【ラジオNIKKEI賞】時計・上がりともかかる舞台 一長一短のメンバーも武豊騎乗のパラスアテナに不安材料なし!

三木俊幸

ラジオNIKKEI賞分布図ⒸSPAIA

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開幕週ながら差しは届く

夏の福島開催の開幕週に行われる3歳限定のハンデ重賞、ラジオNIKKEI賞(GⅢ・芝1800m)。2020年の出走メンバーは1勝クラスを勝ったばかりの馬が多く、混戦模様となっている。難解なレースを的中させるべく、馬場適性の観点から分析・予想を行っていく。

開幕週ということで、先週末の馬場傾向をもとに分析することはできないので、今回は過去10年のラジオNIKKEI賞の結果から、どのような適性を持った馬が好走しやすいのか分析してみよう。

過去10年のラジオNIKKEI賞の結果ⒸSPAIA



梅雨時期に行われているが、2019年以外は全て良馬場でレースが行われている。2014年は1:45.9という速いタイムでの決着となっているが、それ以外は1:47.9での決着となった年も2回あるなど、良馬場でも比較的時計がかかる馬場になっていることが多いということが見てとれる。

馬券圏内に好走した30頭のうち、33秒台の上がりを使った馬はゼロ。最も速い上がりでも34.3(2015年の優勝馬アンビシャスなど3頭)と遅く、概ね34秒後半〜35秒前半の上がり決着となっている。

脚質別の成績では、先行5勝、差し4勝、追込1勝という内訳となっており、開幕週のわりに差しが届いている。その背景として、比較的ペースが流れることが多いということが挙げられ、過去10年でSペースとなったのは、わずか2回のみだった。

JRAの発表によると、春の開催終了後に3コーナーから4コーナーにかけての内柵沿いと発走地点などの芝の張り替えを実施。芝の生育は順調で全体的に良好な状態となっている。しかし、今週末はレースが行われる日曜日は天気が回復傾向にあるが、週の前半から雨が降っており、土曜日も雨予報となっている。そうしたことからも昨年に引き続き、今年も道悪でのレースとなり、時計と上がりがかかる舞台になると考える。

本命の決め手は不安材料のなさ

ここからは馬場適性分布図をもとに、ラジオNIKKEI賞に出走する注目馬の適性について見ていく。分布図の縦軸は高速馬場に強いスピード型か時計のかかる馬場に強いパワー型かを示す指標、横軸は上がりの速い馬場を得意とする瞬発力タイプか上がりのかかる馬場を得意とする持続力タイプのどちらに分類できるかを示している。

なお各馬の配置は、現状においてベストパフォーマンスを発揮できる舞台設定を表しているものである。

ラジオNIKKEI賞分布図ⒸSPAIA





今年のメンバーを見渡すと、先行したい馬が複数おり、Sペースになることは考えにくい。印を打つうえでは馬場適性、道悪の巧拙、レースの流れに乗りながら控える競馬で結果を残せているかという点を考慮する必要があるだろう。

【パラスアテナ】
初芝となった2走前、福島2000m戦では稍重のコンディションで先行し、2着に0.9秒差をつけて勝利。続く前走のカーネーションCでは中団からレースを進めると、上がり33.3を使って快勝。異なる条件下でともに強いレースを見せていることからも、かなりの能力を秘めているのは間違いない。注目馬の中で唯一不安な点がなかったので、軸としては最適だと考える。

【ルリアン】
新馬戦ではマイラプソディの前に敗れたが、その後は2連勝。勝ちタイムや上がりに特出すべき点があるわけではないが、好位に控えてレースを進めることができる。長くいい脚を使えるタイプなので条件は向きそうだが、エンジンの掛かりがやや遅い点が不安材料ではある。道悪適性については、稍重はこなしているのである程度は問題なくこなせるだろう。

【グレイトオーサー】
デビューが4月25日とかなり遅くなったが、2連勝で重賞の舞台へと挑む。デビュー戦は中団から、2戦目は逃げ切りと異なるレースで結果を残しているのは心強いが、いずれも折り合いに苦労する場面が見られた。能力の高さは認めるが、コース適性や馬場も含めてまだ信頼しきれないところもあるので、押さえ評価まで。

【サクラトゥジュール】
相手なりに堅実に走るタイプ。前走の勝ちタイム1:31.7はかなり優秀でインパクトある勝ち方だったので、高速馬場向きと言える。切れる脚はないので、福島コースに変わるのは悪くはないが、雨はマイナス材料。馬場が乾けばここでも好走可能だろう。

【コスモインペリウム】
2勝がいずれも稍重、不良と道悪で結果を残している。先行して粘りこむのが得意なタイプかと思いきや、2走前には今回出走するグレートオーサーが逃げ切るレース展開の中、後方から上がり33.3の末脚で追い込むレースで2着。瞬発力も兼ね備えていることを見せつけた。ピッチ走法で道悪適性は高いが、コーナーを生かして加速するタイプではないので、現状では広いコース向きのようにも感じる。

【コンドゥクシオン】
今回と同じ舞台の新馬戦を不良馬場、2走前の山桜賞を重馬場で制しており、時計が掛かりパワーが必要とされる馬場を得意としている。良馬場まで回復してしまうと厳しいが、馬場が悪くなればなるほど好走できるチャンスは広がるだろう。

▽ラジオNIKKEI賞予想▽
◎パラスアテナ
○ルリアン
▲コスモインペリウム
△サクラトゥジュール
×グレイトオーサー
×コンドゥクシオン

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