【宝塚記念】レース史上2頭目の連覇にクロノジェネシスが挑む! 春のグランプリレース注目ポイント

緒方きしん

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ピンクカメハメハの急死に心から哀悼の意を

マーメイドSはシャムロックヒルが勝利し、鞍上の藤懸騎手とともに嬉しい重賞制覇となった。また、ユニコーンSでも7番人気のスマッシャーが勝利。初マイルで重賞初挑戦初制覇を達成した。一方、サウジダービー覇者ピンクカメハメハがレース中に転倒。急性心不全にて急逝した。海外のダービーを勝利しファンに勇気を与えてくれた馬だっただけに、残念でならない。

さて、今週は宝塚記念。今週は全馬無事に完走することを願いたい。2020年の宝塚記念・有馬記念と両グランプリを制したクロノジェネシス、6戦無敗のGⅠ馬レイパパレ、3度の2着を含むGⅠ競走6戦全て掲示板圏内のカレンブーケドールと、人気の中心は牝馬となりそうだ。ここ5年で牝馬が3勝しているレースだけに、彼女たちの飛躍に注目が集まる。

一方、牡馬も菊花賞2着、天皇賞(春)4着と悔しい思いをしてきたアリストテレス、前年3着馬モズベッロ、2年連続で2着のキセキなどが参戦。前年3着馬が優勝するパターンは、過去にタップダンスシチー、アーネストリーらが達成しているだけに、こちらにも注目したい。

1番人気は6連敗中

宝塚記念過去5年間の優勝馬ⒸSPAIA



「伏兵の台頭」「悲願のGⅠ初制覇」といったイメージもある宝塚記念。そのイメージ通り、ここ6年間、1番人気の勝利はない。2018年は1番人気サトノダイヤモンドが6着、2017年は1番人気キタサンブラックが9着。こうした強豪馬たちが掲示板を外していることからも、1番人気馬の苦戦ぶりが伺える。

近年、特に大荒れとなったのは2015年。2013年、2014年と宝塚記念を制していたゴールドシップが単勝1.9倍の圧倒的人気で三連覇に挑んだが、スタートで大きく出遅れた。結局ゴールドシップは「らしさ」を発揮したものの「実力」は発揮せず、15着と大敗。代わって栄冠を手にしたのは、当時GⅠ未勝利だった6番人気のラブリーデイだった。ラブリーデイは6度目のGⅠ挑戦で初の掲示板圏内が大波乱の勝利となったが、その秋にも天皇賞(秋)を制して飛躍を果たした。

2015年は2着のデニムアンドルビーが10番人気、3着のショウナンパンドラが11番人気と伏兵が大躍進。馬連が万馬券なのは勿論、三連単の配当は5285.1倍、50万馬券となった。宝塚記念で三連単が10万オーバーになることは決して珍しいことではなく、2018年には4925.6倍、2014年には2514.4倍と高配当が並んでいる。その2014年は1番人気のゴールドシップが勝利していながらこの高配当であるため、単に荒れると言っても「人気馬全滅パターン」「伏兵2頭が好走パターン」などバリエーションがいくつかあることは頭に入れておきたい。

レース史上、連覇はたった1回のみ

宝塚記念は1960年に創設された歴史ある競走だが、過去に連覇を達成した馬はゴールドシップただ1頭のみ。ドリームジャーニーは1着→4着、アーネストリーやタップダンスシチー、ダンツフレームらは1着→7着など、前年覇者は苦戦傾向にある。グランプリ(有馬記念・宝塚記念)3連覇中だったグラスワンダーも、4連覇を目指して出走した2000年宝塚記念では6着に敗れた。

実際に連覇したゴールドシップを除いて、過去最も宝塚記念連覇に近づいた1頭が、テイエムオペラオーだろう。2000年にGⅠ競走5勝を含む8連勝を達成したテイエムオペラオーは、2001年の初戦こそ取りこぼしたものの、天皇賞(春)で快勝すると、単勝1.5倍の圧倒的1番人気に推されていた。しかしそこで勝利したのは、メイショウドトウ。前年の宝塚記念2着からGⅠ競走で5戦連続2着──その全てのレースでの勝ち馬がテイエムオペラオーという悔しさを晴らす、念願のGⅠ初制覇だった。

一方で、馬券圏内という意味ではリピーターも多いのが宝塚記念。2010年・2011年にはブエナビスタが2年連続2着となっているほか、メイショウサムソン、ツルマルボーイ、古くはニッポーテイオーが、2年連続2着という成績を残している。昨年・一昨年と2着だったキセキは今年も宝塚記念に挑戦するが、果たして3年連続の2着となるのかにも注目したい。

勝ち馬のその後にも注目

宝塚記念では、悲願のGⅠ初制覇が多く見られる。上述したメイショウドトウもその1頭だが、2018年にもミッキーロケットが、この舞台でGⅠ馬の仲間入りを果たした。こじつけにはなるが、ここ6年の勝ち馬に香港GⅠや牝馬限定GⅠの勝ち馬はいたものの、「国内」の「混合GⅠ」という観点では初制覇となった馬ばかりである。

また、悲願のGⅠ制覇を果たしてからさらに飛躍した馬といえば、ナカヤマフェスタがあげられる。3歳シーズンを菊花賞12着→中日新聞杯13着で終えていたナカヤマフェスタだが、年明け初戦のメトロポリタンSで勝利すると、その次走・宝塚記念で8番人気ながら優勝。その勢いのまま渡仏して、フォア賞・凱旋門賞を連続して2着と好走した。

ここをステップに飛躍した馬としては、2019年のリスグラシューを思い浮かべる人も多いだろう。彼女の場合は前年にエリザベス女王杯を制していたものの、宝塚記念制覇後にコックスプレート・有馬記念を連勝。一気にGⅠ競走3連覇を達成した素質開花ぶりには舌を巻いた。

そして、そうしたレース後の飛躍も、無事に完走してこそのもの。全馬がベストを尽くしつつ、しっかりとトラブルなく戻ってくるよう、声援を送りたい。

《ライタープロフィール》
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。


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