【競馬】2歳戦に強い種牡馬を東大HCが徹底調査 キズナは阪神芝、ヘニーヒューズはダート1400mで抜群

東大ホースメンクラブ

2歳芝・ダート戦に強い種牡馬,ⒸSPAIA

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2歳戦に強い種牡馬たち

12月の中央競馬では阪神JF、朝日杯FS、ホープフルSと2歳GⅠが3レースも開催される。キャリアの少ない2歳馬によるGⅠということで、古馬戦に比べて「血統」の重要度がアップする。

というわけで、今回の記事では2歳GⅠだけでなく2歳戦の馬券戦略に生かすべく、「2歳戦に強い種牡馬」をピックアップ。「買える」データとともに紹介する。(参照するデータは2018年12月15日~2023年12月10日の過去5年分)。


キズナ産駒は阪神芝1800m以上で買い

まずは2歳芝路線で強い種牡馬から。ただし、今年以降の2歳戦に産駒が出走しない種牡馬はランキングから除いている。

2歳芝戦に強い種牡馬,ⒸSPAIA


<2歳芝戦に強い種牡馬>
エピファネイア【137-104-107-640】勝率13.9%/連対率24.4%/複勝率35.2%
ロードカナロア【100-96-54-568】勝率12.2%/連対率24.0%/複勝率30.6%
キズナ【100-95-80-597】勝率11.5%/連対率22.4%/複勝率31.5%
モーリス【84-77-62-445】勝率12.6%/連対率24.1%/複勝率33.4%

トップはエピファネイア。ディープインパクトの127勝を超える137勝をマークしている。全体の単勝回収率も142%と妙味も十分で隙がない。距離は長い方が良く、マイル以上ならどの距離でも単勝回収率100%オーバー。そのため、距離延長ローテに該当する馬は【17-21-15-115】で勝率10.1%、単勝回収率181%と狙い目。相性が良い競馬場は中京と阪神で、中京では【14-7-4-56】勝率17.3%、単勝回収率292%、阪神では【23-21-18-128】勝率12.1%、単勝回収率271%を記録している。マイルGⅠが開催される阪神では頼りになる存在だ。

2位はロードカナロア。中距離での活躍馬も多数いるが、やはり父の現役時と同じく短距離の方が良い。特に1200mでは【27-21-9-72】勝率20.9%、単勝回収率110%をマークしている。一方、勝率が低いのがマイル戦。【20-40-26-212】で勝率は6.7%に留まる。1800m以上の中距離でも勝率は13%ほどあるので、ここが谷間になっていることが分かる。マイルGⅠでは【0-1-1-10】で複勝回収率はわずか30%。評価を下げる必要がありそうだ。また、阪神では【26-29-13-174】勝率10.7%、単勝回収率145%を記録。中央10場の中で唯一100%超えを果たしている。

3位はキズナ。1800m以上で妙味があり、【52-49-38-269】で勝率12.7%、単勝回収率は179%だ。他のトップサイアーたちと同様に阪神を得意としており、【25-27-22-143】で勝率11.5%、単勝回収率247%と高水準。さらにこの2つの条件を組み合わせた「1800m以上」かつ「阪神」だと【14-11-9-61】で勝率14.7%、単勝回収率はなんと466%。見かけたら即買いレベルの条件であり、ぜひ覚えておきたい。

4位はモーリス。基本的にはオールラウンダーで、幅広い距離や競馬場で結果を残している。最も妙味があるのは新潟コースに出走したときで、【9-6-5-53】勝率12.3%、単勝回収率245%を記録している。数少ない弱点と言っていいのが、京都コース。【3-3-4-27】で勝率8.1%、単勝回収率は15%に留まっており、大きく割り引く必要がある。

2歳芝戦に強い種牡馬インフォグラフィック,ⒸSPAIA


ヘニーヒューズは「阪神ダ1400m」で単勝回収率517%

次は2歳ダート戦に強い種牡馬を紹介する。

2歳ダート戦に強い種牡馬,ⒸSPAIA


<2歳ダート戦に強い種牡馬>
ヘニーヒューズ【91-78-65-353】勝率15.5%/連対率28.8%/複勝率39.9%
パイロ【45-30-41-287】勝率11.2%/連対率18.6%/複勝率28.8%
シニスターミニスター【44-38-34-259】勝率11.7%/連対率21.9%/複勝率30.9%
ドレフォン【41-32-29-188】勝率14.1%/連対率25.2%/複勝率35.2%

トップは91勝でヘニーヒューズ。2位に46勝差をつける圧倒ぶりだ。2歳ダート戦の単複の回収率はともに100%を超えており、見かけたら買い目に入れておきたい。なかでも1400m戦の成績が素晴らしく、【32-17-14-89】で勝率21.1%、単勝回収率は253%だ。阪神ダ1400mだと【11-2-5-27】で勝率24.4%、単勝回収率517%を叩き出している。阪神芝1800m以上のキズナ産駒と同様、見かけたら即買いしたい。

2位は45勝でパイロ。今回ランクインした4頭の中では回収率が控えめで、馬券的には付き合い方が難しい。データ上でも1番人気に支持された馬は【9-7-10-17】で勝率20.9%と、1番人気にしては低調。ただし、2~9番人気だと【36-23-29-193】で勝率12.8%、単勝回収率101%とプラス域。2番人気は特に優秀で【14-5-4-16】で勝率35.9%、単勝回収率155%を記録している。1番人気は避けて、2番人気以下で狙いたい。また、距離は長い方が良く、1700m以上で【20-11-17-84】勝率15.2%、単勝回収率116%だ。

これに続くのが3位のシニスターミニスター。2歳ダート戦全体の単勝回収率は174%と非常に優秀である。1戦使って良くなるタイプが多いのか、新馬戦よりも未勝利戦の成績が良い。新馬が【15-12-13-119】勝率9.4%、単勝回収率92%に対し、未勝利戦は【28-26-18-116】勝率14.9%、単勝回収率266%と妙味たっぷりだ。また、夏競馬(8月末、9月初週のローカル開催終了まで)では【4-4-4-39】で勝率7.8%、単勝回収率44%、秋競馬(9月初旬の中央開催週から)では【40-34-30-220】で勝率12.3%、単勝回収率194%と秋以降の方が成績を上げてくる。

4位は41勝でドレフォン。初年度産駒のデビューからまだ3年目にもかかわらず4位に食い込んだのは、非常に優秀と言える。狙い目は前走芝からのダート替わり。【12-5-6-48】勝率16.9%、単勝回収率は153%とプラス域。適性外の芝で馬柱を汚し、適性の高いダートで好走というプロセスを踏む馬が多く、そこで妙味が生まれているようだ。

2歳ダート戦に強い種牡馬インフォグラフィック,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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