【プロキオンS】前有利傾向、松山弘平騎手が勝利数トップ 東大HCが中京ダート1400mを徹底検証

東大ホースメンクラブ

中京ダート1400mのコースレイアウト,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

コース紹介

今週末は中京競馬場で夏の短距離ダート重賞・プロキオンSが開催される。カペラSを豪快な後方一気で制したリメイクや、前走かしわ記念2着のタガノビューティーなど楽しみなメンバーが集結した。今年のプロキオンSは4年ぶりに中京ダート1400mで開催される(20年は阪神ダ1400m、21-22年は小倉ダ1700mで開催)ということで、本記事ではこのコースをデータで検証する。

まずはコース解説。2コーナー奥のポケットからスタート。そこから200mほど芝の上を走る。向正面半ばまでは緩やかな上り坂であり、3コーナー手前からは緩やかな下り坂が続く。コーナーはやや急なスパイラルカーブだ。最後の直線は410.7mと東京競馬場に次ぐ長さであり、その途中で高低差1.8mの坂が待ち受けている。

当該コースの重賞はプロキオンSのみ(使用するデータは、中京競馬場リニューアルオープン後から現在に至る、2012年3月3日~2023年7月2日)。


外枠、前有利

中京ダート1400m・枠別成績,ⒸSPAIA


<中京ダ1400m・枠別成績>
1枠【58-76-74-807】勝率5.7%/連対率13.2%/複勝率20.5%
2枠【74-63-59-870】勝率6.9%/連対率12.9%/複勝率18.4%
3枠【69-85-73-862】勝率6.3%/連対率14.1%/複勝率20.8%
4枠【73-73-79-891】勝率6.5%/連対率13.1%/複勝率20.2%
5枠【69-71-68-931】勝率6.1%/連対率12.3%/複勝率18.3%
6枠【81-69-82-913】勝率7.1%/連対率13.1%/複勝率20.3%
7枠【77-72-75-931】勝率6.7%/連対率12.9%/複勝率19.4%
8枠【82-75-72-931】勝率7.1%/連対率13.5%/複勝率19.7%

コースの形態上、外枠の方がスピードの出やすい芝部分を長く走ることができるため、外枠の勝率が高い傾向にある。ただし、OP以上に限ると最も勝率が高いのは1枠で、【7-2-4-32】勝率15.6%、単勝回収率232%を記録している。レースレベルが上がると、前目のポジション争いで内枠の利が上回るということだろうか。実際にこの枠での7勝中、2勝を逃げ馬が、2勝を先行馬が挙げている。

中京ダート1400m・脚質別成績,ⒸSPAIA


<中京ダ1400m・脚質別成績>
逃げ【112-79-57-335】勝率19.2%/連対率32.8%/複勝率42.5%
先行【255-228-209-1434】勝率12.0%/連対率22.7%/複勝率32.5%
差し【167-216-216-2695】勝率5.1%/連対率11.6%/複勝率18.2%
追込【49-61-99-2667】勝率1.7%/連対率3.8%/複勝率7.3%

セオリー通り、逃げ・先行有利は揺るがない。オープン以上に限定するとこの傾向はさらに強くなり、逃げ馬は【9-2-3-18】で勝率28.1%、単勝回収率724%を記録している。前走逃げた馬に関しても【12-4-3-53】で単勝回収率309%とプラス域。前走逃げた馬は買い目に入れておくのが得策だろう。

また、直線の長いコースらしく速い上がりを使える馬も安定している。レースで上がり3F最速を記録した馬は【185-107-80-293】で複勝率55.9%と、2回に1回は馬券に絡む安定感を発揮。三連系の軸にはこちらが適している。


ダイワメジャー、ヘニーヒューズが優勢

中京ダート1400m・種牡馬別成績,ⒸSPAIA


<中京ダ1400m・種牡馬別成績>
ダイワメジャー【25-14-15-180】勝率10.7%/連対率16.7%/複勝率23.1%
ヘニーヒューズ【23-20-16-185】勝率9.4%/連対率17.6%/複勝率24.2%
キンシャサノキセキ【17-17-12-154】勝率8.5%/連対率17.0%/複勝率23.0%
キズナ【9-5-5-60】勝率11.4%/連対率17.7%/複勝率24.1%

ダイワメジャーの産駒は25勝を挙げ、全種牡馬のトップを走っている。今回はドンフランキーが該当する。当馬は前走の京都グランドOPを逃げて勝利しており、逃げ有利の脚質データに合致。馬券的には非常に魅力的な一頭だ。

タガノビューティーの父ヘニーヒューズは、23勝でそれを追う形。前走から距離短縮したヘニーヒューズ産駒は【5-2-3-27】で勝率13.5%と、同距離組や距離延長組よりも5%ほど高い。前走のかしわ記念から200m短縮でこのレースに挑むタガノビューティーには、追い風のデータだ。

キンシャサノキセキの産駒は【17-17-12-154】勝率8.5%、単勝回収率157%。当コースの月別成績では、7月は【3-0-2-15】で勝率15.0%と、全体勝率よりも6.5%高い。今回はブルベアイリーデ、ケイアイターコイズが該当する。どちらも人気薄になりそうだが、一発があってもおかしくないだろう。

キズナの産駒も単勝回収率114%で黒字域。特に前走より人気している場合は【5-2-3-19】で単勝回収率は142%に上昇する。また勝率も、前走より人気している場合は17.2%と、人気を落としている場合より約11%高い。今回はイフティファール、オーヴァーネクサスの2頭がキズナ産駒。どちらも前走より人気が下がりそうだが、データを覆しての激走となるか注目だ。

中京ダート1400m・騎手別成績,ⒸSPAIA


騎手別成績では松山弘平騎手が40勝でトップ。3位の川田将雅騎手に17勝差をつけて独走状態である(2位は福永祐一元騎手で27勝)。このコースと相性の良い逃げ、先行を得意としており、逃げでは【8-7-2-15】で単勝回収率155%、先行でも【22-8-12-61】で単勝回収率187%でともに単勝回収率100%超え。今回は前走の欅Sで逃げて2着に粘ったジレトールに騎乗予定。このメンバーで前目につけられるかは未知数だが、松山騎手の腕を信じて狙ってみるのもアリだ。

リメイクに騎乗予定の川田騎手は23勝で3位。差し【3-6-5-25】勝率7.7%、追込【3-2-1-10】同18.8%で、前目で競馬を進めた際の数字からは大きく落ちる。ただ、いずれの脚質も平均勝率を大きく上回っており、川田騎手の手腕が光っている。特に上がり3F最速を記録した場合は【6-4-1-2】で驚異の複勝率84.6%。リメイクには海外帰り、初の斤量58kgと不安要素が複数あるが、カペラSで見せた極上の切れ味を生かし、それらの不安要素を吹き飛ばせるか注目だ。

坂井瑠星騎手は、このコースで単勝回収率150%と非常に優秀。脚質別成績では、全体傾向に反して、差しの方が先行よりも勝率が高い点が目を引く(差し【6-3-0-23】勝率18.8%、先行【4-0-2-19】同16.0%)。前走、まさかの競走中止に終わったシャマルと新コンビで巻き返しを狙う。

ドンフランキーに騎乗予定の池添謙一騎手も、このコースでの単勝回収率は111%とプラス域。このコースで挙げた5勝のうち4勝を差しで挙げており、逃げでは【0-2-0-5】と勝ち星を挙げることができていない。前走逃げで結果を出したドンフランキーにとってはマイナスのデータだ。

中京ダート1400mのデータ,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

《関連記事》
【プロキオンS】人気上位のなかでも「持続力に長ける血脈」持ちに注目 有力馬の血統解説
【プロキオンS】優勝馬の最高齢はブロードアピールの7歳 レコードタイムなど「記録」を振り返る
【プロキオンS】タガノビューティーは重賞制覇のチャンス到来 ライバルは前走OP・L組のジレトールとオメガレインボー

おすすめ記事