【京成杯】例年とは違うメンバー キャロットFの出走マネジメントで必勝態勢アライバル

佐藤永記

京成杯過去10年年度別OP馬の出走頭数,ⒸSPAIA

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ホープフルSG1昇格後、オープン馬出走が激減

京成杯 前走出走クラス別成績,ⒸSPAIA


1月の3歳重賞は扱いが難しい。先週の牝馬3歳戦フェアリーSも、同じマイルで昨年末に阪神JFがあったうえでフェアリーSに出走してきた馬による争い。レベル読みが難しい重賞だったが、この京成杯に至ってはホープフルSと同コース。

有力馬が万全ならホープフルSを目指すはず。そう考えれば、近年の京成杯出走馬が同コースである皐月賞でほとんど善戦できていないことも頷ける。

そもそも京成杯の過去10年の前走出走クラスをみると、新馬・未勝利・1勝クラスから来た馬が8勝と、前走オープンの2勝を大幅に上回っている。すでにオープンの馬はホープフルSに向かい、京成杯は「3歳からの馬」のための重賞になっていることを如実に物語っている。

勝ち星だけでなく、近年はオープン馬の出走自体が少ない。その理由は2017年にホープフルSがG1に昇格した影響だ。2018年から4年間の京成杯成績を見ると、前走オープンに出走していた馬は11頭しかおらず、1年平均3頭以下で成績も【0-0-0-11】と馬券に一切絡んでいない。オープン馬はみーんな、ホープフルSに向かうようになってしまった。

実際に昨年は出走馬12頭のうち前走がオープンだった馬はプラチナトレジャーただ1頭、結果は5着だった。一昨年も12頭中オープン馬はロールオブサンダーとヒュッゲの2頭のみ、それぞれ7着、10着だった。

直近10年のデータで見るとオープン馬の分が悪そうに見えるが、ホープフルSのG1昇格の影響をモロに喰らっている京成杯は、そもそもオープン馬の出走自体がレアケースになってきている。

だが、今年の京成杯は例年とちょっと違う。アライバルがいるからだ。

ハイレベルの新潟2歳S2着は誇っていいアライバル

アライバルは8月の重賞、新潟2歳Sで2着。勝ったセリフォスが朝日杯FSの2着馬であり、レースレベルは高い。アライバルが休養充分に京成杯へ向かったのは「必勝態勢」といってもいい。近年ないローテーションであるが、推測に値するヒントがホープフルSにあった。

思い出してほしい。ホープフルSを勝ったキラーアビリティの馬主はキャロットファーム。そう、アライバルもキャロットファームの馬だ。つまり同門の潰し合いを避けたと読めなくもない。

夏に賞金を加算し大きな故障があったわけでもなく休養していた期待の若駒は、大一番のG1に向かうもの。それがG1ホープフルSではなくG3京成杯に向かったのだから、それ相応の理由がなければ不安要素ありといってよかったが、理由を推察するには充分な話だろう。

また、オープン馬でもう1頭注目したいのがオニャンコポンだ。ホープフルS11着からの出走になるが、ずっと芝2000mを使い続けている点は好材料で、ホープフルSで2.01.7で走ることができれば、例年の京成杯では勝負になる時計だ。相手弱化での期待は大きい。

そもそもホープフルSがG1になってから京成杯に転戦した馬は1頭しかいない。2019年のマードレヴォイスだが、クラスは500万下条件の状態での格上挑戦、ホープフルSでは後方のまま10着、京成杯は中団から動けずの7着だったもので、参考外といっていいレアケースだ。

今年の京成杯はちょっと違う。すでにオープンで揉まれているアライバルとオニャンコポンの2頭に注目したい。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。


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