【有馬記念】波乱は2年続く!? トウカイテイオーやグラスワンダーが制してきた国民的レースの歴史

緒方きしん

有馬記念過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA

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大混戦の年度代表馬の座はどの馬へ

朝日杯FSは武豊騎手とドウデュースが勝利。武豊騎手にとって念願となる朝日杯FS制覇であり、中央GⅠ完全制覇まで、あとはホープフルS制覇を残すのみとなった。

さて、今週は有馬記念。例年以上に大激戦となっている年度代表馬の座を左右する、大注目の一戦となった。ここがラストランのクロノジェネシスが史上初のグランプリ四連覇を達成するのか、前走でコントレイル・グランアレグリアを撃破したエフフォーリアが世代交代を決定的にするのか、それとも──。

昭和にはメイヂヒカリやシンザン、トウショウボーイやテンポイントらが勝利、平成に入ってからもトウカイテイオーやナリタブライアン、グラスワンダーら歴史的名馬が勝利してきた国民的レース。今回は有馬記念の歴史を振り返る。

1番人気は安定も、アーモンドアイは9着に

有馬記念過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA


ここ5年間で1番人気は3勝。サトノダイヤモンド(2016年)、キタサンブラック(2017年)、クロノジェネシス(2020年)が人気に応えた。2018年の1番人気馬レイデオロは2着だが、2019年の1番人気馬アーモンドアイは9着と大きく敗れている。

ただ、アーモンドアイの沈んだ2019年が大波乱になったかと言えばそうではなく、1着リスグラシュー(2番人気)、2着サートゥルナーリア(3番人気)、3着ワールドプレミア(4番人気)と手堅い決着となった。

ジェンティルドンナ・トゥザワールドで馬連が万馬券となった2014年の翌年以降、やや平穏な決着が続いていた有馬記念。昨年は2着に11番人気サラキアが食い込んだため、久々の馬連万馬券が飛び出した。

波乱は2年連続することが多く、マンハッタンカフェ・アメリカンボスで決着した2001年は馬連486.5倍、翌年はシンボリクリスエス・タップダンスシチーの決着で馬連148.3倍と続けて万馬券に。

他にもマツリダゴッホ・ダイワスカーレットで決着(馬連221.9倍)した2007年の翌年は、ダイワスカーレット・アドマイヤモナークで決着(馬連294.9倍)、単勝14番人気137.9倍のダイユウサクが勝利した1991年の翌年はメジロパーマー・レガシーワールドによる決着で、馬連の配当は315.5倍にのぼった。

中山巧者マツリダゴッホが勝利した2007年有馬記念

2007年の有馬記念は、同年のマイルGⅠ(安田記念・マイルCS)を制した6歳馬ダイワメジャー、同年の牝馬限定GⅠで3勝(桜花賞・秋華賞・エリザベル女王杯)の3歳馬ダイワスカーレットの兄妹が激突した年だった。メイショウサムソンやポップロック、ウオッカが支持を集め、ダイワスカーレットは5番人気、ダイワメジャーは6番人気と、兄が妹を追いかける構図になっていた。

レースが始まると、チョウサンやダイワスカーレット、マツリダゴッホやサンツェッペリンらが引っ張る展開に。道中は大きなポジションの入れ替わりもないまま直線に入ると、一瞬で伏兵マツリダゴッホが先頭に立ち、後続を引き離しにかかった。結局、好位から上がり最速タイの末脚を発揮したマツリダゴッホがそのまま先頭でゴールイン。続いてダイワスカーレットが2着、ダイワメジャーが3着に入った。

チョウサンが13着、サンツェッペリンが15着など他の先行勢が苦戦する中、一瞬で先頭に立ったマツリダゴッホの走りは、中山競馬場を知り尽くしたそれだった。当時マツリダゴッホは重賞2勝馬だったが、いずれも中山競馬場での勝利。現役屈指の中山巧者だった。

考えてみればダイワメジャーは前年の有馬記念3着馬であり、ダイワスカーレットも連対を外したことがなく抜群の安定感を誇っていた。しかし1〜4番人気が全て馬券圏外となったこともあり、馬連は221.9倍、三連単は80万馬券と、大波乱の有馬記念となった。

姉弟対決や兄弟対決、親子対決に注目

今年もきょうだい対決に注目が集まる。2007年は兄と妹だったが、今年は姉と弟の対決だ。姉は2019年菊花賞の5着馬メロディーレーンで、弟は今年の菊花賞馬タイトルホルダー。

オルフェーヴル産駒のメロディーレーンは、プラス10キロで挑んだ前走こそ馬体重350キロ台に到達していたが、デビューしてから数々の「最軽量」記録を積み上げてきた牝馬である。アメリカで大金星をあげて勢いにのる父オルフェーヴルのファミリーに、また一つ称号をもたらすだろうか。

また、弟のタイトルホルダーは皐月賞2着・菊花賞制覇と、世代屈指の実績馬。ただ、これまであげた重賞2勝(ディープ記念・菊花賞)でコンビを組んでいた横山武史騎手が同期のエフフォーリアに騎乗するため、今回は乗り替わりで初コンビとなる騎手を迎えている。

それが、横山武史騎手の兄である横山和生騎手。今年はトーセンスーリヤで重賞を制し、騎手リーディングでも武豊騎手・M.デムーロ騎手とTOP10入りをかけて争う、勢いにのるジョッキーである。

父の横山典弘騎手もシャドウディーヴァで参戦予定、さらにM.デムーロ騎手とC.デムーロ騎手の参戦もある今年の有馬記念。競走馬だけでなく騎手の兄弟対決・親子対決にもご注目いただきたい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。


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