【函館記念】本命馬はマイナスデータなし! 好走条件「栗東所属の4歳馬」などにも合致
門田光生
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毎年荒れる!今年も荒れる!
今週は土曜日(7月17日)に函館2歳S、そして日曜日(18日)に函館記念が行われる。函館2歳Sといえば開催の締めくくりの印象が強く、次の週も函館が続くというのは変な感じがする。ちなみに、この2つの重賞が同じ週に行われるのは昨年と同じなのだが、全く記憶がありません。先日、コロナワクチン(1回目)を打ってきっちり副反応が出たので、その疲れの影響ということしておこう。
今回、データで検証していくのは、日曜日に行われる函館記念。先週行われた七夕賞と同様、サマー2000シリーズに組み込まれているレースである。七夕賞と同じハンデ戦、そして小回りの競馬場で行われるが、似たような傾向なのか、それとも全く違うのか。そのあたりも比較しながら、過去10回(2011~2020年)のデータを基にして検証していきたい。
高齢馬が活躍
まずは所属別から。過去10年の出走頭数は、美浦所属馬が74頭、栗東所属馬は85頭。栗東所属の方が少し多い程度で、中立の地というイメージ通りの結果。連対馬は美浦所属馬8頭に対して栗東所属馬は12頭。やや栗東有利のデータとなっている。
年齢別にみると、最も連対馬を出しているのは7歳。今年ここまで行われてきた重賞では4、5歳馬が優勢のデータが多かっただけに、この7歳馬の頑張りは余計に目立つ。
勝率、連対率で比べると、最も数字がいいのは4歳馬。特に栗東所属の4歳馬は【2-2-1-7】で、半分近くが馬券に絡んでいる。対する美浦の4歳馬は【0-1-0-7】。美浦所属馬に関しては高齢馬の方が好走するという面白いデータが出ている。
サマー2000に組み込まれているレースはハンデ戦が多いのが特徴で、この函館記念もそのひとつ。勝ち馬10頭は、いずれも54キロ以上のハンデを背負った馬だった。最も勝ち馬が多いのはハンデ54キロの馬で、4勝を挙げている。55、56キロを背負った馬も複数勝っており、勝ち馬を探すなら54~56キロからとなる。
57キロ以上となると数字が下がるのだが、特に57キロを背負った馬から連対馬は出ていない。一方、53キロ以下の軽ハンデ馬からも勝ち馬が出ておらず、51キロ以下となると馬券に絡んだ馬すらいなくなる。
ハンデの軽い馬が苦戦しているということは、格下の馬の成績がよくないのだろうか。データを集計してみると、その通りで、条件戦を経由してきた馬は連対率0%、オープンを経由してきた馬
も勝率2.7%と低い数字となっている。最も成績がいいのはGⅡ経由組。【4-1-0-13】で勝率、連対率ともに20%を超えている。
そのGⅡだが、3頭の勝ち馬を出している目黒記念が最も相性のいいステップレース。七夕賞では目黒記念が相性の悪いレースとなっていたのとは対照的である。連対数だけで見ると巴賞の6頭がトップだが、出走頭数が多いのもあって勝率が2%を切っている。ちなみに、巴賞を使って連対した6頭の着順は5、8、6、12、9、9着。裏を返せば、巴賞、函館記念と続けて好走した馬はいないということになる。
最後に、函館記念におけるプラスとマイナスデータを。プラスデータだが、1着馬10頭中、9頭が前走で多頭数(16頭立て以上)のレースを使っていた。
一方のマイナスデータだが、ディープインパクト産駒【0-2-0-10】、キングカメハメハ産駒【0-1-1-12】ともに勝ち馬が出ていない。当然ながらこれより成績の悪い種牡馬はいるのだが、2頭のほかの重賞での実績を考えると、苦手なレースと言わざるを得ない。また、小回り大好きハービンジャー産駒も【0-0-0-7】とふるわない。これが札幌記念となると【2-1-1-4】となり、むしろ得意なレースとなるのだから不思議である。
あと、前走4着馬は9頭出走しているが、なぜか9頭とも圏外となっている。牝馬も9頭が出走して最高順位が3着。こちらは先に控える牝馬限定重賞、クイーンSが影響しているのだろうか。ただ、今年は牝馬の参戦はなし。
ディアマンミノルに注目
函館記念のデータをまとめてみる。まず好走確率の高いデータはA「4歳馬、栗東所属だとなおよし」B「ハンデ54~56キロ」C「GⅡ経由、特に目黒記念組」D「前走16頭立て以上」。
勝率が低くなるデータはE「ハンデ51キロ以下or57キロ」F「条件戦、オープン(巴賞を除く)経由」G「巴賞3着以内」H「ディープインパクト、キングカメハメハ、ハービンジャー産駒」I「前走4着馬」。
今回、好走データをすべて満たして、マイナスデータがないのはディアマンミノル。前走の目黒記念で大敗して人気を落としそうだが、2015年のダービーフィズが目黒記念で着外から巻き返しており問題なし。この函館記念は昨年の3連単343万円を筆頭に、3連単10万超えが8回もあるという荒れるレース。人気薄を本命にした方が夢があっていい。
相手は同じく目黒記念組のアイスバブル。ほかの世代と比べると好走率が落ちる6歳馬、そして函館記念と相性がいいとはいえないディープインパクト産駒という点がマイナスだが、今回は好走データを多く満たしている馬が少なく、4つのうち3つを満たしているこの馬が浮上する。
以下はどれを選択しても一長一短といった感じだが、好データを2つ満たして、マイナスデータが1つだけの馬を選択。アドマイヤジャスタ、ウインイクシード、マイネルウィルトス、ワセダインブルーが候補。
さて、今回の登録馬で目玉的存在なのがフェブラリーS勝ち馬カフェファラオ。前走でダートを使っていた馬は【0-0-0-4】、コンビを組むルメール騎手は函館記念で過去3回騎乗して、すべて着外。1、1、2番人気に騎乗していたことを考えると物足りない。そのうち2017年に騎乗したサトノアレスも、芝だがGI勝ち馬だった。また、このレースでハンデ58.5キロを背負っていた馬を調べてみると、1993年のフジヤマケンザンが1番人気で4着に敗れていた。異例のローテーションなだけにデータ不足の感は否めないが、不発の可能性が高まるデータが多く存在。出走してきたとしても見送りが賢明か。
◎ディアマンミノル
〇アイスバブル
▲アドマイヤジャスタ
△ウインイクシード
×マイネルウィルトス
×ワセダインブルー
《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
雨の影響を受けた先週の福島、小倉開催。日曜メインの重賞は東西とも1番人気が着外となって荒れました。ちなみに、今年の「七」夕賞も、「7枠」「7番」はともに馬券に絡まず。このデータを信じて馬券を買っても当たらないのだから、センスがないのひと言です。外れ馬券に抗体がつくワクチンでも開発されませんかねえ。
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