【大阪杯】コントレイルに迫れるか 参考レースから大幅にパフォーマンスを上げそうな馬は?

坂上明大

2021年大阪杯の参考レースⒸSPAIA

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3F勝負向きの瞬発力

2017年にG1へ昇格した大阪杯。毎年マイラーと中距離馬が激突する舞台として注目が集まる一戦だが、特に今年は2020年最優秀短距離馬と牡馬クラシック三冠馬が顔を合わせ、その他にも古豪から新鋭まで実力馬が集結予定。大舞台を前に参考レースを振り返る。

【マイルCS】
レシステンシアが通常より0.2~0.3秒程テンが遅く、押して押してようやくハナへ。その分をリカバーしたのだろう、中盤で12.0秒を計時する形となり、全体では前後半3F34.9~33.5の後傾1.4秒。マイルG1としては遅過ぎる流れで「前有利」と評価。

1着馬グランアレグリアはスタートを決めて好位での競馬。直線では進路がなく追い出しが遅れたが、残り200m過ぎで進路を確保するとあっさり上位馬を差し切ってしまった。強いの一言。デビュー時から馬体重を50キロ弱増やしており、まさに絶頂期といえる勝ちっぷりであった。体形や気性からは1400~1600mがベターだろうから、初の2000mがポイントとなる。

5着馬サリオスは久々のマイル戦、かつ大外枠発走で後方からの競馬。いい脚で追い込むも差し届かず5着に終わったが、展開面や中間で一頓挫あったことも考慮すれば、着順以上の評価をしたいレース内容であった。本馬は2000mへの距離延長も問題なく、グランアレグリアがパフォーマンスを落とすなら着順の入れ替わりまで期待できる。

7着馬ペルシアンナイトもサリオスと同等の末脚を発揮。ただ、道中はラチ沿いピッタリの進路取りだっただけに、サリオスほどの評価はできないか。

現役トップクラスの証明

2021年大阪杯の参考レースⒸSPAIA



【ジャパンC】
週中に2.5mmの雨が降るも馬場は乾燥して含水率は低め。秋の連続開催最終週で馬場の傷みが強く、3角~直線の内側はそれが顕著。内々を走った馬にとっては苦しい馬場状態であり、好走馬が傷んだ馬場を避ける進路取りをしている光景が印象的だった。

ペースはキセキが超ハイペースで逃げたが、馬群は前後半1000m60.3-58.7の後傾1.6秒。ただ、道中も終始11秒台を刻む淡々としたラップであり、天皇賞(秋)のような決め手勝負でなかった点は留意しておきたい。

2着馬コントレイルは出たなりで折り合い重視。勝負どころではデアリングタクトの直後につけて同馬には競り勝ったが、アーモンドアイには届かず2着に終わった。とはいえ、歴史的一戦での2着は改めて現役屈指の強さを証明するものであり、秋3戦目というローテーションも加味すればそれ以上の評価が必要なのかもしれない。

遅咲きの良血馬

【チャレンジC】
ジェネラーレウーノの単騎逃げで前後半1000m62.0-57.9の後傾4.1秒。下り坂に入る3角からペースが上がり後半は息の長い末脚が求められたが、ペースなりの「前有利」の競馬であったことは間違いないだろう。

1着馬レイパパレは緩い流れの分、終始手綱を絞りながらの追走。3~4角では抑え切れない手応えで先頭に並び掛け、直線での後続の追撃も振り切った。シャイニングレイ(14年ホープフルS、17年CBC賞)の全妹という良血馬であり、これでデビューから5戦全勝の負けなし。大阪杯と同じ舞台を経験している点も心強い。ただ、大阪杯で勝ち負けするには本レースよりも大幅にパフォーマンスを上げる必要がある。前走からのさらなる成長は必須だ。

2着馬ブラヴァスも道中は抑えるのにひと苦労。中団のポジション取りもレイパパレとの比較では不利に働き、差し届かずの2着に終わった。ゴール前は内にモタれて勢いが鈍ったが、ラスト1F最速は本馬。レイパパレとの勝負付けが済んだとみるのは早計か。Nureyevの4×4などから母ヴィルシーナよりもパワー型に出ているため、一線級相手なら力のいる馬場の方がベターだろう。

ダービー以来の再戦

現役トップマイラーであるグランアレグリアも当然勝利を狙える一頭だが、この舞台であればコントレイルとサリオスを上に取りたい。特にサリオスは前走から大幅にパフォーマンスを上げてくるだろう。ダービーでは水をあけられたが、皐月賞のような叩き合いに期待したい。

注目馬:コントレイル、サリオス

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません

ライタープロフィール
坂上明大
元競馬専門紙トラックマン。『YouTubeチャンネル 競馬オタク(チャンネル登録者45000人強)』主宰。著書『血統のトリセツ』。血統や馬体、走法、ラップなどからサラブレッドの本質を追求する。

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