【安田記念】末脚上位から勝負、マイルでも直線一気 京大競馬研の本命はナランフレグ

京都大学競馬研究会

安田記念インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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近年はミドルペースから上がり勝負の傾向が強い

6月5日(日)に東京競馬場で安田記念(GⅠ)が行われる。ドバイからの帰国初戦となるシュネルマイスターが主役だが、4連勝中のイルーシヴパンサー、ソウルラッシュら新興勢力も台頭、短距離路線からナランフレグやロータスランドなど高松宮記念上位馬も登録しており、面白いメンバーが揃った。

ダービーの興奮冷めやらぬ中、今週からは2歳戦もスタートするが、古馬たちもグランアレグリア引退後の新マイル王の座を懸けて熾烈な戦いを繰り広げること間違いなしだ。熱いレースを期待したい。


過去10年安田記念ラップ,ⒸSPAIA


昨年は打倒グランアレグリアのためのデータを様々な観点から調査した。データ自体は今年に通ずるものがあるため、そちらも参考にして欲しい。

今年は過去10年の安田記念におけるラップタイムと勝ち時計を調べた。

勝ち時計について、不良馬場だった2014年と少頭数の影響で極端なスローペースになった2016年以外の8年分を精査すると、1分31秒台が当たり前のように出ており、1番遅かった2015年でも1分32秒0と非常に時計が速い。

しかし、他場では中々出ない好タイムであるにも関わらず、前半3Fと後半3Fで1秒以上差があったのは2012年・2021年の2回だけで、レース上がりが35秒以上かかった例も8年中2012年のみ。ほとんどの年で道中一切緩まず、「ずっと速く走るスプリント的能力」を求められる傾向が強い。レース中全く息を入れるタイミングが無いなかでも、最後は34秒あるいは33秒台を使わないと上位に入れないため、前で粘るタイプよりは後ろで少しでも脚を溜められる馬の方が好走確率が高いのではないか。


過去10年安田記念上がり順位別成績,ⒸSPAIA


そこで過去10年の上がり3F順位別成績を調べたところ、上がり3F最速だった馬の成績は【4-3-2-2】で複勝率81.8%。着外2頭のうち1頭はシンガリ人気の馬による最後方待機で度外視でき、残りの1頭も4着だった。直線一気が決まりやすいコースとはいえ、かなりの好成績。突き抜けるほどの末脚を持っている馬を軸に据えたい。

一方で上がりが6位以下の馬は【1-4-2-95】。勝利した1回は1番人気だったモーリスで、翌年はスローペースに翻弄され前を捉えきれなかった。末脚が無いとここでは厳しい。先行勢は紐までにおさえて、前粘り一辺倒の馬は消去して馬券を組み立てるのが正解になるだろう。


短距離で見せた豪脚、マイルでも

◎ナランフレグ
高松宮記念では内から追い込んで勝利。馬場傾向を味方につけたものではあったが、毎回出色の上がりを繰り出す末脚は、上がり重視の当レースでは大きな武器になる。直線長い東京コース、今の外差し馬場もプラス。ペースの緩まない安田記念の傾向は、スプリントを戦ってきた当馬に向くだろう。距離延長の対応は走ってみないと分からないが、未知数な部分に賭けるに値するだけのオッズが付きそうで、高松宮記念に続いて単勝を購入したい。

◯イルーシヴパンサー
スローの上がり勝負しか経験がないものの、直近3走の平均上がり3Fは33.6を切っており、東京の末脚勝負で適性を見せている。クラレントやロゴタイプを好走させた田辺裕信騎手騎乗でレースとの相性も良い。ハイペースの適性は分からないが、後方待機勢であることから速くなっても展開は向く。最も崩れなさそうな馬で軸に最適。

▲シュネルマイスター
毎日王冠とマイルCSで上がり勝負を好走。東京適性も十分だが、ドバイで見せ場なく敗れたあとの1戦。前走の敗因も不可解で馬のメンタル面などに不安があるが、実力自体は上位。

△ソウルラッシュ
東京適性は未知数だが底を見せていない。ただ1頭差してきた前走の内容も魅力。上がりのタイム自体は現状34秒台止まりではあるが、中山や稍重など末脚全開とは行かない環境だったことを考えると、今回は32秒台の上がりでも対応してきそう。

×ファインルージュ
VMは先行策から2着。内容は良好だったが、中2週、超一流馬でもしくじるローテーション。GⅠ未勝利の当馬では入着が精一杯か。

×カフェファラオ
ダートからの転向。東京マイルは合うが高速決着の芝をいきなりこなすハードルは高い。

セリフォスは前走が休み明けで好走させてくる中内田厩舎らしい仕上げだったが、2歳時から成長を感じられない4着で、ここでは荷が重い。またソングラインもメイチだった前走でファインルージュに完敗。中2週もマイナスで相手強化のここでは厳しいと考え消しにする。

買い目はナランフレグの単複とイルーシヴパンサー軸の三連複10点で勝負。シュネルマイスターが絡むと配当が下がるため、出来れば他の馬の奮起に期待したい買い目となる。今週はダービー後の反動などで怪我が続出。当記事で本命を打ったこともあるヴァイスメテオールが予後不良になるなど悲しい出来事が沢山あった。全馬の無事を祈りながら、それでも見応えある全力勝負を見せて貰いたいものだ。(文:福山)

安田記念 予想印
◎ナランフレグ
◯イルーシヴパンサー
▲シュネルマイスター
△ソウルラッシュ
×ファインルージュ
×カフェファラオ

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
25年以上の歴史がある京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。




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