【日本ダービー】「弥生賞上がり最速馬」は単回収率165% データで導く穴馬候補3頭

鈴木ユウヤ

日本ダービー2024-データで探す穴馬,ⒸSPAIA

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データで見る「穴候補3頭」

今週末の東京メインは日本ダービー(東京優駿)。いよいよ世代の頂点を決める戦いがやってくる。一冠目の皐月賞からは距離が400m延び、戦場が小回りの中山から直線の長い東京へ替わる。この変化が今まで数多の逆転劇を生んできた。

同じようなメンバーが戦っても、コースや距離、枠順、馬場状態、展開など、条件が変われば着順も変わる。それこそが競馬の奥深さであり面白さ。普段競馬をやらない方にもぜひダービーを通じて体感していただければ、いち競馬ライターとして嬉しい限りだ。

さて、御託はこのくらいにして本題へ。今週も様々な切り口のデータを駆使し、3頭の穴候補を導き出した。


「皐月賞上がり最速馬」が大活躍 エコロヴァルツ

まず1頭目はエコロヴァルツ。昨年末のGⅠ朝日杯FSで2着に入った実力馬だが、共同通信杯5着、皐月賞7着と連敗中。大一番で反撃を期す。

日本ダービー 皐月賞上がり最速馬の成績,ⒸSPAIA


ダービーでは「皐月賞で上がり最速だった馬」の活躍が目立っている。東京競馬場が現行コースになった2003年以降で、皐月賞上がり最速馬は【8-1-1-14】勝率33.3%、複勝率41.7%。ちなみに皐月賞1着馬は【6-4-2-8】で勝率30.0%だから、勝ち馬より上がり最速だった馬の方が世代の頂点に近い……とすら言えてしまう。

皐月賞上がり最速馬のうち、そこで記録した上がりが34.3秒以下なら【7-0-1-5】複勝率61.5%、複回収率103%。同34.4秒以上なら【1-1-0-9】複勝率18.2%、複回収率20%と明暗が分かれる。他のメンバーとの比較だけでなく、数字の絶対値としても速い上がり3ハロン。これを出してきた馬がダービーで活躍する。

したがってレガレイラを買うべし……おっと。「穴馬」というテーマを忘れるところだった。もう1頭の上がり最速馬エコロヴァルツに注目しよう。前走の上がりは33.9秒。要件をきっちり満たしている。

2走前の敗戦はペースが遅すぎて折り合いを激しく欠いたもので参考外。皐月賞はいい脚を使ったが、ひとえに位置取りが後ろすぎた。ただ、この距離延長を見据えるという意味で、流れに乗らずに我慢を教え込んだことは間違いなくプラスに作用する。道中をリラックスして運べるようなら怖い1頭だ。


「弥生賞上がり最速馬」も侮るな シンエンペラー

続いて2頭目にシンエンペラー。藤田晋オーナーと矢作芳人厩舎のタッグが手掛ける外国産馬だ。

日本ダービー 弥生賞上がり最速馬の成績,ⒸSPAIA


前章とちょうど同じような話だが、ダービーでは「弥生賞で上がり最速だった馬」も好成績。2003年以降で【4-0-3-7】複勝率50.0%、単回収率165%、複回収率131%だ。中山でいい末脚を見せた馬が、直線の長い東京に替わって武器を生かしやすくなる。当たり前のようだが、このレースを占う上で忘れてはならない大前提だ。

上記のうち、弥生賞で4番人気以内だった馬に限ると【4-0-3-4】複勝率63.6%、複回収率167%とさらに確率アップ。過半数が馬券に絡んだこのデータにシンエンペラーが該当する。

ホープフルSは直線で一時抜け出すも、ソラを使って差され2着。能力自体は世代トップクラスのものがある。皐月賞は完敗の5着に見えるが、当時なかなか陣営のトーンが上がっておらず、状態面がもうひとつだったか。春3戦目の良化次第では圏内に顔を出してくる。


東京芝2400mで高回収率のキズナ産駒 ショウナンラプンタ

最後は血統のデータからショウナンラプンタを取り上げる。青葉賞ではタイム差なしの2着だった。

キズナ産駒の東京芝2400m成績,ⒸSPAIA


東京芝2400mの種牡馬別成績を調べると、とにかくキズナ産駒の高回収率が目を引く。通算成績は【2-9-9-41】で1着こそ少ないが、複勝率32.8%、複回収率151%と大幅な黒字を生んでいる。

特に3歳戦で【2-7-7-28】複勝率36.4%、複回収率198%と強く、さらに絞って「前走も2400mだった馬」は【1-3-3-2】複勝率77.8%、複回収率340%。母数が少ないとはいえ、8割近く馬券に絡んでいるのは素晴らしい。

今年は皐月賞馬のジャスティンミラノも含めキズナ産駒の出走が多い。よってほかの選択肢もあるのだが、ここでは「前走も2400m」を満たすショウナンラプンタをピックアップした。

ショウナンラプンタが新馬勝ちを収めた際のレース後半1000m58.5秒は非常に優秀な数字。どのくらい優秀かというと、阪神芝2000mの2歳新馬戦としてはディープインパクトが勝った一戦に次ぐ歴代2位の記録だった。こちらも上位争いに加わるだけのポテンシャルは持っている。コースを経験した強みで皐月賞組との差をどこまで埋められるかが焦点だ。

<ライタープロフィール>
鈴木ユウヤ
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、X(Twitter)やブログで発信している。好きな馬はショウナンマイティとヒガシウィルウィン。

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