【みやこS予想】「4歳馬」が圧倒、「前走3番人気以内」が必須条件 ベストタッチダウン最有力

門田光生

2020年みやこSデータインフォグラフィックⒸSPAIA

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阪神ダートでどう変わる?

京都競馬場が改修工事に入った関係で、例年より前倒しで阪神開催が始まる。2020年11月8日(日)に行われる第10回みやこSも、当然ながら阪神競馬場で行われる。JRAのホームページでみやこSの由来を調べると「みやこは、その国の中央政府の所在地。日本では長く京都がその地であったため、京都のことを指して言うことが多い」と書いてある。

今回はその「みやこ」Sが阪神で行われる。実は、大阪にも「難波の宮」という「みやこ」が存在していた。恥ずかしながら筆者も、大阪市出身の嫁さんに教えてもらうまでその存在を知らなかったのだが「大阪市歌の歌詞に出てくる(高津の宮=難波高津宮)ので、大阪市民はみんな知っているで」とのことらしい。ほんまかいな?

大阪市民全員が知っているかどうか、真偽のほどはさておき、みやこSの本題に入る前に京都と阪神のダートでは傾向がどう違うのかを調べてみた。「平坦だから前有利」「坂があるから前が止まる」などの文句は、厩舎談話や競馬コラムなどで目にしたことがあると思うが、果たしてデータではどう出ているのか。オープンクラスのダート1800mに絞って、2010年から2020年11月1日までの集計を出してみた。

京都ダート1800mの脚質ⒸSPAIA
阪神ダート1800mの脚質ⒸSPAIA

はっきり差が出たのは、阪神の方が逃げ馬の連対率がいいこと(京都:15.2%、阪神26.3%)と、京都ではサンプルが少ないながら【3-1-1-2】とまくりが決まっていることぐらいで、あとはほぼ同じような数字。両場とも逃げ、先行が圧倒的有利で、差し、追い込みは決まりづらいという結果になった。ダート競走自体が前有利の傾向なのだが、京都や阪神の上級クラスでも同様のようだ。

みやこS自体の決まり手は先行脚質の成績が最もよく、次いで差し、逃げ。追い込み馬は2着が最高で確率はかなり悪い。また、京都ダートの特徴でもあるまくりも、少ないながら決まっている。今回は阪神ダートなのでまくりは無視。逃げ馬に注意しつつ、あとは傾向通りと考えていいだろう。

4歳馬に注目

ここからは競馬場が変わってもさほど影響がないであろうデータを検証していく。みやこSは今回がちょうど10回目なので、2010~2019年(2018年は京都でJBCが行われた関係で施行されず)の過去9回が検証範囲となる。

みやこS出走馬の年齢ⒸSPAIA

まずは年齢から。勝ち馬が出ているのは4~6歳だが、勝率、連対率ともに4歳馬が断然。過去9回で6頭の勝ち馬を出しており、文句なしである。5、6歳の賞金を持っている実績馬はJBCに出走するので、賞金は足りないが勢いのある4歳馬が台頭しているイメージ。

4歳馬の歴代優勝馬にはトランセンド、ローマンレジェンド、インカンテーション、アポロケンタッキーなど、のちに大レースを制する馬が名を連ねている。隠れた出世レースといっていいだろう。

ちなみに、今年はJBCクラシックにクリソベリル、デルマルーヴルの実績4歳馬が出走していた。この2頭がいない状況でなお4歳馬が好成績を残せるなら、今年の4歳世代はかなり層が厚いのではないかと推測される。

みやこS出走馬の当日馬体重ⒸSPAIA

ダートといえば馬体重。大型馬有利の法則だ。これは今回も生きているようで、勝ち馬は全て当日に480キロ以上の馬ばかりだった。連対馬18頭に広げてみると、全て460キロ以上。最低でも460キロの馬で、1着にこだわるなら480キロ以上の大型馬から選択したい。

みやこS出走馬の前走クラスⒸSPAIA
みやこS出走馬の前走ⒸSPAIA

続いて前走のクラス。前走で条件戦を使っていた馬から勝ち馬は出ていない。出世レースといってもある程度の実績は必要なようだが、今年は出走頭数が少ないこともあって条件戦経由の馬はいない。前走でオープンを使った馬と重賞を使った馬はともに7連対だが、勝率、連対率ともに前走オープン組の方が上。

そのオープンレースの一つに太秦Sがあるのだが、ダート1800mで施行されたのは2019年から。サンプルは少ないが、昨年のヴェンジェンスは太秦S2着からこのレースを制した。今後も有力なステップレースになる可能性が高いとみている。

気になるのは前走で地方を使ってきた馬が思ったより不振ということ。29頭が出走し、勝ち馬は2010年の日本TV盃を使ったトランセンドだけ(2011年の勝ち馬エスポワールシチーは南部杯経由だが、この年の南部杯は東京競馬場で開催)。2着も1頭だけで、中央のダート路線に比べると低調である。

みやこS出走馬の前走人気ⒸSPAIA

前走着順に関してはこれといった傾向はないが、前走人気は上位に支持されていた馬は高確率で馬券に絡んでいる。勝ち馬9頭中6頭が前走で1番人気に支持されており、3番人気以内に広げると全9頭が該当。前走で4番人気以下だと評価を下げざるを得ない。

みやこS出走馬の出走間隔ⒸSPAIA

出走間隔はというと、意外にも間隔が詰まっている馬の活躍が目立つ。中2週はサンプルが少ないので除くと、最も成績がいいのは中1週で、勝率が1位タイ、連対率は堂々の1位だ。強行軍の疲れより勢いを信頼ということか。2017年は中10週以上の馬同士で決着したが、これはレアケースと考えていいだろう。

4歳世代を信頼

みやこSは過去9回中、8回が15頭立て以上で行われているのだが、今年は登録の時点で11頭しかいなかった。唯一少頭数で行われた2015年(11頭立て)は3連単が18万を超える波乱となったが、果たして今年はどうなるか。

みやこSでの強いデータは「逃げ、先行」「4歳馬」「当日馬体重480キロ以上」「前走1番人気、最低でも3番人気以内」、そして「中1週」となる。当日馬体重に関しては、前走が466キロだったエイコーン以外はクリアできそう。

圧倒的に強い4歳世代は3頭しかいないので1頭ずつ見ていく。まずナムラカメタローだが、前走人気が減点。中2週のローテーションはサンプルが少ないので、ひとまず置いておこう。ベストタッチダウンは前走2番人気だから及第点。ナムラカメタローと同じく中2週で、ここも保留としておく。最後にワイドファラオだが、前走人気で減点。あと勝率がよくない地方重賞組だから頭で狙うのは難しいか。4歳世代では大きな減点なしのベストタッチダウンが最有力となる。

ステップレースとして最も実績があるのは6連対のエルムSだが、今年はウェスタールンドの回避により不在。続くのが4連対のブラジルC組で、ここからはスワーヴアラミスが出走。5歳馬ということ以外は全てクリア。これも有力候補に加えていいだろう。

上記で少し触れた太秦Sだが、今後有力なステップレースになると仮定するなら、クリンチャーも無視できない。問題は長欠明けとなるエアアルマス。東海S組は【0-0-0-4】だが、1月に行われた東海S組に限るとサンプルが1頭だけしかいない(ほかの3頭は5月開催の東海S)。休み明けの成績がそこまで悪いわけでなく、それ以外の項目をクリアしていることからも押さえておいた方が無難か。

今回は4歳世代を信じてベストタッチダウンを信頼したい。

◎ベストタッチダウン
〇スワーヴアラミス
▲ナムラカメタロー
△クリンチャー
×エアアルマス
×ワイドファラオ

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。 「みやこ」Sが行われる1週前に大阪では「都」構想の選挙がありました。データとは真逆の「裏読みキーワード」を探していますが、今のところ全く見つかりません。

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