【クイーンC】社台一強の重賞に風穴を開ける! 意地を見せたい他陣営の逆襲

佐藤永記

2022年クイーンC,ⒸSPAIA

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2月の3歳牝馬限定戦は社台グループの独壇場

クイーンカップの施行条件はとてつもなくレアだ。2月、3歳、牝馬限定の東京マイル重賞。

まずは牝馬限定のマイル戦であるG1阪神JFからの転戦組が気になるところだが、成績は【3-3-2-13】。まあ、そんなもんかと思うかもしれないが、これが阪神JF3着以内だった馬に限ると【3-1-0-2】になる。そりゃあそうだ、なせならこの3勝にはクロノジェネシスとメジャーエンブレムという2頭のG1馬が含まれているのだから。

とりあえず、阪神JFで好走できるような馬がクラシックトライアルではなくクイーンCを使ってくる時点で「格上」ということだ。ただ、今年の登録馬のうち前走が阪神JFなのは2頭、最先着は6着だったベルクレスタ。警戒は必要だが、軸にするほどの信頼度はない。

あと多いのが前走フェアリーS組。牝馬限定中山マイルの1月重賞だが、2018年にテトラドラクマがフェアリーS6着から勝利している。

2012年から毎年2頭以上、このローテーションで出走してきたいた。2012-2018までで22頭【2-2-2-16】と、メインローテの一つだったものの、2019年から3年間でこのローテを走ってきたのは2020年セイウンヴィーナス1頭だけ。しかし、同馬はフェアリーS9着からクイーンC3着と馬券に絡んでいる。直近3年では廃れ気味ではあるが、王道ローテではあるので気にしておく必要がある。今年の該当馬はスターズオンアースだ。

「社台しか勝たん」の過去実績も今年は小粒?

2022年クイーンC過去10年 生産者系別成績,ⒸSPAIA


そもそもの話をしよう。このレースは社台系の天下である。【9-8-8-48】、これは社台グループ4生産者をあわせた直近10年のクイーンC成績である。これを「そもそも」と言わずして何なのかということだ。

最初に書いたとおり、2月の3歳牝馬限定重賞、クラシックトライアルの本格化はまだ1ヶ月先。その状態でここに馬を出走させられる体制に差があることは明白だ。2歳の時点で順調に成長させ、すでに賞金加算が済んでいる馬はトライアルかぶっつけで本番へ。賞金が足りない馬の賞金加算狙いか、もう順調に走れるクロノジェネシスのような馬を、このクイーンCに走らせてくるのだ。

さらに数字を取り上げると、この社台系の生産馬だけで直近10年のクイーンC出走馬の49%と約半分を占めている。そして、今年も登録18頭のうち、半分の9頭が社台系だ。出走馬の半分が社台系で、馬券圏内の8割を占めることになる。ちなみにクイーンCの全獲得賞金も81.1%が社台系の生産馬に渡っている。

こうなると、非社台の生産馬にチャンスはないのか?と考えてしまうが、今年は重賞勝ち馬が1頭もおらず、大半が1勝馬。実績だけでいえば過去10年で今年の社台組は実績が乏しい印象だ。それを見越してかどうか、今年の非社台系生産馬はちょっと例年より「ゴツい」メンバーが揃った。

今年の非社台はゴツいメンバー構成

まずはゴドルフィンの参戦だ。ゴドルフィン所有のアメリカンスターは初勝利まで3戦かかったが、原因はソラ使いで能力を発揮できなかったというのが武幸四郎調教師の見解。今年の同厩舎は兵庫ジュニアグランプリ覇者のセキフウや5億円馬ドーブネ、ファンタジーS勝ち馬で阪神JF3着のウォーターナビレラが同厩同世代におり、注目の3歳世代の一角に名乗りを上げるにはうってつけの舞台だ。

コスモヴューファームからはウインブライトの半妹ウインエクレールが新馬勝利からの直行でやってくる。さらにノースヒルズからコントディヴェール。2戦目での初勝利は先行策、1勝クラスではまだ勝ちきれていないものの、前走をは前が詰まったレースでもっと伸びた可能性はある。力を出せれば面白い。さらに外国産馬モズゴールドバレルは前走牡馬もいたシンザン記念で0.5秒差の6着だったことを考えればチャンスだ。

アメリカンスター、ウインエクレール、コントディヴェール、モズゴールドバレルと、非社台のなかからこの4頭を見てもかなり魅力的。今年は社台に割って入れる年とみて、この4頭のワイドボックスを狙いたい。

最後に余談だが、今年は萱野浩二厩舎が3頭登録している。いずれも非社台生産馬だ。萱野厩舎は昨年平地競走16勝、今年は2勝と大きく目立つ厩舎ではないが、昨年1頭も重賞に出走できなかった厩舎からの3頭出しはおおいに気になるところだ。とにかく、今年は例年と違って非社台の馬たちが面白いクイーンCだ。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。

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