【きさらぎ賞】今年は中京芝2000m 「ハービンジャー産駒が好調」など 覚えておきたいコースデータ
勝木淳
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主役はやはりディープインパクトか
きさらぎ賞は1961年第1回を中京競馬場で迎えた。京都に移ったのは87年。京都の改修工事により35年ぶりにきさらぎ賞は里帰りを果たす。
そんな表現をすると美しい話だが、京都芝1800mから中京芝2000mではもはや適性が正反対になり、過去のデータは通用しない。
そこで当欄は血統に注目。冬の1、2月開催、中京芝2000m、改修後の65レースを種牡馬から分析する。
まずは単純に種牡馬別の着度数成績をみる。これは想定馬の父馬のみを抽出したデータだ。トップのディープインパクトは芝の中距離戦では無敵な存在。【7-7-5-54】はディープインパクトの数字としては物足りないぐらいだ。
基本的に前半が上り勾配、後半が下り勾配になる中京芝2000mは前半が遅くなりやすく、急坂があるコースながら切れ味が求められやすい。半面、のぼり部分の前半で活気ある流れになってしまうと、一気に持続型に針が振れるコースでもある。想定ではヨーホーレイクとランドオブリバティが該当。
2位はハービンジャー。コーナー4つの芝2000mの代表選手的な存在だ。現役時代キングジョージ6世&クイーンエリザベスSで2着ケープブランコを11馬身もぶっちぎった。
欧州系ながらデインヒルの血を引くスピード色あるタイプ。切れ味勝負では分が悪いが、コーナーから早めに仕掛けるロングスパートが得意。想定ではアランデルとジャンカルドがいる。穴っぽいところなので、ハービンジャー向きの競馬になるか否かは予想する上で大きな分かれ目になりそうだ。
以下はノヴェリスト【1-1-0-6】(該当馬タガノカイ)、キズナ【1-0-0-4】(該当馬アクセル)、オルフェーヴル【0-2-3-7】(ラーゴム)など新興種牡馬が並ぶが、サンプル数が少なく、評価は難しい。
主役は譲れない、ヨーホーレイク
ここからはディープインパクト産駒の好走パターンをもっと細かく分析する。
前走1着だった馬は【0-1-0-11】で、このコースで連勝した例はない。昇級戦に比較的強いディープインパクトのデータとしては意外だ。ヨーホーレイクは前走ホープフルS3着。前走3着だった馬は【2-0-1-3】勝率33.3%、複勝率50%と好成績で心強い。
距離延長組が【0-4-1-21】と勝ちきれない。ヨーホーレイクとランドオブリバティは当てはまる前走同距離組は【4-1-2-17】勝率16.7%、複勝率29.2%。延長がイマイチな一方で短縮も【1-1-2-10】どうやら勝ちきれない。
このコースのディープインパクト産駒は前走2000mが狙いに目安になるだろう。勝ったのは19年1月4歳以上500万下(当時)のサトノシリウス(1番人気)のみ。これ以外の1番人気は6、3、8、11着。今年の愛知杯センテリュオ(11着)が該当する。
こっそり負けたハービンジャーの巻き返し
では今度は着度数で想定中2位のハービンジャーについて調べていこう。
面白いのは母父別のデータ。血統は母系によって成績が変わるという側面がある。母父はまず注目すべきだろう。ハービンジャーはノーザンダンサー系の4×4という血統構成でサンデー系の血を持っていない。近年の輸入種牡馬はサンデーサイレンス系との配合を最重要視され、選ばれている。
ハービンジャーはその典型で、ディープインパクトをはじめサンデー系牝馬との配合が可能。で、実際にサンデーサイレンス肌馬との相性はいい。このコースでも母父サンデーサイレンスのハービンジャー産駒は【2-4-3-10】。頭数が少ないクロフネ【1-1-0-0】よりデータ上の価値は高い。アランデルがこのデータに合致する。ジャンカルドの母父フジキセキはこのコースでの出走がない。
前走着順別成績をみると、ディープインパクトよりややこしい。前走着順がある程度よかった馬(すなわち人気馬)がすんなり走るディープインパクトに対し、ハービンジャーは前走4着【2-3-1-4】、前走5着【0-2-0-0】あたりにホットゾーンがある。ギリギリ掲示板に載ったような馬に注意したい。アランデル、ジャンカルドいずれも前走は2着。ここは【1-0-0-2】消せるデータではない。
着順ではなく、着差でみよう。アランデルは前走0.6差2着、ジャンカルドは前走0.7差2着。前走0.6~0.9負けは【1-1-2-10】勝率7.1%、複勝率28.6%。アタマは狙いにくいが、複穴候補には十分だ。
前走脚質別成績では前走先行は【1-4-1-7】、前走中団は【2-2-2-7】でここが好走ゾーン。アランデルは前走後方、ジャンカルドは前走先行なので、脚質のデータからはジャンカルドがあがる。
最後に全体の母父別成績を出すと、ジャンカルドの母父フジキセキはハービンジャー産駒以外だと【3-0-1-13】で着度数5位。次いでヨーホーレイクとダノンジェネラルの母父フレンチデピュティ【2-3-0-24】。アクセルの母父タイキシャトルが【1-1-1-10】でギリギリ15位にランクイン。
現状で血統傾向を分析した結果、ヨーホーレイクが一歩リード。アランデル、ジャンカルドらハービンジャー産駒、ランドオブリバティ、アクセルあたりが連下といったところだろうか。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。
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