【セントライト記念】美浦所属の日本ダービー組に好データ! 2つ目の「タイトル」奪取だ
門田光生
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三冠馬の名を冠したレース
今週は久しぶりの3日間開催。2021年9月20日に中山競馬場で行われる第75回セントライト記念。史上初の「クラシック三冠馬」となった名馬の名前を冠したレースである。
馬名がついたレースといえば、あとはシンザン記念やディープインパクト記念が思い浮かぶが、北米競馬と比べると圧倒的に少ないのは確か。とはいえ、そもそも北米とはレースの絶対数が違うので単純に比較できないか。そういえば、2000年当初まで行われていたカブトヤマ記念(父内国産限定重賞・カブトヤマは戦前に活躍した名馬)はなくなってしまったが、復活することはないのだろうか。
話が少し逸れてしまったが、このセントライト記念は菊花賞に向けて大事な一戦。京都新聞杯が春に回り、トライアルが3つから2つに減って以降、より価値が高まっている。春の実績馬が貫禄を見せているのか、それとも夏の上り馬が台頭しているのか。新潟開催の2014年を除いた、近10回のデータを参考にして検証していきたい。
3歳馬限定戦、しかも近10年で牝馬の参戦はなし。というわけで、いつもより使えるデータが限られてくる。決め手となるものが出てくればいいのだが、さてどうなるか。では、まずは所属から見ていこう。出走頭数は美浦所属が91頭、栗東所属が57頭、そして地方から5頭が挑戦。美浦7勝、栗東3勝となっているが、勝率や連対率では大きな差はない。このレースに関しては地元の利はないようである。
騎乗した騎手の所属だが、こちらは美浦所属が9勝と断然。栗東所属は2010年の藤岡佑介騎手(クォークスター)以来、勝っていない。最近は3日間競馬の月曜日に行われ、同日に行われる西の重賞はなし。栗東の有力騎手が騎乗してくる可能性が高いことを考えると、ちょっと意外である。
3歳限定戦ということで、キャリアは使えないだろうか。調べてみると、キャリア4戦以内だった16頭のうち、連対したのは1頭(2着)しかいなかった。また、キャリア10戦を超える馬は26頭出走しているが、馬券に絡んだ馬はいない。
好走が目立つのはキャリア5、6、7戦の馬で【9-6-6-52】。連対馬の4分の3がこれに該当。特にキャリア6戦の馬は【4-5-2-15】で、連対率は34.6%となり、高確率で馬券に絡んでいる。
出走馬の前走を調べると、実績馬と上り馬のどちらが活躍しているかが分かるかもしれない。結果はというと、条件戦を使ってきた馬は【2-4-2-73】。1、2勝クラスを経由してきた馬が1勝ずつ挙げているが、勝率は3%を切っており、活躍しているとはいいづらい。また、オープンを使っていた馬からも連対馬は出ていない。
重賞組は8勝。特に前走でGⅠを走った馬は6勝を挙げており、ほかを大きく引き離している。このGⅠを走った馬のほとんどがダービー組。ダービー以外の前走GⅠ組はすべて着外となっている。
どうやらセントライト記念のカギはダービー組が握っていそうな雰囲気。そこで、前走でダービーを走っていた32頭を掘り下げてみることにする。まず所属だが、出走頭数はほぼ五分。連対数は美浦6頭(4勝)、栗東5頭(2勝)。勝率、連対率とも美浦所属馬が上回っている。
中山で行われた近10回で9頭の種牡馬の産駒が勝っており、傾向がつかみづらい。大種牡馬・ディープインパクト産駒も1勝、キングカメハメハ産駒に至っては2着が1回あるだけ。唯一2勝を挙げているのがステイゴールド産駒。昨年は孫のナカヤマフェスタ産駒が勝利。さすが小回りは鬼の系統である。
今年はオルフェーヴル産駒が出走しているが、そのオルフェーヴル産駒の成績は【0-0-0-3】。サンプルが少ないとはいえ、3頭とも人気以上に走れていないのは気になる。あと目立つのはスクリーンヒーロー産駒の【1-1-0-0】。今年は出走していないが、これも孫のモーリス産駒が2頭出走。現3歳が初年度産駒なので当然ながら実績はないが、この2頭がどんな結果を残すのか、注目して損はないだろう。
キャリアで見るとここでもキャリア6戦の馬が好成績を挙げており、7頭が連対して、連対率は驚きの58.3%。これまで12頭が該当しているので、1年に1頭以上は出走している計算になるが、無事(?)今年も1頭いました。
着順別だとどうか。ダービーで10着以下だった馬が8連対、ダービーで5~8番人気だった馬が6連対と結果を出しており、ダービーの成績や人気は関係ないようである。また、ダービーで1角を3番手以内で回った先行馬は【3-3-0-2】と好成績を残している。
最後に、セントライト記念で目についたデータを。今回はマイナスデータばかりになるが、まず前走で北海道(函館、札幌)を走っていた馬は【0-1-1-21】と勝ち馬が出ていない。また、愛知以西(中京、京都、阪神、小倉)で走っていた馬はさらに数字が落ち、【0-0-0-16】となる。
ダービー組に注目
セントライト記念のデータをまとめると、まず好走パターンはA「美浦所属馬」B「美浦所属騎手」C「キャリア5~7戦、6戦は特注」D「ダービー組」の4つ。
D「ダービー組」の中でも、「美浦所属」「キャリア6戦」「ダービーの1角で位置取りが3番手以内」も満たしていれば、かなり有力な本命候補となる。
逆に、E「キャリア4戦以下、または10戦以上」F「前走がダービー以外のGⅠ」G「前走が北海道、または愛知以西」が含まれていると、好走確率が低くなる。
セントライト記念の注目データとなると、やはりダービー組だろう。今年は4頭のダービー組が登録。まずはこの4頭が好走データに該当するかを調べてみると、「美浦所属」「キャリア6戦」「ダービーの1角で位置取りが3番手以内」の3つ全ての好走データと合致したのがタイトルホルダー。B「美浦所属騎手」の横山武史騎手が騎乗予定で、すべての好走データに合致。マイナスデータもなく、文句なしの本命だ。
残る3頭のダービー組は、圏内候補となるのかどうか。まずヴィクティファルスだが、連対率75%の「ダービーの1角で位置取りが3番手以内」に該当。マイナスデータもないだけに、これも外せない。グラティアスはA「美浦所属」だが、16頭が該当して勝ち馬が1頭も出ていないE「キャリア4戦以内」というのがマイナス材料。「キャリア4戦以内」から2着馬は1頭だけだが出ているので、連なら可能性はありそうだが……。タイムトゥヘヴンはA「美浦所属」のみだが、マイナスデータには該当していないので相手候補には入れておきたい。
ダービー組以外に目を向けてみると、強データの一つであるC「キャリア6戦」という馬が多数出走。このうち、どれを選択するかだが、ダービーの次に相性がいい「ラジオNIKKEI賞」組に注目。キャリア6戦で「ラジオNIKKEI賞」を経由してきたのはアサマノイタズラとヴェイルネビュラの2頭。ともに美浦所属、そして美浦所属の騎手が騎乗予定。この2頭も圏内争いは可能とみたい。
◎タイトルホルダー
◯ヴィクティファルス
▲タイムトゥヘヴン
△アサマノイタズラ
×ヴェイルネビュラ
×グラティアス
《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
在宅が増え、外へ出る機会が減っているにもかかわらず、足がおかしくなりました。骨には異常がないみたいなのですが、念のために週末にMRIを受けにいくことに。全身入るMRIは何度か経験していますが、ガンガン鳴って苦痛だった記憶しかありません。足だけならいいけど、今回も全身入ることになると嫌だなあ。
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