【ファンタジーS】5番人気以下6勝の難解な重賞 好データ「中9週以上」満たすカルプスペルシュ
SPAIA編集部
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阪神JFの前哨戦だが……
2024年11月2日(土)、京都競馬場ではファンタジーステークス(GⅢ・芝1400m)が行われる。牝馬限定の2歳重賞であり、阪神JFに向けた西の前哨戦という位置付けの一戦だ。
ただ、近年は素質馬が前週に行われるアルテミスSに集まるようになり、直近10年でここをステップに阪神JFを勝ったのはダノンファンタジー、レシステンシアの2頭しかいない(連対もこの2頭だけ)。混戦の年が多くなり、そのせいもあってか昨年は3連単230万馬券が飛び出す大波乱となった。
今年も前評判が抜けた馬はおらず、りんどう賞を勝ったヴーレヴー、シンガポールTC賞の勝ち馬カワキタマナレアあたりが上位人気になりそうだ。重賞タイトルを手にするのはどの馬か。阪神代替を含めた過去10年のデータを基に展望する。
5番人気以下が6勝
まずは人気別成績から。1番人気【3-3-2-2】複勝率80.0%は上々だが、2~4番人気は計1勝止まり。5番人気が2勝、6番人気が1勝、そして10番人気以下が【3-1-1-32】で単回収率は631%もある。5番人気以下が過半数の6勝を占めているわけで、人気馬も全く安泰とは言い難い。点数を広く構える必要がありそうだ。
続いて前走クラス別成績を見るが、困ったことにイマイチ明確な傾向がない。新馬【4-2-1-24】複勝率22.6%、未勝利【3-0-3-17】同26.1%、1勝クラス【1-3-0-14】同22.2%、OP・L【0-2-4-23】同20.7%、重賞【2-3-2-18】同28.0%。どれも複勝率20%台で似たり寄ったりだ。「大差なし」と片付けてもいいが、少しだけ掘り下げてみる。
まず前走1勝クラスの馬はそこで連対していれば【1-3-0-6】と悪くないが、3着以下なら【0-0-0-8】と全滅。りんどう賞1~3着馬が登録してきたが、3着ダンツエランはひとつ減点だ。
OP・L組は着順不問でそれなりに走るが、同距離のききょうSが【0-1-1-8】と意外に直結しないのは気になる。ききょうS連対馬は4頭出走して1番人気10着、4番人気6着、1番人気4着、4番人気7着と人気に応えられておらず、スリールミニョンも過信は禁物だ。
重賞組は1着【1-2-1-0】で2着以下【1-1-1-18】。勝ち馬を除くとそこまでの信頼感はない。ただし14年に14番人気クールホタルビが小倉2歳S13着から一気に巻き返した例もあり、負けてきた馬も回収率的には高い数値が出ている。
クラス別成績で特徴はなかったので、今度は前走の距離に注目する。距離延長組が【5-3-2-29】複勝率20.4%、同距離が【1-4-4-41】同18.0%、短縮が【4-3-4-17】同39.3%。距離短縮組が他の2倍近く走っている。マイルでデビュー勝ちの白毛馬ゴージャスは気になる存在だ。ただし前記のクールホタルビなど、大穴を開けたのは1200mからの延長馬が多い。
出走間隔別だと中3週以下の馬が【1-2-3-33】複勝率15.4%と振るわず、単複回収率も30%台に留まっている。中4~8週【6-4-2-41】複勝率22.6%、単回収率325%、複回収率133%、中9週以上【3-4-5-23】複勝率34.3%、単回収率257%、複回収率121%と、間隔が空くほど好走率が高く、妙味も伴っている。使い詰めはマイナスだ。中3週となるりんどう賞組は推しにくい。
そのほか気になったデータを。まずジョッキーについては、継続騎乗【7-7-5-44】複勝率30.2%、乗り替わり【3-3-5-53】複勝率17.2%で前者が優勢だ。癖を知る騎手が乗る強み、そして能力が高い馬は主戦騎手が簡単に手放さないという側面もあるだろう。
血統では父ディープインパクト系が【4-4-2-8】複勝率55.6%だが、今年は出走なし。出走数は少ないがキンシャサノキセキ産駒が【2-0-1-4】複勝率42.9%と結果を残している。ラヴェンデルには要注目だ。
十分な間隔をとったカルプスペルシュ
「5番人気以下が6勝」「距離短縮組が好成績」「中3週以下が苦戦」「継続騎乗がベター」などのデータを踏まえた上で、登録馬について具体的に見ていく。
まずはカルプスペルシュが有力。前走からおよそ3か月半の間隔をとってここへ臨む。その函館2歳Sは5着だったが、このときの6着馬リリーフィールドがもみじSを勝ち、7着モズナナスターがカンナS2着、9着ヴーレヴー、10着エメラヴィがりんどう賞でワンツーを決めるなど、重賞だけあってメンバーレベルは高かった。
カルプスペルシュはキャリア2戦がどちらも1200m戦だが、父シュヴァルグラン、2代母モシーン(1600~2500mの豪GⅠ勝ち)で、近親にプリモシーンやダノンエアズロックがいる血統背景。1400mが長くてダメということはないだろう。ただ、佐々木大輔騎手に乗り替わる点はデータに反する。
中8週のカワキタマナレアはデビューから2戦2勝。どちらも上がり最速、2着馬に着差を付けての完勝だった。こちらもりんどう賞の勝ち馬ヴーレヴーを完封していて能力面の担保がある。半兄カワキタレブリーという血統面からして、距離もマイルくらいまでは守備範囲だと思われる。
穴なら「距離短縮組」のゴージャス、8月から出走間隔を空けてきたキンシャサノキセキ産駒ラヴェンデル、重賞大敗組のタマモティーカップ、ベルビースタローンあたりも不気味だ。あとは騎手が確定してから、継続騎乗となる馬を中心に組み込んでいこう。
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