【大阪杯】マイル女王は2000mも問題なし! 京大競馬研がグランアレグリアを推す根拠とは?

京都大学競馬研究会

母父タピットのディープインパクト産駒勝利距離ⒸSPAIA

豪華メンバーが集結

4月4日(日)に阪神競馬場で行われる大阪杯(GⅠ・芝2000m)。昨年のクラシック三冠馬コントレイル、短距離戦線から矛先を変えてきたグランアレグリア、クラシックでコントレイルの影を追い続けたサリオス、5戦5勝で挑んでくる牝馬レイパパレなど豪華メンバーが揃った。

なかでも注目はグランアレグリアの参戦だろう。昨年の最優秀短距離馬が初めて2000mのレースに挑む中、距離がこなせるのかという点は特に気になるところ。その他4歳勢と古馬勢の力関係にも注目しながら予想していく。

血統的に距離はもちそう

父ディープインパクト母父Tapitの距離適性ⒸSPAIA



まずはグランアレグリアの距離適性について見ていきたい。グランアレグリアは父ディープインパクト、母父Tapitという血統だが、同じ血統構成を持ち中央で1勝以上挙げている馬は、本馬を含めて8頭いる。

各馬の勝利距離を見ていくと、全ての馬が1600m以上での勝利歴があり、2000m以上で勝利歴を持つ馬も3頭いる。逆に1200mで勝利したことがあるのはグランアレグリアのみであり、そもそも1200mに出走したことがある馬自体がグランアレグリアだけだった。血統的にはむしろ中距離以上に適性がありそうで、これまで短距離戦線を使ってきたことの方が珍しいと言えるだろう。

古馬vs4歳馬の力関係は?

2021年古馬芝中長距離路線(別定GⅡ)の成績ⒸSPAIA



次に古馬勢と明け4歳馬の力関係について見ていく。昨秋時点では3歳馬(現4歳馬)の成績が振るわず、世代レベルの低さをささやかれていた(筆者自身もそのように思っていた)が、年明けからは活躍が目立っている。

今年の別定GⅡにおいて、AJCCではアリストテレスとヴェルトライゼンデがワンツーを決め、阪神大賞典はディープボンド、日経賞はウインマリリンがそれぞれ制した。確かにアーモンドアイやフィエールマンなどが引退し、大将格のクロノジェネシスはドバイ遠征中であるなど、別定GⅡのレベルは落ちていたことも好走要因だろう。

だが裏を返せば年長馬の1.5線級くらいはあっさり負かせる力が4歳勢にはあるとも言える。昨年のジャパンカップで2着に入ったコントレイルはもとより、サリオスやレイパパレなども十分通用するとみていい。

グランアレグリアの爆発力に期待

以上の点を踏まえると、能力的にはグランアレグリア、コントレイル、サリオス、レイパパレの4頭が圏内だろう。以下、4頭の順位付けを中心に予想していきたい。

◎グランアレグリア
この馬は少なくともマイルなら現役最強と言って間違いなく、もしかしたら歴代最強かもしれない程の馬だ。昨年の安田記念ではアーモンドアイを完封し、マイルCSでは直線で包まれて追い出しが遅れながらもきっちり差し切った。

今回初めての2000m挑戦となるが、冒頭で述べた通り血統的にはむしろ歓迎ともいえる距離で、むしろ1200mを勝っていることの方が不思議なくらいだ。確かに2歳から3歳にかけては、気性が激しく操縦に苦労することも多かったが、古馬になってからはしっかり折り合うようになっており、激しさを爆発力にうまく変換できている。これまで負かしてきた相手とその内容を考えると、持っている能力はこのメンバーの中なら1枚も2枚も上。精神面も成長した今ならここは確勝級だ。

○コントレイル
昨年のクラシック三冠馬で、4歳馬の中では頭一つ抜けた存在だ。菊花賞こそ適性外の距離で差を詰められたが、春の二冠に関しては後続を相手にせず、サリオス以外の馬に対しては決定的な差を突き付けた。サリオスに対しても、そう簡単にはひっくり返らない差をつけており本来なら大威張りできるはず。

だが今回はグランアレグリアがおり、同馬にはまだ能力的に及ばないとみて対抗評価とする。また忘れられがちだが、コントレイルは57kgを背負うのに対しグランアレグリアが背負うのは55kg。トップ同士の戦いとなればなおさらこの2kg差は響いてくる。

▲レイパパレ
デビューから無傷の5連勝で重賞勝利した馬。5連勝のすべてが1馬身以上の差をつけており、まだまだ底を見せていないのは魅力的だ。また連勝中に負かしてきた相手は、そのクラス内ではかなり上位の馬ばかりであり(2勝クラスのカントル、3勝クラスのサトノウィザード、GⅢのブラヴァス、ヒンドゥタイムズなど)、決して相手に恵まれたわけではない。

レースぶりについても、好位から運べるため逃げ馬不在のここは展開的にも向きそう。一気の相手強化を不安視されて人気が落ちるのであればむしろ狙うべきだ。全兄のシャイニングレイはホープフルSを制したとはいえ、古馬になってからは短距離路線を進んだ馬。2000mへの不安は若干残るが、3着なら十分に狙える。

△サリオス
印の都合上4番手としたが、▲レイパパレと全く横並びの評価。昨年の皐月賞とダービーではコントレイルの2着に入り、世代の中ではトップクラスの評価を受けてきた馬。昨秋のマイルCSではグランアレグリアの5着に敗れたが、ダッシュがつかず後方からとなり流石に届かない競馬になってしまったので仕方ない。ただ、昨春のレースを見る限りコントレイル>サリオスという力関係をひっくり返すには相当の成長がまだ必要だ。

×クレッシェンドラヴ
大阪杯当日の天気予報は雨となっているが、雨を唯一味方にできそうなのがこの馬。重馬場なら浮上していい。今回の出走メンバーを見渡してみると雨が味方になりそうな馬が他に1頭もおらず、他馬が道悪を苦にすれば3着があっても。ヒモ穴として加えたい。

完全に本命サイドの予想になってしまったので点数を絞って勝負しなければトリガミになりかねない。そのため馬券は3連単1.2着固定で、◎→○→▲△×の3点で勝負したい。(文:川崎)

▽大阪杯予想▽
◎グランアレグリア
○コントレイル
▲レイパパレ
△サリオス
×クレッシェンドラヴ

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。


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