【京成杯】内から6〜8頭目が伸びる馬場 「差し脚質」「機動力」を兼ね備えた伏兵馬とは?

三木俊幸

2021年京成杯馬場適性チャート

ⒸSPAIA

含水率の低下で高速化

皐月賞と同じ舞台で争われる京成杯(GⅢ・芝2000m)。前走で新馬・未勝利を勝ったばかりの馬が多く、全馬が収得賞金400万円ということからも、クラシック出走に向けて何とか賞金を確保したいという思惑が感じられるメンバー構成となった。

まだキャリアが浅いだけに馬場適性について判断するのは難しい面もあるが、先週の中山競馬場・芝コースの傾向と出走馬のキャラクターから適性のある馬を探していきたい。

先週末、1月9、10、11日の3日間開催はいずれも良馬場。クッション値は10.3→10.3→10.8とやや硬めの状態だった。中山金杯が行われた1月5日が10.2だったことから、9日と10日はほぼ変わらない数値だったと言えるが、ゴール前の含水率は5日が11.8%だったのに対し、9日は10.7%、10日は10.0%とやや乾燥状態。最終日の11日はクッション値が高かったにも関わらず、含水率は前日から1%増の11.0%となっていた。

先週の中山クッション値ⒸSPAIA



この結果はレース結果にも表れており、9日に行われたニューイヤーSは1:33.2というタイムで決着。勝ち馬ミッキーブリランテが使った上がりは33.7、2着アルーシャは33.4という速い上がりをマークした。さらに含水率が10.0%まで低下した10日の若潮Sでは、1:32.9と冬場の中山開催としては異例の速いタイムが出るなど、昨年末の開催、5日の中山金杯当日と比較すると、突如として高速化した。

しかし、含水率が増加した11日のフェアリーSは1:34.4とこの時期としては平均的なタイムに落ち着いたことからも、含水率次第で決着タイムに違いが出る難しい馬場だったと言えるので、今週末の含水率に注目してみるといいかもしれない。

差しが届きやすい馬場

先週好走馬の4角位置ⒸSPAIA



続いて3着内馬の通過順位から好走脚質について見ていく。対象レースは13レースで対象馬は39頭、そのうち4角8番手以下から13頭が馬券圏内に好走している。4角先頭だった馬も3勝、2着2回、3着1回という成績を残しているが、全体的には差しが届きやすい傾向にあった。

先週好走馬の進路取りⒸSPAIA



加えて3着内馬が直線で内から何頭目のコースを通って伸びてきたかを調べると、内から6〜8頭目を通った馬が14頭(7勝、2着4回、3着3回)と活躍が目立っていた一方で、内から1〜3頭目を通った馬も13頭(4勝、2着4回、3着5回)いた。

補足情報として、先週の3日間開催で内から6〜8頭目の伸びるコースを読めていた騎手としてルメール騎手をピックアップしておきたい。ルメール騎手はフェアリーSで内から7頭目を通って勝利、ニューイヤーSでは内から8頭目から2着となっていたほか、迎春Sではクビ差届かず4着ながら、内から7頭目を通って伸びてきており、さすがという印象を受けた。

先行馬が揃った一戦で狙うは差し馬

2021年京成杯の馬場適性チャートⒸSPAIA



それらのデータを踏まえた上で、ここからは京成杯の出走メンバーの中からピックアップした6頭のキャラクターについて見ていこう。

【グラティアス】
新馬戦は超スローペースで逃げ切り勝ち。タイム面では地味だったが、ゴール前で並びかけられてからもうひと伸びして1 1/4馬身突き放した内容は評価できる。逃げなくても大丈夫だろう。

【タイソウ】
こちらも超スローペースとなった新馬戦は、2番手追走から直線で後続に3馬身差をつけての強い勝ち方だった。素質の高さは感じるものの、3〜4角で鞍上の手が動き始めるなど少々ズブい面も覗かせていた点から、今回は押さえ評価まで。

【テンバガー】
新馬戦は加えて直線で寄られてバランスを崩すシーンもあったが、立て直して3着。先着を許した2頭はダノンザキッド、ワンダフルタウンという後の重賞勝ち馬ということからもレベルは高かった。決して切れるタイプではないので、過去2戦より時計、上がりのかかる馬場は歓迎材料だ。

【タイムトゥヘヴン】
2着に8馬身差をつけた前走は圧巻のレースぶりだったが、注目したいのは2走前の未勝利戦。スローペースに泣き4着に終わったが、中団追走から外を回してメンバー中最速の上がり35.2を使って差してきた。少し時計がかかった方がいいタイプだが、中団から差すレースをすれば好走があっても不思議ではない。

【タケルジャック】
スタートが速く、そこから好位でじっと脚をためるレースで新馬勝ち。スローペースながら上がりは34.6と平凡だったこと、前走は瞬発力勝負で切れ負けしているレースぶりからも直線の長い東京、阪神コースよりは中山コースが向きそう。

【ラカン】
前走の未勝利戦は、ある程度ペースが流れた中、コーナーでの機動力を生かして徐々に進出して快勝。最後まで加速して突き抜けた内容は重賞でも通用するだろう。今回、先行馬が多いので展開も向きそうだ。

▽京成杯予想▽
◎ラカン
○テンバガー
▲タイムトゥヘヴン
△グラティアス
×タケルジャック
×タイソウ

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。


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