【朝日杯FS】レッドベルオーブとモントライゼが能力値1位 穴は1勝クラスを優秀な指数で勝ち上がった馬

山崎エリカ

2020年朝日杯FS PP指数インフォグラフィック

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2歳馬は成長比べ、大敗からは巻き返せない

先週の阪神ジュベナイルFでは、それまで無敗のソダシとサトノレイナスがワンツーを決めたように、2歳戦、特に重賞は成長比べである。前走で大敗した馬は、順当に成長を遂げられていないも同然で、巻き返しにくいのがポイント。近走で凡退が続いて成長力にやや疑問符がつく成績の馬は、苦戦の傾向にある。

実際に過去10年の朝日杯フューチュリティステークスの連対馬を見ても、「前走1着」か「重賞で連対」が大半。2011年にマイネルロブスト、2018年にクリノガウディーが前走7着以下からこのレースで2着に巻き返しているが、両馬とも前走の東京スポーツ杯2歳Sで先行し、展開が厳しくなってバテた馬。このことからも前走で展開面の不利があって負けた馬でなければ、簡単に巻き返せないのがわかる。

能力値1位レッドベルオーブとモントライゼの評価は?

2020年朝日杯FS PP指数インフォグラフィック


芝1600mの未勝利戦とデイリー杯2歳Sをレコードタイムで連勝したレッドベルオーブが人気の中心になるだろう。同馬は新馬戦こそ2着と取りこぼしたが、その次走の未勝利戦では、折り合いがつかずに前半から激化する流れに乗って、3コーナーでは先頭列に並びかけ、4コーナー先頭から押し切るなかなか強い内容ではあった。

前走のデイリー杯2歳Sでも優勝してはいるものの、2着ホウオウアマゾンが4コーナーの外2番手から逃げ馬に並びかけ、直線序盤で先頭に立ったその内をすくったもの。3着馬スーパーホープには0.2秒差つけて、それなりの強さは見せられているが、レース内容はホウオウアマゾンの方が上だった。また、前々走の未勝利で厳しい流れを経験したことが、前走につながった面もあるだけに、盤石とは言い切れないものがある。

一方、モントライゼはデビュー2戦目の未勝利戦を破格の重賞レベルの指数で圧勝している。さらに小倉2歳Sでは超ハイペースで逃げるフリードを追いかけて2番手、直線序盤で堂々先頭に立つと最後までしっかりと伸びて2着を死守。結果は重馬場と展開が向いたメイケイエールに差し切られたが、同馬と0.2秒差なら立派。まさに負けて強しの内容だった。

前走の京王杯2歳Sも2番手から強者の競馬で快勝。逃げたリメスは殿負け、2着は追い込みに回ったロードマックスという結果からも強さが際立った一戦だった。京王杯2歳Sの優勝馬は1Fの距離延長が懸念されて、実力よりも過小評価される傾向があるが、過去4年で3度も3着以内に好走している。また前走は馬体重14kg増が示すように余裕残しの馬体で、指数上も前々走ほど走っていない。今回に向けて余力があると推測されるだけに、本命候補としたい。

その他の能力値上位馬

【能力値3位 ホウオウアマゾン】
デビューからの4戦で連対を外しておらず、一戦ごとに着実な上昇を見せている。前走のデイリー杯2歳Sでは、二の脚でハナ争いをした過程での2番手から、早め先頭に立ってレッドベルオーブとアタマ差。前記したように、レッドベルオーブよりも強い内容だった。前走から大きな上昇があるかという点については何とも言えないが、レース内容は着順以上に評価できる。

【能力値4位 ステラヴェローチェ】
デビューから2戦2勝で、前走のサウジアラビアRCではなかなかの好指数で優勝。ただ不良馬場の前走は、前半がかなり速い流れを横山典騎手らしく後方待機して、直線は馬場の良い外から直線一気という内容。

末脚のインパクトはあったが、全てがうまく行っての優勝だっただけに2着馬に3馬身差というほどの強さは感じなかった。また不良馬場で能力を出し切った後の一戦となると、今回に向けてどの程度お釣りがあるかも微妙。あまり高い評価はできない。

【能力値5位 ショックアクション】
デビュー2戦目の未勝利戦をなかなかの好指数で快勝すると、その勢いのまま前走の新潟2歳Sも優勝した。しかし、前走は3番手ながら、逃げ馬が大逃げを打ったことで実質は差し競馬。前半で脚をタメたことがメンバー最速の上がりにつながった。

また新潟2歳Sは、馬場の悪い最内を通って5着に敗れたシュヴァリエローズが次走の萩Sで圧勝した一方で、外を通って上位入線した馬たちは次走で苦戦傾向。ショックアクションも外を通っているだけに、世代間で抜けた存在とは言いがたい。休養明けの不利を克服して優勝するまでとなると、正直、何とも言えない。

穴馬はブルースピリット

6月の函館芝1200mの新馬戦では、超絶ハイペースでレースが流れた中、好位の直後からレースを進め、直線で外に持ち出されるとグイグイ伸びてセンス十分の勝利を決めた馬。前走の秋明菊賞は6月以来の休養明けで1Fの距離延長だったが、スピードの違いで3コーナー手前から先頭の競馬。息切れが懸念される休養明けの馬としてはかなり苦しい展開になったが、そのまま押し切った。

前走指数は京王杯2歳Sと同等なもので、1勝クラスとしてはかなり優秀。更なる上昇があれば、一気のGⅠ勝ちを十分に狙える素質馬と見る。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)、レッドベルオーブの前走指数「-14」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.4秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。


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