【大阪杯】グランアレグリア、コントレイルが能力値1位 芝2000mがベスト条件なのはサリオス

山崎エリカ

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グランアレグリアは距離をこなせるか?

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先週の高松宮記念のコラムでは、日本は日本ダービー、ジャパンCに代表されるように、芝2400mが最高峰であり、中距離路線で通用しなかった馬、通用しないと判断された馬はマイル路線へ、さらに通用しなかった馬はスプリント路線へと、どんどん距離を短くすることで活躍の場が広がることをお伝えした。つまり、マイル路線よりも中距離路線のほうが層が厚いということである。

しかし、今回初めて芝2000m戦に挑むグランアレグリアは、ここではコントレイルと並ぶ能力値1位、最高値も1位という存在。特に5馬身差の圧勝を飾った一昨年末の阪神Cと、アーモンドアイよりも先に動いて、最後まで寄せ付けずに差を広げて優勝した、昨年の安田記念はかなり強い内容だった。

アーモンドアイは休養明けのヴィクトリアマイルで4馬身差の圧勝を収めた後の一戦で、本来の能力を出し切れなかった面はあったが、内々を上手く立ち回ったインディチャンプ(3着)を子供扱いした点は恐れ入る。

かつてマイル路線で中距離でも通用する指数を記録していたモーリスが、天皇賞・秋や香港Cも優勝したように、グランアレグリアも長期的に見れば、中距離路線でも活躍する可能性は高いだろう。しかし、そのモーリスでも、スタミナが不足する休養明け、初めての芝2000m戦となった札幌記念は、それまでよりもパフォーマンスを落とし、ネオリアリズムの2着に敗れている。

グランアレグリアも今回、スタミナが不足する休養明けで2Fの距離延長。毎日杯で1分43秒9の好時計が記録された、先週土曜日の超高速馬場の阪神芝コースならまだしも、モーリスの札幌記念同様、馬場が悪化した場合には安泰ではない。まして今回はGⅠであり、相手も手強い。また4歳馬には勢いもあるだけに、あくまでも「単穴」という立ち位置である。

その他、能力値上位馬を紹介

【能力値1位 コントレイル】 史上3頭目の無敗の牡馬クラシック三冠馬。三冠馬対決のとなった昨秋のジャパンCでは、キセキの暴走による超絶ハイペースを見切って、中団後方から道中は無駄に動かず、末脚勝負に徹した。しかし、早めに動いたアーモンドアイに届かず、2着大接戦をクビ差で制した形。アーモンドアイには完敗だったが、そのアーモンドアイは引退。実質、現役最強馬の位置付けとなった。

コントレイルはこの中間、3週連続で坂路やCWで自己ベストタイムを記録し、話題を集めたように、成長した感がある。しかし、前走で後半の競馬に徹した代償は小さくない。何が何でも行きたい逃げ馬が不在の今回で、前が楽な展開になった場合は、序盤で置かれ後方からとなり、差し損ねる危険性がある。また、内枠にテンが速い馬が不在で8番枠のレイパパレが内に切りこんで逃げた場合には、7番枠のコントレイルは外々からロスの大きい競馬になる可能性が高い。断然の1番人気を考慮した場合には、対抗評価が妥当だろう。

【能力値3位 サリオス】
皐月賞ではコントレイルと半馬身だった着差が、日本ダービーは3馬身差に広げられた。しかし、昨秋の毎日王冠ではトーラスジェミニがハイペースでレースを引っ張る展開を、離れた4番手でレースを運び(実質、差し)、ラスト1F過ぎで先頭に立つと、どんどん差を広げて3馬身差の完勝。現時点でのコントレイルと比較してもさほど見劣らない成長力を見せた。

前走のマイルCSはお決まりのように、二走ボケで5着に敗れたが、今回は立て直されての一戦となる。サリオスは一昨年の毎日王冠1着→マイルCSで5着に敗れた後、この舞台で3着と善戦したダノンキングリーのように、芝1800m〜芝2000mで決め手を生かしてこそのタイプ。天皇賞・春では距離が長いので、ここが目標のはず。

ダノンキングリーは一昨年のこのレースで逃げたことでしまいが甘くなっての3着だったが、サリオスは内枠に入ったことでレイパパレの2列目の内が狙える。ペースが速くなるようであれば、もう一列後ろでもいいだろう。内々で脚をタメられるのであれば、ダノンキングリーよりももうひとつ上の着順が狙えそうなだけに、この一戦は積極的に狙いたい。

【能力値4位 レイパパレ】
デビューから5戦5勝。前々走の大原Sはハンデ52㎏と軽かったこともあり、速い二の脚でハナに立ち、マイペースで逃げ切った。続く前走のチャレンジCでは、行きたがるのをなだめて離れた2番手から。無理に行かずに脚をタメたことで前々走から1Fの距離延長、初めての芝2000mにも対応した。

しかし、前走はしまいに甘さを見せていた辺りから、ギリギリ距離が持った印象。今回で逃げて持久力を生かす競馬をした場合には、失速する危険性がある。前走のように前に馬を置いてコントロールしたいところだが、目ぼしい逃げ馬が見当たらない。外からアドマイヤビルゴに行かせてというストーリーもなくはないが、確率は高くないだろう。上位人気が予想されるここは割り引きたい。

【能力値5位 モズベッロ】
モズベッロが自己最高指数を記録したのは、力の要る馬場で行われた昨年の日経新春杯。中団の内で脚をため、4角で外に持ち出し、ラスト1Fで先頭に立つと、どんどん後続との差を広げての完勝だった。

同馬はその後の日経賞2着、宝塚記念でも3着。道悪だった今年のAJCCでもアリストテレスと0.4秒差(5着)に善戦しているように、時計の掛かる馬場の距離2400m前後を得意としている。高速馬場の芝2000mでは明確に条件が合わないし、ひと雨降ったとしても芝2000mではやや距離が短い。ここは狙い下げたい。

穴馬はアドマイヤビルゴ

今回と同じ阪神芝2000mで行われた、前々走のアンドロメダSでは、ゲート出たなりで中団でレースを運び、2連勝を達成。2着クラージュゲリエとはクビ差の接戦だったが、3着馬には2馬身差と、しっかり差をつけての勝利だった。

前走の日経新春杯は馬場の荒れた内を通って勝ちに行く競馬をしたために10着と崩れたが、前々走のように後半型の競馬に徹すれば、自分の実力が出し切れる馬。位置を取りに行くか、ロスを覚悟するかになる大外枠に入ったのは減点材料だが、同馬はキャリアが6戦と浅く、伸び代が見込める。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)グランアレグリアの前走指数「-25」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.5秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。


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