【阪神牝馬S】5年でディープインパクト産駒4勝、京都牝馬S上位馬が好走 覚えておきたいデータ
勝木淳
ヴィクトリアマイルに直結するレース
かつて阪神牝馬特別と呼ばれた阪神牝馬Sは、旧名時代から暮れの阪神開催で施行された。05年アドマイヤグルーヴの勝利を最後に春に移設、06年に新設されたヴィクトリアマイルの前哨戦になった。
芝1400mで行われた15年までは本番とつながらないレースだったが、1600mに条件変更された16年以降、阪神牝馬S組はヴィクトリアマイルで【3-3-3-33】。5年連続で本番好走馬を出す主要ローテに変身した。そこで1600mに条件変更された16年以降5年分のデータを使用、阪神牝馬Sの傾向を考える。
1番人気は【1-1-1-2】。3着以内に入らなかったのは5回中2回。1勝にとどまっている点からも全幅の信頼は置けない。しかし勝ち馬は4番人気以内に限られ、5番人気以下の複勝圏内突入もまばら。春に組まれる中山牝馬Sや福島牝馬Sと比較すると、牝馬限定重賞としては上位人気馬が手堅い。背景にはヴィクトリアマイルを目指す実績上位馬が多いという点がありそうだ。
4歳【2-3-2-25】勝率6.3%、複勝率21.9%、5歳【2-2-0-19】勝率8.7%、複勝率17.4%の2世代が中心。これは納得だが、6歳【1-0-3-9】勝率7.7%、複勝率30.8%は要注意。6歳春は牝馬にとって引退のタイミングだからこそ、あえて現役続行、GⅡ出走という意欲あふれる少数精鋭を見つけた場合は見逃したくない。
父ディープインパクト4勝
ここからはさらに具体的に血統や戦歴などから好走パターンを探ってみる。まずは種牡馬別成績から。
1600mになってから5年で父ディープインパクトが【4-2-2-12】と圧倒的。阪神マイルは同産駒の得意コースであり、それがストレートに表れている。19年ミッキーチャーム、20年サウンドキアラと連勝中。登録にはデゼル、マジックキャッスル、リアアメリアなど有力馬がズラリ。今年も1着はディープインパクトだろうか。というか、ディープインパクト産駒ボックスで当たりそうだ。
次は前走クラス別成績。前走が3勝クラスだった馬は【0-2-1-9】、勝ちきれないが善戦する馬はいる。初音Sを勝ってオープン入りしたデゼルはしっかり印を入れておきたい。ここを除けば、前走GⅢ【4-1-4-27】または前走GⅠ【1-2-0-6】が好走パターン。20年桜花賞以来のエーポスに注意しつつ、該当馬が多い前走GⅢについてレース別成績から掘り下げる。
同じ牝馬限定戦の京都牝馬Sが【2-1-2-10】勝率13.3%、複勝率33.3%で目立つ。イベリス、ギルデッドミラーら上位馬を含め複数出走予定。その着順別成績をみる。
京都牝馬S勝ち馬は【2-0-0-0】。18年4番人気ミスパンテール、20年2番人気サウンドキアラが連勝。イベリスには心強いデータだ。ただし前記2頭はいずれも京都牝馬Sでは中団から差し切った、恵まれたというより力でねじ伏せた印象。イベリスの逃げ切った京都牝馬Sは、前後半600m34.0-34.3でスローペースの展開利があったわけではない。ここに出走予定の2着ギルデッドミラー、3着ブランノワールが、いずれも中団より後ろから追い込んできただけに内容は濃い。3歳時にこの舞台でアーリントンC勝ちもあり、再度注目してよさそうだ。
道悪の中山牝馬Sで力を出し切れなかったリアアメリアにとって、2、3歳時のGⅠでの内容から、マイルへの距離短縮はプラスではなさそう。昨年のローズSをみると、スローペースから最後600mの競馬、瞬発力勝負に強いタイプ。イベリスとは共存しにくいので、どちらかを買うという考えもよさそうだ。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。
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