【安田記念】パフォーマンスは落ちても逆転はない 京大競馬研の本命はGⅠ6勝目を狙うグランアレグリア

京都大学競馬研究会

安田記念インフォグラフィックⒸSPAIA

前走VMはマイナス材料にはならない

6月6日(日)に東京競馬場で安田記念が行われる。GⅠ5勝のグランアレグリアや一昨年のマイル王インディチャンプ、大阪杯から巻き返しを期すサリオスの他に、今年はNHKマイルカップを勝利したシュネルマイスターが参戦しハイレベルな戦いが予想される。勢いそのままにグランアレグリアが勝つのか、それとも待ったをかける馬が現れるのか、データからグランアレグリアの隙を探す。


過去10年の前走レース別成績ⒸSPAIA


まずは過去10年の前走レース別成績を調べた。勝ち馬に優先出走権がついてくるGⅡ京王杯SCは【2-3-1-30】で複勝率16.7%、マイラーズCは【1-0-6-32】で複勝率17.9%と特別成績が良いわけではない。グランアレグリアが使った前走ヴィクトリアマイル組は【0-3-0-12】と勝ちこそないものの、当日5番人気以内に絞ると【0-3-0-2】と実力相応の走りは出来ている事が分かる。着外に敗れた2回はともに牡馬相手に実績を残していなかったアパパネで、グランアレグリアは既に混合戦でも圧倒的な成績を残しているため、連対は堅いか。

シュネルマイスターの前走NHKマイルCは【1-0-0-2】。勝ったリアルインパクトはNHKマイルCで出遅れ、中団から展開は向いたものの3着まで。一方、大敗したエーシントップとミッキーアイルはマイルカップで先行して自ら展開を作る厳しい競馬をした。前走で力を100%出し切れていない事が好走の条件かもしれない。

前走大阪杯はGⅡ時代を含めても【0-1-2-11】と不振で、GⅠ昇格後は【0-0-1-8】で2018年1番人気3着のスワーヴリチャード以外は人気でも全部馬券外に飛んでいる。大阪杯を叩き台として使いにくくなり調整が難しくなっているものと考えられる。


1番人気の勝利と二桁人気の好走はセット

過去10年の人気別成績ⒸSPAIA


次に過去10年の人気別の成績を調べた。人気サイドでは1番人気が【3-2-2-3】で複勝回収率103%、3番人気【1-3-2-4】で複勝回収率155%と優秀だが、2番人気【1-0-1-8】複勝回収率は38%と不振。2番人気で勝ったストロングリターンも限りなく1番人気に近い2番人気だった。

6~10番人気の中穴は【4-1-2-43】で複勝回収率は70%と微妙な数値だが、単勝回収率は188%と非常に高い。11番人気以下の大穴は【0-2-3-59】、大穴の好走時は1着馬が1、2番人気であった。2014年には単勝1.7倍のジャスタウェイが勝ったにも関わらず2着に16番人気のグランプリボスが突っ込んで馬連は1万8730円。先述したストロングリターンの勝った2012年は2、3着馬がそれぞれ13,15番人気の大穴だった。

今回はトーラスジェミニやダイワキャグニーなど逃げ馬が多く、ペースは速くなりそう。人気薄ならグランアレグリアの後ろから末脚を伸ばせる馬を探してみるといいかもしれない。


中2週を言い訳には出来ない

◎グランアレグリア
説明不要のGⅠ5勝馬。前走ヴィクトリアマイルは公開調教さながらの走りで圧勝と実力は疑いようがない。前走VMから安田記念を勝った馬はウオッカのみで、牝馬に中2週は過酷であるかと思われる。確かにアーモンドアイ同様ここでパフォーマンスを落とす確率は高い。

しかし大阪杯を走ったコントレイルが宝塚記念を回避するレベルのダメージを負ったのに対し、当馬はヴィクトリアマイルを使えている点から、間隔を詰めたというだけで勝負付けの済んだ他馬につけいられる程落ちることは無いと判断した。雨の予報がでているもののマイルまでならば問題は無い。

◯インディチャンプ
直近3走は短距離にシフトして、追走に苦労するなど短距離に向かない面を見せながらも大崩れしていないのは見事。得意の東京マイルで巻き返しに期待したいが、昨年のマイルCSで完璧な騎乗をしたにも関わらず、グランアレグリアにあっさり交わされてしまったので、逃げなどの奇策に出ない限り逆転は厳しいか。

▲ケイデンスコール
前走マイラーズカップを完勝し本格化。時計も1分31秒4と優秀で、逃げ馬の多い今回は展開も向きそう。NHKマイルC2着などの好走歴がある左回りのマイルがベスト条件で、勢いそのままに今回も上位争いが出来るはずだ。

△サリオス
マイルCSは出遅れて競馬に参加できず5着、大阪杯は重馬場で伸びない内を通って5着と敗因は明確。得意の東京コースで巻き返しに期待したかったのだが、手前替えに課題が残る等前走のダメージが堪えたのか状態面が不安。馬体が増えた様子も無く現状では成長力に欠ける。また先述の通り前走大阪杯組が【0-1-2-11】と不振なため評価を下げた。馬体を減らしてくるようなら消しもあり得る。

×カテドラル
近2走は追い込み嵌まって2着。一瞬しか脚を使えないため追い出しが難しい馬だが、ペースが流れて前が止まれば流れ込んでくる可能性はある。大穴枠。

馬券はグランアレグリア1着固定の馬単と三連複で勝負。その末脚とハイペースでも対応できるスピード能力を信頼する。実は筆者がグランアレグリアに本命を打つのは今回が初めて。今まで逆らい続けて痛い思いをした分きっちり取り返したいと思う。(文:福山)

2021安田記念 予想印
◎グランアレグリア
◯インディチャンプ
▲ケイデンスコール
△サリオス
×カテドラル

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。



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