【安田記念】ハイブリッド式消去法で残るのは5頭 イルーシヴパンサー&ファインルージュの東京新聞杯再現に期待

八木遊

過去10年の安田記念『前走から距離延長』かつ『前走上がり3位以下』の成績,ⒸSPAIA

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5つのデータから絞れた馬は?

先週の『日本ダービー』は、消去を免れた8頭の中から最内枠に入ったアスクワイルドモアを本命に抜擢した。結果はご存じの通り、13番人気で12着。現時点では皐月賞組との力差を感じる走りとなってしまった。

今週は5週連続東京GⅠシリーズを締めくくる『安田記念』を予想していく。いつも通り過去10年のデータから、複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップ。除外対象の3頭を除いた18頭のなかから当てはまった馬を順番に消去していく。

『前走から距離延長』×『前走上がり3位以下』★0.0%★

最初のデータは前走距離に注目した。1600m未満を使われた距離延長組は過去10年で【5-2-1-33】(複勝率19.5%)と水準を上回っている。好走が目立つのは、その前走で速い上がりを記録した馬。上がり3ハロン1~2位の馬は【5-2-1-10】(同44.4%)と買いパターンだったが、3位以下は【0-0-0-22】(同0.0%)と、まさかの全滅。まずはこの組み合わせを採用する。

今年このデータに当てはまったのは、高松宮記念から転戦してきた3頭。ダイアトニックは前走上がりが3位で惜しくも消去対象になってしまった。

【今年の該当馬】
・サリオス
・ダイアトニック
・ロータスランド

『前走人気>前走着順』×『関西馬』★3.2%★

2つ目の消去データは前走レースにおける人気と着順に注目。人気を上回る好走を見せた馬は安田記念では【1-1-3-50】(複勝率9.1%)と苦しい戦いを強いられている。このデータだけで複勝率は10%未満だが、ハイブリッド式ではもう一つの条件を掛け合わせる。今回は関西馬をピックアップ。この2つを重ねることで、過去10年の成績は【0-0-1-30】(同3.2%)となった。唯一の3着馬は12年コスモセンサーだった。

今年この条件に当てはまったのは4頭。消去済みのロータスランドに加えて、4連勝中のソウルラッシュ、海外帰りのヴァンドギャルド、ヴィクトリアマイル3着のレシステンシアをまとめて消しとする。

【今年の該当馬】
・ソウルラッシュ
・レシステンシア
・(ロータスランド)
・ヴァンドギャルド

『非社台系生産』×『6歳以上』★5.0%★

続く2つの条件はどちらも生産者データを取り上げたい。まずは社台系牧場以外で生まれたいわゆる非社台系生産馬に注目。5歳以下の馬は【4-2-3‐26】(複勝率25.7%)と上々の成績を残しているが、6歳以上の馬は【0-0-2-38】(同5.0%)と信頼度が一気に下がる。

今年この条件に当てはまったのは3頭。新たに消去対象になったのは夏場不得手のカラテと高松宮記念覇者ナランフレグだった。

【今年の該当馬】
・カラテ
・(ダイアトニック)
・ナランフレグ

『社台系生産』×『前走0秒6差以上で負け』★6.3%★

社台系の牧場で生産された馬にも消去条件が存在したので、続いてはそれを取り上げる。組み合わせるのは、「前走0秒6差以上で負け」というもの。これに該当したのは延べ16頭と数自体は少ないが、【0-1-0-15】(複勝率6.3%)で、好走率は10%を割り込んだ。唯一馬券に絡んだのは14年の2着馬グランプリボスだった。

今年は以下の4頭が条件に合致。消去済みのサリオスに加え、エアロロノア、カテドラル、そしてダノンザキッドの3頭を消去リスト行きとする。

【今年の該当馬】
・エアロロノア
・カテドラル
・(サリオス)
・ダノンザキッド

『前走4角3番手以内』×『今回馬番9番から外』★5.3%★

ここまで4つの条件を終えて、18頭中11頭を消去した。最後は前走時の位置取りと今回の枠順を組み合わせたデータで更なる絞り込みを図りたい。

前走で4角を1~3番手で通過していた馬は安田記念で【2-3-3-33】(複勝率19.5%)と水準を上回る複勝率をマークしている。明暗を分けるのは枠順だ。馬番1~8番の【2-2-3‐15】(同31.8%)に対し、同9番から外枠に入った馬は【0-1-0-18】(同5.3%)と6倍の差があった。最後のデータはこれを用いることにする。

残っている7頭のうち、前走4角を3番手以内で通過していたのはカフェファラオとホウオウアマゾンの2頭だけ。もし真ん中より外目の枠に入ったときは迷わず消去する。

【今年の該当候補】
・カフェファラオ
・ホウオウアマゾン

5つの条件を終えて確実に残るのは、イルーシヴパンサー、シュネルマイスター、セリフォス、ソングライン、ファインルージュの5頭となった。

最終結論は追い切り、枠の並び、当日の気配などを確認したうえで決めるが、現時点では東京新聞杯でワンツーを決めたイルーシヴパンサーとファインルージュの2頭に注目している。1番人気が予想されるシュネルマイスターは、海外遠征帰りということで押さえまでの評価としたい。

【ライタープロフィール】
八木 遊
野球兼競馬ライター。スポーツデータ会社やテレビ局の校閲職などを経てフリーに。2021年には全重賞の予想、買い目、年間収支をTwitterに掲載したが、回収率は自己ワーストの46.4%に終わる。単複ワイドに絞った今年の回収率は64.3%(5月29日現在)。

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