【ジャパンC】牝馬優勢も今年は例外? 好データ3つに合致するアリストテレス

門田光生

ジャパンCの出走間隔別成績(過去15年),ⒸSPAIA

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海外馬の不振久しく

【0-0-1-50】。これは、2021年11月28日(日)に東京競馬場で行われるジャパンカップの、過去15年における外国馬の成績である。外国馬が連対したのは、2005年の1着馬アルカセットが最後。翌年にウィジャボードが3着に入って以降、外国馬は1頭も馬券に絡んでいない。

確かに、最近は外国馬の影が薄いと感じてはいたが、それが10年以上も続いていたのには驚き。ペイザバトラーやホーリックス、そしてシングスピールやピルサドスキーなど、外国馬が強い時代を知っているだけに、なおさらである。

海外馬の胸を借りるという意味合いが薄れたといわれるのは当然で、何なら招待馬の費用を賞金に上乗せし、自腹で勝ちに来た馬(招待馬も本気だとは思うが)のみの参戦を促す方が得策なのでは、とすら思ってしまう。

データで見る限り、近年のジャパンカップは外国馬の存在を気にしなくて問題ないと出ている。となれば、府中2400mで行われる、国内一流馬同士の真っ向勝負となるわけだ。果たしてどのようなタイプの馬が活躍しているのか。今回もGⅠということで、過去15年の成績を基にして検証していきたい。

とにかく牝馬

JC出走馬の所属別,ⒸSPAIA
JC出走馬の年齢,ⒸSPAIA
 JC出走馬の性別,ⒸSPAIA


改めて書くが、外国馬の成績が悲惨なことになっている。この仕事を始めた頃は「こんな大物が来るのか!」という情報に一喜一憂したものだが、最近は何が来日しようが「まあ駄目だろう」と思ってしまうのはさみしい限りだ。

今回も日本同士馬の争いが濃厚なわけだが、東西の所属別ではどうなっているのか。結果は美浦5連対(3勝)に対して、栗東が25連対(12勝)と大きくリード。連対率では倍近い差がついているように、栗東所属馬が有利というデータが出ている。

年齢別で見ると、3、4、5歳馬が横並びの成績。6歳以上で連対したのは2007年のポップロックだけで、今年も3~5歳馬の争いとなる可能性が高いとみていい。

近年のGⅠは牝馬強しとなっているが、このレースも同様の傾向となっている。勝ち星こそ牡馬・セン馬が8勝、牝馬は7勝とほぼ互角だが、出走頭数は牡馬・セン馬の方が圧倒的に多い。勝率だと牡馬・セン馬の3.8%に対して、牝馬は何と20%超え。さらに日本の牝馬に限ると、勝率26.9%、連対率は38.5%までハネ上がる。

後述するように、何でもかんでも牝馬を狙えばいいわけではないが、ひとまず牝馬が圧倒的優勢と書いておく。一方、外国馬以外で成績が良くないのは美浦所属の牡馬・セン馬。これまで45頭が出走して、連に絡んだのは2頭(スクリーンヒーロー、レイデオロ)しかいない。

JC出走馬のローテーション,ⒸSPAIA


前哨戦を使わないパターンが主流になりつつある今の中央競馬だが、このジャパンカップは休み明けだと結果が出ていない。中7週開くと3連対、中8週以上だと1連対、そして中9週以上だと馬券に絡んだ馬がいなくなる。

来年からJCと有馬記念は1着賞金が4憶円に増額されるようだが、8億円狙いで下半期はJCと有馬だけという馬が出てくれば、今後はこの傾向も違ってくるかもしれない。

JC出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA
JC出走馬の前走,ⒸSPAIA


ジャパンカップは最高峰クラスのGⅠだけあって、条件戦やオープンはもちろん、前走GⅢを使ってきた馬から3着以内に入った馬はいない。というわけで、GⅠ、GⅡ、そして海外で走っていた馬からの選択となる。

最も連対数が多いのは天皇賞(秋)組で、8勝、2着7回、そして3着は10回もある。出走頭数が最も多いとはいえ、天皇賞(秋)組が馬券に絡まなかったのは、2006年と2016年の2回だけ。3連系の馬券を買うなら天皇賞(秋)組から最低1頭は選んでおいた方が無難だろう。

JC出走馬の前走着順(牝馬),ⒸSPAIA


前走で掲示板に載った馬を着順別に調べると、前走3着馬の好走確率が高いことが分かった。1、2、4着馬はほぼ同じだが、5着馬だけ勝ち馬が出ておらず、連対率もかなり低い。これを牝馬に絞ってみると、馬券に絡んだ馬はすべて前走で5着以内となる。

日本の牝馬で、前走5着以内だった馬の成績は【7-3-3-6】。連対率が5割超だから、かなりの高確率といえるだろう

JC出走馬におけるプラスデータ,ⒸSPAIA
JC出走馬におけるマイナスデータ,ⒸSPAIA


そのほかで顕著な傾向に出たデータを、プラスとマイナス別に分けてみる。まずプラスデータだが、前走で1番人気に推された馬が9勝。勝率、連対率ともにほかの前走人気を圧倒している。

これも牝馬だとさらに確率が上がり、該当する12頭中、実に半分の6頭が1着となっている。また1着馬15頭のうち、13頭が社台系の生産馬(社台ファーム、ノーザファーム、白老ファーム)だった。マイナスデータの方は、前走で1秒以上離されて負けていた馬(着差が不明の海外レースは除く)に該当する59頭から、連対馬は出ていない。

二度あることは三度ある

ジャパンカップのデータをまとめてみる。馬券に絡む率が高いパターンは、A「栗東所属」B「前走が天皇賞(秋)」C「前走3着馬」D「日本の牝馬(前走5着以内)」E「前走1番人気」F「社台系の生産馬」。

勝率が低くなるパターンは、G「外国馬」H「6歳以上」I「美浦所属の牡・セン馬」J「中7週以上」K「前走がGⅢ以下」L「前走5着馬」M「前走1秒以上の負け」。

近年は特に牝馬が強く、GⅠ実績があれば文句なしとのデータを重視。そこで浮上するのはGⅠで何度も好走しているカレンブーケドールだったが、原稿がほぼ完成した頃に回避の情報が入ったので除外。実績で続くのはオークス勝ちのユーバーレーベンとなるが、連対率0%のM「前走1秒以上の負け」に該当。さすがに印は入れづらい。(カレンブーケドールもこれに該当していた)。

残るのはシャドウディーヴァだが、GⅠでの最高着順が秋華賞の4着では心もとない。ただし、前走1番人気に支持されていた牝馬の成績は【6-1-2-3】。半分の確率で勝っているし、前走5着以内という条件も満たしている。人気もしないだろうから、相手に加えておいて損はない。

牝馬本命説はいったん置いておいて、有力馬をデータに当てはめてみることにする。まずは三冠馬コントレイル。上記で挙げたプラスデータ6つのうち、A「栗東所属」B「前走が天皇賞(秋)」E「前走1番人気」の3つに該当。天皇賞(秋)組でマイナスデータを持たないのはこの馬だけ。高確率で馬券に絡む天皇賞(秋)組で最上位の評価なら、中心視してもいいぐらいだ。

今年のダービー馬シャフリヤールはどうか。コントレイルと同様にA「栗東所属」E「前走1番人気」F「社台系の生産馬」と3つのプラスデータに該当するが、問題はマイナスデータのJ「中7週以上」にも当てはまること。

神戸新聞杯からだと中8週となり、このローテーションで挑んだ馬の成績は【0-1-0-30】。絶望に近い数字だが、この2着馬というのが2017年のレイデオロ。その年のダービー馬、1番人気で神戸新聞杯を走っての参戦というところまで同じ。レイデオロが勝っていれば本命でもよかったが、よくて2着というデータ上、頭では狙いづらい。

もう1頭、プラスデータを3つ持ち、マイナスデータがない馬がいる。4歳馬のアリストテレスだ。京都大賞典を使ってジャパンカップを勝ったのは2016年のキタサンブラックと、2017年のシュヴァルグラン。2頭とも天皇賞(春)→宝塚記念→京都大賞典のローテーションで、今回のアリストテレスと同じ。二度あることは三度あるといい方に解釈して、今回はこれを本命視したい。

この3頭に、牝馬で残ったシャドウディーヴァを加えた4頭で今年のジャパンカップを勝負してみたい。

◎アリストテレス
◯コントレイル
▲シャフリヤール
△シャドウディーヴァ

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
昨年以上にインフルエンザワクチンが不足しているようです。病院に聞くと「入荷(?)未定」やら「12月中旬まで予約が埋まってます」という返事が。それでも電話をかけ続けた結果、何とか接種が行われているところが見つかり、ふた駅先の町医者で打ってきました。ステロイド常用者(アナボリックではない)なので免疫が下がっている関係上、インフルエンザの予防接種は受けた方がいいと言われているので、ちょっとあせりました。来年からはきちんと予約しようと、昨年も思ったような、いないような。

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