【函館SS】「関西馬」「桜花賞組」などに好データ 本命は恵量生かすシゲルピンクルビー

門田光生

函館SSの前走クラス別成績(過去10年)インフォグラフィックⒸSPAIA

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北海道での競馬

ダービーが終わると、競馬界では一つのサイクルが終了となる。先週から新馬戦が始まり、今週は北海道競馬が開幕。新種牡馬の産駒やPOGで指名した馬の動向、さらには純粋に未来のスター誕生。注目点は人それぞれだが、2歳戦を楽しみにしているファンが多いのは間違いない。個人的には、今年こそ出資したクラブ馬の早期デビューを願いたいところである。

さて、今回データで検証するレースは、2021年6月13日(日)に札幌競馬場で行われる函館スプリントステークス(以下、函館SS)。北海道開催の期間が短縮されてからは、開幕、もしくは2週目に組み込まれることが通例となった。2011年は3週目、また2019年には大量除外があって7頭立て、何より今年は開催場所が札幌と大きな違いがあるものの、とりあえずはいつも通り、過去10年のレースを参考にして検証していく。

牝馬なら3歳

函館SS出走馬の所属別ⒸSPAIA


まずはここ10年間、北海道開催で出走した美浦、栗東所属馬の出走頭数を調べてみた。美浦所属馬が約1万9000頭で、栗東所属馬は約1万8000頭。出走頭数に関してはほぼ互角といえ、中立の地と考えていいだろう。

それを踏まえたうえで所属別のデータを比較してみると、美浦3勝(5連対)に対して栗東7勝(15連対)。勝率、連対率も上回っている栗東所属馬が優勢と素直に評価していい。

函館SS出走馬の年齢ⒸSPAIA
函館SS出走馬の性別ⒸSPAIA


ダービーが終わると、本格的に3歳馬と古馬が交じってのレースが行われる。3歳馬は軽い斤量で走れることが多いのだが、年齢別で見ると、どの世代が好成績を残しているのだろうか。最も多く勝っているのは5歳馬で4勝。次いで3、4歳馬が2勝ずつで、6歳馬と7歳馬が1勝ずつ。ただし、最も出走馬が多いのも5歳馬なので、連対率で並べると3歳(26.3%)、4歳(23.8%)の順となっている。

性別では牡馬が7勝(15連対)、牝馬は3勝(5連対)。出走頭数は牡馬の方が多く、また勝率、連対率でも上回っている。牝馬に的を絞って見ていくと、3勝のうち2勝が3歳馬で、斤量はともに50キロ。さすがにここまで軽いと、ある程度の能力差を補えるようだ。また、牝馬の3勝中、2勝がクロフネ産駒。今年も3歳牝馬、もしくはクロフネ牝馬に該当する馬がいれば、有力な候補と考えていいだろう。また、5歳以上の牝馬となると、31頭が出走して勝ち馬はゼロ、2着馬も1頭だけで割引が必要。

函館SS出走馬の前走着順ⒸSPAIA


前走着順に関しては、面白いデータが出ている。成績がいいのは前走1着馬と3着馬。両方で4勝、2着も4回あり、連対率は25%と高水準。逆に勝率0%となっているのが前走2、4、5着馬。この組から勝ち馬は出ていない。前走6~9着馬は【2-0-0-19】。勝つか、着外かという極端な結果。そして前走10着以下も前走1、3着馬と同じく4勝、2着4回。前走大敗からの巻き返しも十分可能なレースとなっている。

函館SS出走馬の前走クラスⒸSPAIA


相性のいい前哨戦はあるかと調べてみたが、何と7つのレースから勝ち馬が出ていた。桜花賞だけは抜けて成績がよかったのだが、ほかは使いづらい。続いてクラス別で分けてみると、前走でGI、GⅡを使っていた馬が、ほかに比べて結果を残していた。同じ重賞でも、GⅢ組となると12頭が出走して2着が1回だけであった。

函館SSにおけるプラスデータⒸSPAIA
函館SSにおけるマイナスデータⒸSPAIA


最後にプラスとマイナスデータを少々。まずプラスデータだが、上記でも少し触れたように桜花賞を経由してきた馬が【2-0-0-1】と好相性。しかも、この2頭の桜花賞での着順は17着、9着。着順を問わず桜花賞組は要警戒。また、安田隆厩舎が【3-1-0-2】で、このレースと好相性を誇っている。

マイナスデータは1つ。前走で中山を使っていた馬は全て着外となっている。

桜花賞組が狙い目

函館SSにおける好走パターンと凡走パターンをまとめてみる。まず好走パターン。A「栗東所属馬」B「3歳牝馬、桜花賞組ならなおよし」C「前走1、3着馬」D「安田隆厩舎」。

凡走パターンは4つ。E「5歳以上の牝馬」F「前走2、4、5着馬」G「前走がGⅢ」H「前走が中山」。

今回の注目データはBの「3歳牝馬、桜花賞組ならなおよし」。そう都合よく桜花賞組が出走してくるはずはないよな~、と登録前に下書きをしながら思っていたのだが、それがいた。シゲルピンクルビーである。桜花賞は16着と大敗しているが、上記で触れたように、過去にこのレースを制した2頭の、桜花賞での着順は17、9着。全く気にする必要はないだろう。GⅡを勝った実績がありながら50キロで走れるのは、やはり有利。迷わず本命だ。

同じく3歳牝馬のリンゴアメは桜花賞経由ではないが、こちらも50キロの軽量。同じ北海道開催の函館で2戦2勝の実績もあるので押さえておきたい。

人気が予想されるカレンモエだが、1着がないE「5歳牝馬」F「前走2着馬」G「前走GⅢ組」、そして馬券に絡んだことがないH「前走中山組」に該当。このレースと好相性の安田隆厩舎の馬だけに悩むところだが、人気を考えても今回は消しでいいだろう。同じくコントラチェックもE、G、Hに引っかかる。ここ10年、牝馬同士の決着はなく、牝馬のシゲルピンクルビーを本命にしていることもあって、こちらも消し。

となると、相手候補をどれにするかだが、馬券に絡んでいないG「前走中山組」以外の馬から、プラスデータを持っている馬をチョイス。まずはタイセイアベニール。前走着順で好データを残している前走3着組で、滞在競馬に実績があるのも心強い。

同様に前走1着馬も好結果を残していることから、コロラトゥーレ(除外候補)とマイネルアルケミーも圏内十分。あとはジャスティン。昨年の2着馬ダイメイフジが前走ダートから穴をあけている。同じパターンを今年も期待したい。

◎シゲルピンクルビー
〇タイセイアベニール
▲コロラトゥーレ
△マイネルアルケミー
×ジャスティン
×リンゴアメ

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
今年の北海道開催は札幌→函館の順番。頭でわかっていながらも、「函館SS」の文字を見ながら文章を書いていると、途中でごっちゃになっていました。ちなみに函館で改修工事があった2009年も、札幌で函館SSが行われたようなのですが、全く記憶にありません。

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