シルバーステートvsドレフォンの熱戦! 「新種牡馬の傾向」最速分析
東大ホースメンクラブ
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今年も熱い新種牡馬
灼熱の気候と呼応するように熱いレースが繰り広げられた夏競馬が先週でフィナーレを迎えた。サマーシリーズを中心に見どころの多い数ヶ月だったが、中でも注目を集めたのは新種牡馬が産駒デビューを迎えた2歳戦だ。
今年の新種牡馬はドゥラメンテ、モーリスの二枚看板がいた去年と比較するとやや見劣りするものの、GⅠ・7勝の顕彰馬キタサンブラック、未完の大器シルバーステート、BCスプリントなど米ダート短距離GⅠ・3勝のドレフォン、フジキセキ唯一のクラシックウィナー・イスラボニータなど粒ぞろいのラインナップだ。
今週からいよいよ始まるビッグレース目白押しの秋競馬に向け、新種牡馬の傾向をつかんでおくことが馬券収支を大きく左右する。今週は「新種牡馬の傾向」を分析し、産駒の「キモ」を押さえる詳細データを紹介する(データは2021年9月5日時点)。
良化型のシルバーステート産駒
まずはシルバーステート。現役時代は度重なる故障に悩まされ、重賞はおろかオープン競走の出走すら叶わなかったものの、キャリア5戦で披露したポテンシャルの高さは折り紙付き。評価の高さから数多くの繁殖牝馬を集めた。福永騎手を背に初勝利を挙げたメリトクラシーからJRA8勝を積み重ね、現時点で新種牡馬の勝利数トップ。種牡馬全体の2歳戦まで広げても1位のロードカナロア(9勝)に続く2位にランクインしている。
キャリアを重ねてパフォーマンスを上げており、2戦目以降では【5-2-2-15】で勝率2割超え。単勝回収率も124%と馬券でも狙いやすい。距離的にはマイルで【0-0-0-8】の一方、芝の1500m以下で【6-2-3-17】複勝率39.3%を記録。2000m【2-1-1-0】という数字もあるが、該当する4レースは全て後傾ラップ、短距離質が介入するスピード勝負だった。また6番人気以内で【8-6-4-14】複勝率56.3%、単勝回収率173%・複勝回収率112%という数字を残しており、おすすめの条件。
デビューした産駒の中ではダリア賞でワンツーを決めたベルウッドブラボーとコムストックロードに注目。同レースはラスト3ハロンが11.8-11.1-11.0の加速ラップと優秀で、後者は新潟2歳Sでも9番人気4着に健闘。軽視されやすいオープンレースだけにおいしいオッズで買いたい。
短距離だけでないドレフォン産駒
続いてはドレフォン。白毛馬ハイアムズビーチが新馬戦を鮮やかに差し切って初勝利を挙げて以降7勝を挙げており、これは新種牡馬としてシルバーステートに続く数字。産駒のジオグリフが札幌2歳Sを勝ったことで、種牡馬全体の2歳獲得賞金ランキングトップに立っている。
7勝のうち6勝が新馬戦で、全体の複勝率は3割を下回るものの、新馬戦に限ると勝率14.6%と一撃の重さが効いて単勝回収率は300%を超え。海外種牡馬だけに初戦からというイメージが薄いからかオッズが高くなっており、単系馬券を仕込む価値がある。
ドレフォン自身はダート6F~7FのGⅠを勝利しており、産駒もダートで【2-2-0-9】連対率30.8%だが、母父GhostZapper(BCクラシック勝ち馬)の影響からか距離をこなす産駒も多い。1800m戦は札幌2歳Sで高パフォーマンスを披露したジオグリフの2勝を含め【4-0-1-7】。ダート戦でも武藤雅騎手を背に新潟ダート1800mの新馬を大差勝ちしたコンシリエーレなど楽しみな馬が出ている。
安定感光るキタサンブラック産駒
GⅠ・7勝、平成最後のアイドルホース・キタサンブラック。断然の実績の割に父系が嫌われてか種付け頭数は伸びなかったものの、デビューした産駒の成績は【5-2-3-13】複勝率43.5%。前述の2頭を超える安定感で、子どもたちは父をなぞるかのように堅実な走りを見せている。
産駒はやはり距離のあるレースで走っており、1800m以上では【5-2-1-12】。新馬2勝・未勝利3勝で単勝回収率は235%と高水準、素直に信頼したい。稍重で【3-0-1-1】と走っているのもさもありなんといった印象(重・不良は該当レースなし)。また強力なバックアップ体制を敷いているノーザンファーム生産馬は【3-1-2-2】と崩れていない。
清水久詞トレーナーが管理し初勝利をプレゼントしたコナブラック。素晴らしい末脚で新馬戦を圧勝したイクイノックス。など重賞に乗ってきそうな馬も複数現れており、距離に融通が利きそうなだけにクラシックでの活躍を期待したくなる。
単勝回収率300%超えのイスラボニータ産駒
最後にその他の新種牡馬を概観する。
4勝を挙げているのはフジキセキ産駒イスラボニータ。皐月賞1着・ダービー2着などクラシックで活躍し、引退レースの阪神Cをレコード勝ちした実力はもちろん、特徴的な白徴と走法でファンの多い馬だった。晩年はマイル近辺の距離にシフトしただけあって産駒は1200m~1600mで【3-4-1-17】と走っているものの、1800mも【1-1-3-4】複勝率55.6%とこなしている。全体の単勝回収率は300%を軽く超えており、追いかけていきたい種牡馬。
皐月賞馬のディーマジェスティも今年が第一世代。現時点での2勝はいずれも1200m以下だが、まだ中距離戦の出走歴が浅いのも事実で見限れない。未勝利戦を鋭い末脚で差し切ったシゲルファンノユメなど、父のキレを受け継いだ産駒も出てきた。
同じく2勝を挙げているのがWar Front産駒、米GⅠメーカーズ46マイルS(芝8F)を勝ったアメリカンペイトリオット。【2-1-7-28】と勝ち切れないケースが目立っているが、芝の1200m~1400mで【1-1-7-13】と複勝率4割超え。適性がはっきりしており、狙いは立ちやすい。
プリンスリーギフト系存続がその双肩にかかっているビッグアーサーは【2-1-2-29】。先陣を切った評判馬グットディールが新馬戦で4着に敗れ、初勝利は7月福島のウインモナークまでずれ込んだ。大物感がある馬はまだ出現していない印象だが、何とかサイアーラインをつないでほしいところだ。
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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