8%にあたる21頭が馬体重500kg以上の馬ということからも、金曜日に散布された凍結防止剤の影響で全体的にはパワーも求められる馬場だったという印象だ。

今週は金曜日まで雨予報はなく馬場は回復傾向にあるが、週末は土日とも雨の可能性があり、稍重以上の道悪になりそうだ。

2項目に該当したのはレッドルゼル

2022年フェブラリーS出走馬の馬場適性,ⒸSPAIA



今年の出走メンバーを見渡すと先行タイプは比較的少なく、極端なハイペースにはならなそう。そうした点から「中団から運べる差しタイプ」「東京コース・道悪実績」「速い上がりに対応できるタイプ」という3つの観点から適性のある馬を狙いたい。

【「中団から運べる差しタイプ」からの注目馬】
極端に後ろすぎず中団からレースを進められるという点からは、ソリストサンダーとテオレーマを取り上げたい。ソリストサンダーは2走前の武蔵野Sで7番手追走から勝利、3走前の南部杯も6番手から3着と流れに乗る競馬ができている。上がりが速すぎると限界がありそうだが、パワーもあり1600mもベストだ。

テオレーマは地方交流では後方からじっくり脚を溜めるレースをしているが、条件クラスを走っていた時には中団での競馬もできている。今回ルメール騎手に乗り替わりということであれば、近走より少し前の位置から運ぶのではないかと見る。34秒台の上がり決着になると厳しいが、小倉のダート1700mで1:42.3というタイムで勝利しているので、タイム面では対応可能。

【「東京コース・道悪実績」からの注目馬】
東京コースと道悪での好走実績という点ではカフェファラオ、レッドルゼル、アルクトスの3頭。カフェファラオは3歳時に、含水率9.6%発表の稍重で行われたユニコーンSで後続に0.8秒差をつけて勝利している。昨年のフェブラリーSも勝利しているように、東京ダート1600mという条件はベスト。揉まれ弱いので乗り方に注文はつくが、速いタイムになることもプラスに作用するだろう。

レッドルゼルは含水率10.2%発表の稍重で行われた昨年の根岸Sでは、1:22.3というタイムで勝利。続くフェブラリーSは良馬場となったが、距離延長でも4着と健闘した。この内容を見ると、パワーも求められる冬場の東京コースへの適性は証明済み。道悪であれば昨年より前進できるのではないだろうか。

アルクトスは含水率13.6%発表だった2019年のプロキオンS、稍重で1:32.7高速決着となった2020年の南部杯を制しているように道悪が得意なタイプ。過去2回のフェブラリーSは結果を出せなかったが、いずれも良馬場で条件が合わなかった。3度目の今回は待望の道悪で出走できそうなだけに、巻き返す可能性はある。

【「速い上がりに対応できるタイプ」の注目馬】
この項目ではレッドルゼルとエアスピネルを取り上げる。コース・道悪実績に続いて名前があがったレッドルゼルは、2020年の室町S(1200m)で34.4、昨年の根岸Sで35.1と短距離の道悪で安定して速い上がりを使えるタイプ。良馬場だった昨年のフェブラリーSでも、距離の不安があった中で35.5をマークしている点は高く評価できる。今年の馬場ならさらに良さが発揮できそう。

エアスピネルも初ダートとなった2020年のプロキオンSは含水率14.2%発表の稍重で上がり35.3、昨年のフェブラリーSでも上がり最速の35.2でそれぞれ2着。速い上がりを求められる条件に強く、条件は合っている。

最後に初ダートでは結果を残すことができなかったソダシについても触れておきたい。芝スタートの1600m、先行馬が少ないという条件は合うと見ているが、近2走は最後走るのをやめてしまっているようなレースぶりで、あまり信頼は置けない。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。

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